幸福な組織は「三角形」でできている | 面白法人カヤック

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2025.10.31

#面白法人カヤック社長日記 No.149
幸福な組織は「三角形」でできている

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さて、9月の社長日記では「変化を嫌う人を動かす」という本を読んで、気づき(ヒント)があった話を元に書いてみました。

「本で気づきを得る」とはどういう時でしょうか。それを深掘りしてみたいのですが、ズバリ、2つのパターンがあります。

1つは、「その考え方はなかった!」と目から鱗が落ちるパターン。いわゆる“アハ体験”とも言います。つまり、自分に大きな気づきを与えてくれる話です。前回の日記はどちらかというとこちらに近いものでした。

もう1つは、日頃考えていることや実践していることを、改めて、本が言語化してくれたパターン。自分が直感的に良いと思っていたことを言語化してくれたり、科学的根拠を伴ったり、他者の成功事例を紹介してくれたりすることで、自分の考え方への自信を深めてくれるパターンです。

前回は前者のパターンを書きましたので、今回は後者のパターンである一冊の本を紹介したいと思います。

紹介したいのは、矢野 和男さんの『トリニティ組織』という本です。

参考:『トリニティ組織』(著者:矢野 和男)

矢野さんは、「データ」「センサー」「人工知能」「人の幸福(ハピネス/ウェルビーイング)」などをキーワードに、社会や組織、人間の行動をデータ化して解析し、よりよい組織や社会のあり方を探求している研究者です。

この本の中で印象的だったのは、「幸せで生産性の高い組織には“三角形の人間関係”が多く存在する」という指摘です。1兆件を超える行動データから明らかにされたそうです。

“三角形の人間関係”とは、互いに関わり合う3人以上の関係を指し、「信頼と共感が生まれやすい構造である」と書かれています。 “三角形の人間関係”と対照的なものとして、“V字型の関係”というものが説明されています。

“V字型の関係”は、自分↔︎A、自分↔︎Bの関係はあるものの、A↔︎Bの間に接点がない状態です。

一方、“三角形の人間関係”は、自分↔︎A、自分↔︎Bの関係もあるが、A↔︎Bもしっかりと関係がある状態をさしています。
“V字型の関係”は、“三角形の関係”に比べて分断や孤立、板挟みなどのリスクが高い構造になる、ということのようです。

従来の効率や階層を重視する組織設計では、このV字構造が増えがちになります。
それに対して、“三角形の関係”を意図的に増やすことで、幸福度と創造性を高める新しい組織モデルが
「トリニティ組織」
だ、と書かれています。

この本を読んで、「まさに我が意を得たり!」と思いました。

「トリニティ組織」とは、カヤックのような組織のことを指しているなと思います。

面白法人カヤックの「面白」という言葉に込めた最初の思いは、「いかに面白がって働けるか」。
実はこれは僕らにとって、「社員がいかに幸せになる組織を作れるか」と同義語とも言えます。

その面白法人が、面白く働くために最初に選んだ組織の構造が、3人の代表がいる「3代表制」でした。
リスペクトしあう3人が、一緒に話し合って意思決定をしていくプロセスは楽しいものです。代表が3人いると聞くと、合議制で、意思決定のスピードを落とすようにも見えるのですが、他の2人の決断にとにかく乗っかるという意味でもあるので、必ずしも毎回3人で意思決定をするわけではなく、自分が意思決定に参加しないこともあります。だから、必ずしも意思決定が遅くなるわけでもないのです。

そういった日々の経験から、この「3人」という三角形の関係性が得られる幸福度は非常に高いなと日頃から感じていますので、カヤックの事業部ではリーダーが必ず3人いるという「3人体制」を意図的に作ってきました。

この直感的な施策が、この本の理論を読んで、なるほど正しかったんだなと背中を押されたような気がしました。

AI時代まっただ中の現代において、効率性を重視する組織は今後もますます増えていくと思われます。
そんな中で、働く人の幸福度が高い組織づくりという観点は、今後さらに重要になるでしょう。
そして、それが科学的に裏付けされたルールが取り込まれていく時代になるんだろうと思います。

今回は以上です。
社長日記をお読みのみなさんも、今年読んだ本の中で「目から鱗!」の一冊と、「我が意を得たり!」の一冊を、ぜひ教えてください。

当日記の無断転載は禁じられておりません。大歓迎です。(転載元URLの明記をお願いいたします)

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