2025.07.29
#クリエイターズインタビュー No.92古谷乳業×面白法人カヤック、大ヒット「ミルクの束縛」に続きこだわりの自信作「ブラックコーヒーBEANS」が誕生!
ミルクコーヒー「ミルクの束縛」、ヨーグルトブランド「物語のあるヨーグルト」を大ヒットさせた両社のタッグが再び! 古谷乳業と面白法人カヤックは三度目の協業で、なんとミルク無しのブラックコーヒーという新境地へ挑みました。今回発売するのは、コンビニの500ml紙パックでは初となるゲイシャブレンド(税抜368円)。両社のプロデュースチームが、この自信作「ブラックコーヒーBEANS」に込めた並々ならぬこだわりと、コーヒー市場への参入背景を語ります。

◆カフェで飲む美味しさを再現した、リッチなゲイシャブレンド

ー新発売されるプレミアムコーヒー「ブラックコーヒーBEANS」について教えてください。
金谷
第一弾は、コンビニで発売する500mlの紙パックでは初の、ゲイシャ豆から抽出したプレミアムコーヒーです。
ピエール
実は昔、バリスタをやっていたことがあるのですが、ゲイシャって相当レアな豆なんですよね。
金谷
栽培が難しいこともあり、市場の流通が少なく高価なんです。それでも、名前を聞いたことがあるという方は多いと思います。2004年に国際的な品評会でゴールドメダルを獲得し、名だたるカフェで愛されてきました。
ーどのような味わいに仕上がっているのでしょうか。
金谷
一般的に美味しいとされるコーヒーは、上質なコクと香り、口当たりの滑らかさ、スッキリした後味がポイントです。それらを踏まえて、「ブラックコーヒーBEANS」では、花や柑橘類を思わす香り、驚くほどスッキリした甘味が特徴的なゲイシャコーヒーに、やや深煎りしたグアテマラコーヒーをブレンドしました。ゲイシャの柔らかく華やかな香りとすぐれた酸味、グアテマラらしい芳醇な香りとコクが広がります。
ラボレベルでのテストでは、1日に20杯以上試飲しました。私はコーヒー業界出身ですが、さすがに少し辛かったですね(笑)。
ピエール
僕たちもテスト試飲に参加し、10種類以上飲み比べました。やはりゲイシャは群を抜いて個性的で、インパクトが強かったです。
金谷
こうした鮮度や味わいを保てるのが、紙パックで提供する大きなメリットなんですよ。ペットボトルや缶だと賞味期限が長期になり、加熱することでフレッシュな味わいが失われてしまいますから。
ー希少な豆の持つ良さを活かすことの他、カフェでの本格的な味わいの再現に苦心されたそうですね。
金谷
はい。抽出もカフェと同等の温度でドリップしています。抽出温度が高すぎると、本来の上質な風味を損なってしまうんです。
また、粗挽きにしたコーヒー豆を多く使うほど雑味がなくなりクリアな飲み口になるので、豆の挽き方とコーヒーの濃度を意識しました。内容量100gに生豆を5g以上使用することで初めて「コーヒー」と表記できるのですが、「ブラックコーヒーBEANS」には7g超の生豆をたっぷり使用しています。一般的なカフェは約1.4%のBrix値(コーヒーの濃度を測る指標)であるのに対して、よりリッチな1.7%を目指しました。

