成功体験は、自分だけではなく 仲間の体験を通して つくることもできるという話。 | 面白法人カヤック

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2020.07.02

#面白法人カヤック社長日記 No.73
成功体験は、自分だけではなく 仲間の体験を通して つくることもできるという話。

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今回は成功体験というものについて考えてみたいと思います。

成功体験とは何かとまずは定義するなら、自分の望んでいる結果を手に入れる体験ということだと思います。僕らは、子どもの頃から、ちょっとずつ何かの成功体験を積み上げながら成長していきます。
 
よく「成功体験がある人は強い」と言われるのは、過去に成功体験があると、それをもとに成功するための自分なりのセオリーや自信を持ち、それにのっとって行動することで、さらなる成功体験を生む。そういう正のスパイラルを生み出すことができるからです。
セオリーという書き方をしましたが、それは時に、信念という言葉に置き換えても良いかもしれません。信念がある人、信念が強い人というのは、生まれながらそうなのではなく、自分の信じる信念を元に行動したら成功したという体験によって、徐々にその信念が強化された人だということなのだと思います。
 
成功体験は、もちろん仕事だけでなく、学業だったり、恋愛だったり、趣味だったり、あらゆるジャンルの中で育まれます。
 
ほんとは自分なりの価値観で自身が望む結果を定義すれば、たとえ他人にとってそれが失敗に見えたとしても、自分にとっては成功なのだと思います。ですが、それぞれのジャンルにおいて、これが成功らしいという定義は、明確ではないにせよなんとなく多くの人が描く輪郭がありますので、そこから大きく外れた時には、なかなか自分でも心から成功体験とは言いきれないのが正直なところです。たとえば仕事での成功体験は、ある程度やはり数字と切り離せないことが多い気がします。
 
で、そんな中で、僕は成功体験というものは、自分自身で積み重ねるしかないのだろうと、恥ずかしながらこの年まで思っていました。ところが昨年、それだけが方法ではないことに気づかされました。
 
昨年、僕は実はかなり精神的には苦しんだ年だったのですが、その要因のひとつは、自分の信念がグラグラ揺らぐ体験をしたことでした。
 
具体的な内容は、ここでは端折りますが、概要をお伝えするなら、身近で僕の信念とまったく違う行動をしている人が、僕の予想と反して、成功するのを目の当たりにしたからです。
 
もう少しわかりやすくいうと、自分の信念=これまで積み上げてきた成功体験からは、それはちょっと掟やぶりなんじゃないか、みんなに迷惑をかけてしまうし、結果的にうまくいかないのではないかという風に思っていたら、うまくいってしまい、あれ? 自分の信念や成功体験は間違っていたのではないかと思い、そこでグラグラ信念が揺らいだということがありました。
 
と、こんな風に書くと、ずいぶん信念の弱い人間のように見えるかもしれませんが、おそらく去年は業績が悪く、自分としても通常よりは自信がなかったのだろうということと、身近で親身になって関わった人のことだったからということもあったのだろうと思います。
 
ただ、この体験を通して学んだこと、気づいたことがあります。
 
それは、人は自分自身の体験だけではなく、他者の体験を通して、成功体験をすることもできるし、その逆もあるということです。
 
もし自分が大切にしている信念やセオリーと近い人がいて、その人が成功を手に入れたとしたら、「やっぱり自分の信念やセオリーは間違っていなかった」と、信念がより強化されるのではないでしょうか。それと一緒だと思います。必ずしも自分自身が成功しなくても良いのです。逆に、自分が共感できない信念を持った人の成功を目の当たりにすると、あれ、自分の信念は正しかったのかな、と、こちらも自信がなくなってしまう。もともと信念など、正解があるものではない中で、それによって重大な意思決定をしていてよいのだろうか、と、ふと考えてしまったりもする。
 
そう考えると、会社選びは重要だなと改めて思います。自分と近い信念を大切にしている会社に入れば、自分自身はもちろん、仲間を通して成功体験を積むことができるので、てっとり早く成功体験を積むことができます。逆に、どうも自分の信念には反する、自分が美しいと思えないことをしている会社に入ると、仕事すればするほど、むしろ自分の信念が弱っていってしまう。
 
カヤックでは創業時から「何をするか」より「誰とするか」というキーワードを大切にしていますが、どんな仲間を集めるかということは、こういう意味でも重要だったのだなと今更気づきました。僕が成功しなくても良いのです。成功体験は、自分で積み上げるのはもちろん、仲間の体験を通してつくることもできる。だから、入社してくれた仲間が成功すれば、それは僕やみんなの成功体験になります。意見や仕事のスタイルは別にどれだけ違っていてもいいのですが、これだけは譲れないというような信念は共有できる人と仕事することが重要だし、そんな仲間だからこそ、心から成功を祝えます。そして自分も成長できます。それがチームでやることの良さだと思うのです。
 
という、言われてみれば当たり前のことに今更ながら気づくということが、また人生の面白さだと思います。「言われてみればその通りなんですが、ここ最近気づいたんです・・・」そんな体験をどれだけ積めるか。面白法人では、これも面白い体験と成長機会のひとつと捉えています。
 
今回は以上です。

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