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2021.11.18

#面白法人カヤック社長日記 No.95
社長日記復刻リメイク版その5:「仲間を助ける力をもて。仲間に助けてもらう勇気をもて。」はいかに生まれたのか。

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「⾃ら機会を創り出し、機会によって⾃らを変えよ」

ビジネスパーソンなら、どこかで⼀度は聞いたことがある⾔葉ではないでしょうか。リクルートの社訓です。リクルート出⾝の⽅々と話すと、この⾔葉を本当に⼤切にしている⽅が多い。僕もこの⾔葉は本当にいい⾔葉だと思います。そして、先⽇、⻑い間リクルートに勤めていた⽅が、こう⾔っていました。

「僕はリクルートにコミットしていたんではない、この⾔葉にコミットしてたんだ」
「この⾔葉を思い出すと、⼼が熱くなる。この⾔葉に沿って⾃分が⾏動して、⾃分が変わったり、仲間が変わったりした過去のエピソードがよみがえってきて、涙が出てくる」 と。

なるほど。

この⼈についていきたい! と思える経営者がいますか?

⼈は、どうやったら仕事や会社にコミットするのでしょうか︖

ひとつの⽅法は、カリスマ的な社⻑がいることです。この⼈についていきたいと思える⼈がいる。それはそれで⼼が熱くなります。読んだら涙が出てくる2013年の本屋⼤賞を受賞した『海賊とよばれた男』、出光の創業者の物語ですが、確かにこんな社⻑ならついていきたい。きっと熱くなってがんばっちゃう。そう感じます。

でもそんなカリスマ社⻑もいつかはいなくなる。となると、その組織を未来に残すためには、物語を作らなければならない。で、仕⽅がないから、社⻑を神格化し伝説とする。そんな⽅法があります。でもリクルート創業者の江副浩正さんは、恐らくそういうタイプではなかった(勝⼿な想像です。⼈前で話すのが苦⼿だったと⾃著に書かれており、あまり表に出てきてないから)。

そこで、⾔葉をつくった。⼈が熱くなる、コミットできるいい⾔葉を掲げた。

はじめに⾔葉ありき。
⾔葉はすなわち神であり、この世界の根源として神が存在する。

だとしたら、そんな⾔葉をつくることも経営者の役⽬のひとつなのかもしれません。 その⾔葉を聞いただけで、胸が熱くなるようなもの。それにコミットしたくなるような⾔葉です。

果たしてカヤックには、それがあるでしょうか。

カヤックにある数々の言葉

あります。それは面白法人というコピーです。このコピーはシンプルではありますが、覚えやすく唯一無二のものなので。そこから様々な価値観やサービスが生まれているのだろうと思います。

⾃ら「⾯⽩」とつけたおかげで、⾯⽩くあり続ける(それは、⾯⽩がり続ける、⾯⽩がらせ続けるの両⽅の意味を含んでいます)ことにコミットせざるを得ません。

それから 、カヤックの経営理念「つくる⼈を増やす」。シンプルだけど企業としての成⻑へのコミットと、⾃分たちの日々の活動を行なっていく上での戦略や戦術がこの言葉で明確になります。

このほかにもカヤックで⼤切にしている⾔葉、例えば、「何をするか」より「誰とするか」。

こちらも学⽣時代の友⼈3⼈で創業したカヤックが15年前から使っているキーワード。大切にしている価値観が伝わってきます。

それから、まだありました。僕が好きなこの⾔葉「アイデアいっぱいの⼈は深刻化しない」。 これはある詩⼈が⾔った⾔葉ですが、カヤックの社員なら誰もが知っていて、好きな⼈が多い⾔葉のひとつです。

このように、⼤切にしているキーワードがたくさんありますし、⾔葉の⼒を信じているからこそ、社内にも「コピー部」という部署が存在します。

でも、せっかくならもっと⼼が熱くなるような⾔葉をも⽣み出してみたい。それが経営者としての⾃分の役⽬だ。

そのように15年を迎えた今、僕は思ったのです。

新しい⾔葉はどんなものがふさわしいのか?

では、果たして、新しくどんな⾔葉を⽣み出すのがいいのでしょうか。そこから⾃分の旅が始まりました。まずは、カヤックのイントラネットに掲載している、エピソード集を読み返してみました。エピソードブログとは、カヤックで過去起きた数々の⾯⽩、熱いエピソードが蓄積されたコーナーです。それを読み解いていくと、どんな時にカヤックの社員が熱くなるのか、そのヒントがありました。

それは、仲間を信頼し、つらい時に仲間と助け合い、仲間に助けられることで⼈は成⻑し、仲間を助けた⾃分も成⻑する。そんなエピソードだったのです。

仲間。僕はこの⾔葉がそもそも好きです。漫画世代の僕ら創業者は、友情が⻩⾦のワード。

例えば、最近読んだ本にこんなエピソードがありました。

―――
第2次世界⼤戦中、マニーはアメリカ空軍の戦闘機パイロットだった。イタリア沖で空中戦が⾏われたことがあったが、そのときマニーはアメリカ空軍の戦闘機パイロットだった。イタリア沖で空中戦が⾏われたことがあったが、そのときマニーはイタリア機を打ち落とし、乗っていたパイロットはなんとかパラシュートで脱出した。燃料には限りがあるのだから、すぐにその場を離れるべきだったが、マニーはそうはせずしばらく待って、パイロットの救命胴⾐がきちんとふくらんだことと、パイロットが無事であることを確認した。