◆雑誌というコンセプトで、飲むだけでなく知る喜びも提供

ー次に、「ブラックコーヒーBEANS」のパッケージデザインについて教えてください。どのようにして、雑誌というユニークなコンセプトに至ったのですか。
ピエール
まず、コーヒーの知識を持っている人が二極化していると感じたことから、学びを通じてもっと面白くコーヒーを楽しんでもらいたいと考えたんです。
コーヒーはコーヒーノキという植物から穫れた実が原材料で、ワインのように収穫年や場所、天候で味が変わります。ワインやウィスキーだったら「あの年はあたりだ」とか「どの産地がおいしい」とか話すけれど、コーヒーではあまりそういう話はしないですよね。すごく奥深い嗜好品なのに、ちょっともったいない。そこからまず、豆の産地から届いた小包に記されたメッセージでコーヒーの背景を学べる、「旅するブラックコーヒー」という企画が出ました。
阿久津
例えば、キリマンジャロだったら、その土地の風土や気候が手書き風で書かれていて、その味わいを想像してもらうコンセプトでしたよね。
ピエール
この企画も良かったのですが、もう一歩踏み込んで驚きを与えたいなと。試行錯誤の末、パッケージをコーヒー特集の雑誌の誌面と捉えた「飲む雑誌」というコンセプトになったんです。
阿久津
商品の概要から徐々にコーヒーの世界に興味を広げられるように、各面の情報の構成を考えました。「ゲイシャの歴史背景」「豆の知識」「おすすめのペアリング」「味わいの相関図」「アレンジレシピ」など、コーナーごとにフォントも全て変えています。

阿久津
表紙は、上質なゲイシャのイメージを擬人化したダンディな男性です。紙パック飲料のパッケージに人の顔が出てくることはあまりないけれど、雑誌というコンセプトだからこそ、違和感なく表現できたと思います。やはり、見たことがないようなパッケージをつくりたくて……。デザイナー冥利につきますね。

ー読み応えもあるし、飲料パックというよりもはやオシャレな雑誌ですね。
阿久津
前職では紙媒体のデザインが多かったので、その経験が活かされたと思います。売り場でも目を惹くと期待しています。
ピエール
飲み口にある編集後記やリサイクル面に仕込んだイラストなど、細かい部分までぜひじっくり見てほしいです!
◆チャレンジを恐れず、新しい価値を提供し続ける

ー古谷乳業さんは乳飲料が専門なので、ブラックコーヒーの企画開発には難しさがあったのではないでしょうか。
金谷
たしかに、ゲイシャの調達や大型機械での製造は難しい面もありました。そこは、大手コーヒーメーカーさんの協力など、スキームをしっかり構築することで乗り越えました。
ブラックコーヒーの企画開発を後押ししてくれたのは、今までなかなか伝えられなかった生乳のおいしさや価値を、デザインとコピーの力で知ってもらえた「ミルクの束縛」での成功体験なんですよね。そこで得た知見を使って、清涼飲料市場1位、チルド飲料市場2位のコーヒーをメインにした商品にも挑戦してみたいと思うようになったんです。
もちろん、古谷乳業にとって一番大切なのは、酪農家の皆さんとともに新鮮でおいしい牛乳を届けること。その思いはずっと変わりません。だからこそ、今後厳しい環境になっても、事業を安定させて未来へつなげるための幅広いチャレンジが必要だと考えました。酪農家の減少や生乳の供給変動といった課題に対して新たな事業の可能性を広げるとともに、生乳と親和性の高いブラックコーヒーを商品化することで、商品開発を更なる高みへと導くことを期待しています。
将来、工場を新設するにあたって、コーヒーの抽出設備も併設できたら嬉しいですね。生のままの牛乳とコーヒーの生豆という、フレッシュな素材同士が引き立て合うスペシャルミルクコーヒーもつくってみたいです。
ーなるほど、素材にこだわってきた古谷乳業らしい新商品になりますね!
金谷
そこまで鮮度の高さにこだわった商品はなかなか無いし、あったとしてもマーケティングがうまくいかず売り切れていないのが現状なんです。パターン化したシズルを入れなくても手に取ってもらえるほど、商品の価値と魅力を伝えることに長けているカヤックさんの存在が前提。これからも一緒に、古谷乳業らしい新たな価値を提供していきたいと強く思っています。
ピエール
ありがとうございます。試飲した中に、飲みやすくてすごく美味しいブレンドがありましたよね。ぜひ第二弾の「ブラックコーヒーBEANS」に使ってみたいと思っています。パッケージ面がより大きい1リットルパックで、さらなる挑戦をしてみたいです!
(取材・文 二木薫)
「ブラックコーヒーBEANS」
発売日 | 2025年7月29日(火) 数量限定 |
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価格 | 368 円(税抜) |
容量 | 500ml |
販売地域 | 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県のファミリーマート他 |
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