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2020.08.21

#面白法人カヤック社長日記 No.74
分断をもたらす 「危険なリーダー」について考えたこと、 自分たちにできること。

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先日、『危険人物をリーダーに選ばないためにできること』という本を献本していただいて読みました。

ヒトラー、スターリン、毛沢東といった歴史上の人物で、絶大な権力を掌握し、世界を混乱させたリーダーに共通するパターンを解説し、そういうリーダーを選ばないために自分たちに何ができるのか? ということが書かれた本です。

今回はこの本の解説をしながら、僕らにできることを考えてみたいと思います。

まず最初に、何を以って危険なリーダーかということですが、危険かどうかは人によって異なりますし解釈は様々です。その明確な定義が本の中にあった訳ではないですが、僕は「そのリーダーによって世界が分断され、争いや人々のいがみ合いが増えた」という風に解釈しました。この定義なら、一応自分なりに納得がいきました。

その上で、危険なリーダーは、まず、誰かと誰かを対立させたり、特定の人を徹底的に非難することが得意です。誰かを架空の敵に仕立て上げたり、あるいは架空の危機をでっち上げて、人々の感情を煽っていきます。そして、自分こそがそれを救うヒーローであるというシナリオをつくり出します。さらに、どうすれば自分がメディアに取り上げられやすくなるかを熟知しています。メディアが叩こうが持ち上げようが、とにかく取り上げてもらうことで、自己イメージを広めることに成功し、一定数の人々の支持を獲得します。この流れがほぼ共通しています。

そのような状況になった時、人々は様々な反応を示します。過激なリーダーであるがゆえに明確に、熱烈に支持する者、憤る抵抗者、あるいは対立そのものに辟易して無視しようとする人が出てきます。

熱烈な支持者に対して、憤って抵抗する人と、辟易して無視している人たちが力を合わせれば、勝てそうなものですが、過激なリーダーであるがゆえに、熱烈な支持者と熱烈な抵抗者の対立構造が悪化していきますので、辟易している人はますます辟易して関わりたくなくなります。そして、その辟易して無視を決め込む人々が、抵抗者にとっては無責任に見えるので、むしろ非難の矛先になってしまいます。つまり、憤って抵抗する人と辟易して無視する人が手を取り合うことはないのです。この構図そのものが、危険なリーダーにとっては、人々の分断をうまく使った仕掛けになっています。

そして、危険なリーダーの原動力として共通するのは、どこまでも大きな権力を握ろうという覇権思想です。権力を手にすることで、すべて自分の思い通りにしたいということなのでしょうか。権力を求める原動力から、それを手にする方法論まで、一連の流れには共通するパターンがあると紐解いています。

ちなみに、職業柄、相手を非難する能力が磨かれるという意味では、とりわけ政治家という職業はそういう要素があるのではないかと思います。

昔は、なぜ政治家の方々の中には、とにかく相手を非難するのが得意な人が多いのか(特に国会中継などを見ていると、そういう職業のように見える・・・)どうにも理解できない部分があったのですが、ある時、理解できるようになりました。それは、議席の数が決まっているからです。議席の数が限られているので、相手を非難することで競争相手を一人減らせば自分が有利になるという、これも立派な戦術だということです。

つまり、自分のアピールだけしかしませんという人と、自分のアピールをしながら、同時に相手の弱点を突いて、相対的に相手を落とすことを同時にできるという人では、後者の方が打ち手の幅が広いことになります。

この本を読んで、Netflixのドキュメンタリー『グレート・ハック: SNS史上最悪のスキャンダル』を思い出しました。

上記のドキュメンタリーは、Facebookの個人情報をうまく使って、フェイク広告で人を扇動することができるという問題を取り上げたものです。日本でもニュースにはなってはいますが、あまり身近な問題としてピンときていない人も多いかもしれません。ですが、このドキュメンタリーを見ると、どれだけ大きな問題なのかということがわかります。

特に政治の世界においては、SNSの個人情報を使うことは様々な問題をはらんでおり、それこそ自分の宣伝をするよりも、相手を貶める広告を出す方が、自分の支持者を増やすのに手っ取り早い。そんな世界が描かれていて、そのことが世界にどれだけの分断や対立構造を生み出しているのかということがわかります。

もちろん世の中には、相手を蹴落としてまで、相手を非難してまで勝つような人は嫌だと言う人も一定数います。政治家でも、相手を非難しないことで支持を得ることもあると、ある自治体首長から聞きました。

ですが、往々にして非難する人の方が声が大きく、非難合戦が嫌だという人は、政治の世界に辟易して無関心になっていることもあるため、その層に向けてアピールするのは難しいのかもしれないと思います。

企業においても同様で、シェアを伸ばそうとしたら、自社の実力を高める戦略だけをとっている会社と、競争相手を潰す戦略を同時にとれる会社では、後者の方が打ち手は多いということになるわけです。

ただ企業の場合は、独占禁止法があったり、広告でも競合との比較広告には制限があったりします。倫理観が成熟した業界や企業になるほど、相手を陥れる戦略に時間を割いている企業はそんなに多くない気がします。また、政治の世界と違うのは、競合であってもある程度協力し合うことで、市場そのものを伸ばすというようなことも時にはできるからだろうと思います。

ここで本の内容に話を戻すと、この本では、こういった分断を引き起こす危険なリーダーに共通する要素を挙げて、こういった危険なリーダーを選ばないためにどう対処するか、という内容が書かれています。ただ、その対処方法についてはここでは触れません。そこはあまり重要ではないかもしれないなとも思うからです。

というのも、そもそも「危険な人物に共通する要素」を理解できていれば、「あぁ、この人は危険なんだ」と冷静に判断がつくので、それで十分じゃないかと個人的には思うからです。そもそも危険な人物なのに人気を集める人というのは、それだけその人が魅力的なのです。つまり、危険かどうか簡単にはわからない。だからこそ、この共通事項をちゃんと理解しておくことで、冷静な判断ができるということなのではないかと思います。

そして、危険なリーダーにおける共通要素というのは、なにも歴史的大人物のの話だけではありません。ふと自分の身の周りを見渡してみると、共通の要素を持った人は、意外とたくさんいることに気がつきます。つまり、対立構造をうまく利用して自分をアピールすることに長け、その裏側には権力志向が強く働いている人です。あるいは、他人のことではなく自分自身を見つめた時に、リーダーと呼ばれる人は、そういった要素が大なり小なりあることに気がつくのではないかと思います。

最後にまとめます。世界を分断に導くリーダーに共通する要素がどんなものなのかを理解しておく。とりあえず、それが僕らにできることであり、そうすれば、この人をリーダーに選んでいいのかどうかが明確になり、一方で、自分がリーダーに選ばれたのなら、そういった方向に持っていかないように、自分自身への戒めになるのではないかと思います。

これが一応、自分たちなりの対処方法かなと思います。

最後に、この本を献本いただいたのは、拙書『鎌倉資本主義』『面白法人カヤック会社案内』を担当くださった編集者です。いつもヒントをいただきありがとうございます。改めてお礼を申し上げます。

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『危険人物をリーダーに選ばないためにできること』

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