それから宙を漂うパイロットのために無線で連絡をし、救助が来るまで旋回をつづけた。やがて救助機が到着すると、マニーは低空⾶⾏をし、パイロットに向かっ て親指を⽴てた。パイロットも親指を⽴てて返した。その場を離れながら、マニーはまるでさよならを⾔うかのように戦闘機の翼を振り動かした。

戦争が終わると、マニーはフィラデルフィアへ帰った。そしてある⽇、そのイタリア⼈パイロットから⼿紙を受け取った。戦闘機の翼にあった番号からマニーのことを調べたのだという。会いに⾏ってもいいかと尋ねられ、マニーはイエスと答えた。やがて再会を果たしたとき、イタリア⼈パイロットは⾔った。

「あなたは私の命の恩⼈だし、関係を絶ってはいけない気がする。実は⼀緒に仕事がしたい。私の家は⾰製品の⼯場を持っていて靴やかばんを作っている。仕事のパートナーになってもらえないだろうか。そうしたら、アメリカにも⽀店を出せるのだが」

以来ずっと、イタリア⼈とマニーは製造会社の共同所有者になって、靴やかばんをイタリアで作り、ヨーロッパやアメリカで販売して、成功を収めている。2⼈は、仕事上のパートナーというだけでなく、親友にもなった。
『シンクロニシティ』より
―――

熱い。やけどしそうです。

戦友は、仕事でしかつくれない。仕事とは、仲間そのものだ

⽣死をかけた関係の中で、信頼できる⾏動をした仲間には、きっとゆるぎのない信頼関係ができるのでしょう。でも、僕らは戦争を知らない世代ですし、ない⽅がよいと思っている。であれば、僕らは仕事を通して、戦友をつくるしかない。

仕事を通して、死線をともに乗り越えていくことで仲間との信頼関係を築いていく。

「戦友は、仕事でしかつくれない。」
「仕事とは、仲間そのものだ。」

そんな思いが込められた⾔葉。仲間にまつわる⾔葉をうまく⽣み出せれば、その⾔葉を聞いただけで、つらかったけども、仲間とともに死線を乗り越えたことを思い出して、⽬頭が熱くなる⾔葉になりそうです。

そんな感じで、考えまして、よく⼀緒に仕事するコピーライターと、社内のコピー部と、総力を結集してあーでもないこーでもないとやりながら。

ようやく、⽣み出しました。

それがこの⾔葉です。

「仲間を助ける⼒をもて。
仲間に助けてもらう勇気をもて。」

うん。

これがカヤック15周年の集⼤成として⽣み出されたものであり、次の15年に⽣き続けるために必要なものとなればと思います。

そして、この⾔葉。実はカヤックの社員に対しても、この連載で初めてお披露⽬しました。どうでしょうか。

来週はこの⾔葉が⽣まれるプロセスを紹介したいと思います。

――

2021年の柳澤からの解説:
今回は、前回と同じ趣旨で、過去の社長日記のリメイク版の第5弾です。合計第6弾まである予定です。(*注記)

この記事を書いたのは、カヤックの創業15周年の時。今から8年前です。リクルートに匹敵する言葉を生み出そうと、一発奮起して作りました。その意気やよし。なのですが、8年経って今どうでしょうか。うーむ。なかなか、それほどのキーワードにはなっていません。個人的には素敵なキーワードだとは思っていますが、面白法人や「つくる人を増やす」といったキーワードと比べると、文章が長いせいか、今ひとつ覚えられません。僕も自分で生み出しておきながら、時々言い間違えてしまう。

ちなみに鎌倉本社の社屋の横の道にはこの言葉が刷り込まれた道路があります。

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*注記:
ところで、この社長日記ですが、2015年からカヤックサイトで連載を始め、月に最低1回という形で続けています。実はそれ以前は、日経ビジネスオンラインや日経PCオンラインなどの媒体でなんと2006年から続けておりました。つまり、足掛け15年も社長日記を続けていることになります。しかも、今でこそ月1回から2回ペースですが、日経に連載していた頃の僕は毎週書いていました。8年間一度も休むことなく。よくできたなと思います。

そして、その過去8年分の記事は、以前までアーカイブがあり残されていたのですが、昨年、日経BPさんと日本経済新聞出版社さんの経営統合に伴って、日経さんのサイトからは見られなくなってしまいました。

古い記事は、自分の成長の変遷を見るには良いものの、恥ずかしい内容のものばかりなので、これはこれで好都合なのですが、日経BPさんのご厚意で、過去のアーカイブをファイルでいただきました。

そこで、せっかくなので、その中からいくつかを多少リメイクして解説付きで、お出ししたいと思います。セレクトしたのは合計6本。これから6回にわたってリメイク版を紹介して行きたいと思います。

(原文は日経ビジネスオンライン2013年6⽉19⽇掲載。日経BPの了承を得て掲載しています)

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