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2017.10.31

#面白法人カヤック社長日記 No.32
資本主義について独自にまとめてみる ~鎌倉資本主義メモ2~

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さて、以前の社長日記で、鎌倉資本主義について僕が考えていることをまとめたメモを公開しました(参考: 「鎌倉資本主義」について まとめた際のメモを公開します。)。

今回は、その後、さらに考えたことを書きたいと思います。

前回のメモは、新しい資本主義のひとつとして「鎌倉資本主義(別名:地域資本主義)」の考え方の輪郭をお伝えしたにとどまりました。今後、より具体的に考えていくにあたって、まず考えなければいけないことがあります。

それは、そもそも「資本主義の定義とは?」「なぜ今、資本主義に限界がきていると言われているのか?」ということです。この2つを、少し整理しておいた方がいいなと思いました。

そして、今回はその自分なりの整理メモを公開したいと思います。

そもそも資本主義とは?

考えてみれば、今まで意外と「資本主義」の定義を理解していませんでした。そこで、改めてGoogle先生に聞いてみました。

「生産手段を資本家・企業者の階級が所有し、自分たちの利益追求のために労働者を働かせて生産を行う経済体制」

なるほど。僕はなんとなく資本主義をかなり広い意味で捉えていましたが、「国をどう良くするのか?」「人の幸せとはどうあるべきか?」そういう大きな話では、企業だけでなく、行政や教育など、民間企業とは別の領域の問題になってきます。けれども、資本主義とは、僕らのフィールドである「企業」の話であり、経営者たちが新たな資本主義をつくることだってできるのではないか。そう考えることができました。

資本主義のそもそものロジックでは、民間企業は利益を上げて株主に還元する、雇用を守る、税金を納める、それだけで責任は十分果たしているはずでした。営利活動に必ずしも直結しないけれど、世の中にとって必要なことは、税金を使って行政がやる。そういった役割分担だったはずです。

ところが、企業は利益を追求するだけでなく、事業を通じて果たすべき社会的責任が問われるようになり、最近では、ESG指数(環境・社会・ガバナンスなどの取組で企業を評価する指数)に代表されるように、利益やキャッシュフローだけではない企業評価の材料が注目されるようになっています。

むしろ志を持った企業が社会をより良くしていくことに直接的に関与していかなければならない。それだけ企業というものの存在感が増したということでしょうし、またそれだけ企業が成熟したということだと思います。企業を一人の人とみなすならば、人が成熟するということは社会的責任を伴うことになりますから、企業が成長するにつれてその責任が増すのは自然な流れです。

つまり、僕ら民間企業が変わることで、世の中を大きく変えられる可能性がある。そういうことだと思うのです。

資本主義に限界がきているというのはどういうことなのか?

そもそも論を続けます。

従来の資本主義が限界にきているといわれています。そうした潮流の中で、世の中では、包括的資本主義、公益資本主義、自然資本主義、B-corporation、資本共産主義、協働型コモンズなど、様々な考え方が生まれています。鎌倉資本主義もそのひとつです。

そもそも「従来の資本主義に限界がきている」というのはどういうことなのか? 改めて世の中でいわれていることを自分なりに整理してみました。

いろんな方がいろんなことを言っていますが、どうも共通して確からしいのは、以下の3つと捉えました。

1:GDPという指標の限界
2:富の格差の再拡大
3:地球環境(資源)の持続可能性

1:GDPという指標の限界

大量生産大量消費という消費システムにおいては、GDPの増大こそが豊かさでした。言い換えるなら、GDPが人の豊かさの定義として機能していたとも言えます。

しかし、ここにきて、GDPに代わる豊かさの指標への取組が進んでいます。生産量を計測することが主目的であったGDPでは、生活の質の向上といった豊かさや、将来活用可能な環境資源を評価できないことが、その理由といわれています。

また、テクノロジーの進化によって、所有からシェアへと人々の志向が変わり、限界費用が限りなくゼロに近づくことによって、大量生産大量消費を前提とした経済システムが見直しを迫られている、そういったシナリオも登場している。

いずれにせよ、GDPに代わる、あるいはGDPを補完する大事な指標を考えなければいけない。言い換えるなら、人としての豊かさを再定義する時期を迎えているのだと思います。

2:富の格差の再拡大

「世界の富裕層の上位62人が保有する資産は、世界の人口全体の下位半数が持つ合計と同じ額に達している」昨年発表されたように、資本主義が進むほど、一部の富裕層にどんどん富が集中してしまいます。この傾向は年々強まっていて、今後もそうなることが予測されています。

実際、現状の資本主義のルールでは、富裕層になればなるほどお金を増やしやすい。これは、モノポリーをすればなんとなくその体感がつかめると思います。一方、世界を見渡すと貧困に喘いでいる人はたくさんいる。それではまずいだろうという人道的な問題があります。

さらに富裕層に資産が集中することによって、全体のGDP成長が鈍化するという現象があります。なぜなら、低所得者の方が消費比率が高いので、低所得者に資産を分散させた方が、GDPは増大するというのです。

世の中には、貧富の差が広がることを問題視しない人もいるかもしれません。それがこの資本主義のゲームだと。

仮にゲームだとしても、そもそも誰かがずっと一人勝ちし続けている状態、そのような状態はゲームとして面白くない。みんなが勝ったり負けたりするからこそ、ゲームは面白いのだと思います。

それに、勝ち続ける人がいる状態を作り出してしまうと、勝ちこそがすべてという思想に偏る人を増やしてしまう。一方で、誰もが勝ったり負けたりするルールでは、結果よりもプロセスを重視する人が増えていきます。つまり、富の格差という問題が、実は3つめの環境問題にも最終的にはつながってくる。であれば、富が適正に再配分されるルールが必要ではないでしょうか。

3:地球環境(資源)の持続可能性

大量消費のモデルを続けていくと、いつかは限りある資源が枯渇してしまう。温暖化問題や資源の残存については諸説ありますが、従来のモデルはサステナブルではない。そうした指摘があることは確かです。

以上の3つが、資本主義の限界と言われているポイントだと僕は理解しました。

もちろん、この他にも指摘はいくつもあります。ですが、企業という存在がより中心となって取り組める課題という意味でこの3つを取り上げてみました。

その上で、もう一歩俯瞰して3つを見てみると、この3つは実は並列ではないことがわかります。「2:富の格差の再拡大」と「3:地球環境(資源)の持続可能性」の2つは顕在化した課題であり、それをもたらした指標がGDPであるということになるのではないでしょうか。

であれば、この2つの課題を改善する新たな「GDPに代わる指標、あるいは、GDPを補完する指標を提示すること」が新しい資本主義をつくることであり、いうなればそれは、人としての豊かさの再定義であると思います。

つまり、世の中には多くの資本主義が出てきていますが、新しい資本主義というものを掲げるのであれば、新たな指標を掲げることで、豊かさの再定義をする。つまり、その新たな指標を経営上の重要指標とする。そして、その指標を意識して経営することが、結果として、「富の格差」と「地球環境の持続可能性」という課題解決につながっている。そうでなければ、新しい資本主義とはいえない。そう自分なりに定義してみました。

以上がまずは、今回のメモの主旨です。

なお、ひとつ付け加えておきたいことは、株式会社でもあり上場企業でもある僕らは、資本主義そのものを否定しないということです。 資本主義を改善したその先に、より良い世界があると考えます。つまり、GDPをまるまる否定する気はありません。

経済成長そのものが悪であるという論調があることも承知しています。でも、成長は面白いのです。

そもそも面白法人と名付けたのは、仕事を面白がろうという意味をこめてです。あくなき成長に意味なんかないとしても、ただ純粋に楽しいのです。

資本主義の合理性だけを突き詰めるなら、会社という組織そのものが、いずれ意味を失うかもしれません。労働時間を極限まで削減して、経営を人工知能(AI)にでも任せておけばいいのかもしれない。

でも、カヤックは、そうした合理化とは真逆のアプローチを取ってきました。すなわち、働くことそのものを面白くして、楽しんでしまおうというアプローチです。これも、「面白指数」として数値化する試みを続けてきました。

同じように、従来の資本主義を肯定しながらも、それだけでは測れない価値があるのではないか。そうした価値を指標化することが、豊かさの再定義だと考えています。

なお、ここから先は蛇足ですが、指標化のアプローチには非常に困難を伴うこともわかっています。

今まで会計上の価値には換算してこなかったけれども、それを経済的価値に置き換えるアプローチ、たとえば地球環境の破壊を外部コストとみなすような方法がありますが、ややこじつけ感がある。一方で、もともと経済的価値に換算しにくいものを指標化し、新たにその指標の向上を目指すGNH(国民幸福度)のようなアプローチもある。カヤックの面白指数もここに入ると思いますが、これはこれで、どうしても概念的になってしまう。

さらに、経済的価値に換算しにくいものを指標化することに、そもそも違和感があるという議論も出てきます。

あるいは、そもそもいままで経済的価値に換算していない価値があったのだから、それを測る貨幣というシステムに限界があるという指摘も出てくる(だからこそ、仮想通貨をはじめとする新たな通貨に可能性がありそうです)。

ただ、19年経営者をやってきて思うことは、企業という生き物は、指標化された数字をもとに活動するのが得意だということです。だからこそ、指標化しない限り活動に与える影響は限定的であり、指標化しなければ世の中は変わらない。

なので、何かしら新しい指標は必要なんだろうと思っています。

そして、そのアプローチは決して不可能ではないと思わせてくれるのは、実はGDPという指標ができてから、わずか100年も経っていないという事実です。であれば、未来はきっと、豊かさを再定義した別の指標で人は活動しているかもしれない。 そんな勇気をもらえるのではないでしょうか。

以上が、今回の鎌倉資本主義におけるメモの第二弾です。

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