バーチャルデート体験で「スーパーカップ」のブランド再認知!"想像を少し超える"イベントのつくり方とは? | 面白法人カヤック

Client Work

2014.10.07

#クリエイターズインタビュー No.30
バーチャルデート体験で「スーパーカップ」のブランド再認知!"想像を少し超える"イベントのつくり方とは?

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青いカップでおなじみの「明治エッセルスーパーカップ」。発売から20周年を迎えた今年7月に「明治エッセルスーパー祭り」が開催され、カヤックはそのイベントと特設サイトの企画・制作すべてを担当しました。仮想空間が体験できるヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift(オキュラスリフト、以下Oculus)」も取り入れた本企画の裏側について、プロデューサー八木原泰斗、エンジニア天野清之、デザイナー越後壮平に聞きました。

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見えすぎる「Oculus Rift」の映像素材をつくる苦労

― 発売20周年を迎える今年、改めて「スーパーカップ」のブランド再認知とノイズを高めるイベントを打ちたい、という明治様のご要望から立ち上がった本企画。それがリアル+Webサイト2本立てになった経緯から、まずは聞いてみましょう。

八木原
最初はイベントのみの実施予定だったんですが、情報の受け皿が必要ということでサイトも併せてご提案し、結果的には2本立てになりました。会場で実施した「放課後の教室でバーチャルデート体験」は、発売当初に商品ターゲットの高校生だった30代以上の方々にあの頃食べていたエッセルを思い出してもらおう!という発想の基、青春時代に戻れそうなシチュエーションにOculusの特性を組み合わせて考えました。

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― Oculus関連の素材制作って大変そうですね。

天野
モック制作の経験はあっても案件としては初めてでしたし、機材の取り寄せや環境整備も含めると1カ月半ほどかかりましたね。CGの予定が途中で実写に変わったこともありますし。八木原のコンテを基に画のイメージを出しながら映像は固めていきましたが、実写は事前準備がすごく大変なんですよ。

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― 例えばどういう部分が?

天野
GoPro6台を同じタイミングで撮影し、データの継ぎ目を修正して3Dの球体に貼りつけると360度が見える構造なんです。だから動きが多い演出だと機材が映って修正が増えるので止め絵に変えたり、窓際のほうが雰囲気はいいけど、GoProだと壁の歪みが映りやすいので教室の中央での撮影に変えたり。実制作の経験がない分、データの継ぎ目もかなり余裕を取って撮影していました。

― さまざまな可能性を考えた素材準備の大変さですね。

天野
そうです。同じ場面を6回は撮りましたから。ただ正面カメラの角度だけ確実に捉えておけばどうにかなるかと思ったんですが、近づきすぎると顔が歪むし、データを継ぐと消える時もあったので。
八木原
距離は重要だったよね。椅子とカメラの距離を5センチずつ移動して調整したんですが、5センチでまったく印象が変わるんです。実際とフィルター越しでは距離感も大きく違うし、見た時の気持ちよさは人の感覚によるものだけに、自分たちで検証することの大切さを痛感しました。
天野
ピンマイクしか使えないので、服がこすれる音が目立たないように大きな動きを作らないとか、声に被らないようにコンテ上で台詞と動きは分離させておくとか、音声の面でもかなり大変でしたよね。

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ドでかいスーパーカップを渋谷に出現させる!

― 世界観づくりや演出などで工夫した点はありますか。

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八木原
映像にはブラバンの音や蝉の声などで夏の教室っぽい効果音を加えました。空間的には、高さ4メートルの巨大エッセルで囲われた会場の中にも実際の黒板や学校用の机や椅子を置いて教室っぽさを出しました。Oculusでの体験もよりリアルに感じられたと思いますよ。

― この巨大エッセルの制作と映像はどちらが先なんですか?

八木原
巨大エッセルは初回のプレゼンで提案して、一発OKをもらっていました。その後、Oculusの提案をして、GOをもらいました。クライアントの方達の懐の深さに感謝です。Oculusが設置できるかを検証するためにロケハンに3人で行った時の雑談から巨大エッセルの内側の仕様が決まりました。当初、内側は試食スペースだけでOculusは端に置いておく予定だったのですが、リアル感を出すために全部を教室にしてしまったらどうかと(笑)。

― その結果はいかがでした。

八木原
よかったですね、まずは巨大エッセルがとにかく、デカくてインパクトがありました!ラベルの角度は天野につくってもらった3Dモデルを基に決めたので、渋谷パルコのブースがマルイの交差点からもよく見えたんです。訪れた人が現物の5億倍サイズの巨大エッセルを見て、「エネルギー2094億kcal」などをネタにしてくれていましたし、人が集まっているのが呼び水になったのか、サンプリングの列も途切れず嬉しかったですね。
越後
巨大エッセルは、そのまま拡大しているかのように調整をかけているんです。実物にはロゴや製品表示、バーコードが書かれていますよね。でも等倍拡大して交差点側にいい角度を向けると会場は壁が真っ白になってしまうので、帯を少し伸ばし、人がわかる程度にロゴの回り込みも修正しました。

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八木原
おかげさまで、イベントはかなり注目を集められたのではと思います。一緒にいる人同士の会話はもちろん、SNSにも広がりますし、暑い日にアイスが無料でもらえるとなればさらに話題になります。結果としては最終的に2日で1000ツイートほどされていました。

― Webサイトのデザインも、この巨大エッセルと同じトーンですね。

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越後
はい。夏のキャンペーンなので涼しさとスーパーカップらしさを第一に考えました。ツイートボタンを凍らせるといったアイス風のギミックは、初期のブレストから出ていたアイデアを取り入れました。
八木原
イベント情報と放課後デートのプレビュー動画に加え、動きをつけて楽しい印象にしています。また、過去50種類以上発売されてきたフレーバーのパッケージを表示したのですが、実はこれ、初めての試みだったので、無理を承知で明治様に画像をご手配いただき、掲載することができました。(明治の皆様、この場を借りて本当にありがとうございました!)

リアルイベントをカヤック主導でつくり出す第一歩

― 今回はカヤックが企画・運営から一連して手がけたんですね。

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八木原
はい。私は前職でもイベント・スペースデザインを手がけていたのですが、今回は本プロジェクトの全体統括を担当させていただきました。Oculusの撮影・実装は天野、ブースやWebなどデザイン周りは越後が担当しました。施工運営は別会社にお願いし、プロジェクト全体をカヤック主導で進行できたことが今までとは違う点かと思います。
越後
試食スペースを教室にする案もロケハンの場で決めたようなものですから。他社との仕事だったら「もっと教室っぽくしたらよかったね」で終わりだったと思います。

― イベントを終えていかがですか。

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八木原
今回は「人の想像を少し超える」ことを意識しました。“5億倍サイズの巨大エッセルが渋谷に登場!放課後の教室でモデルとバーチャルデートもできる!”、なんとなく想像できるけど、実際どういうものかわからなくて、面白そうって思えるような内容を突き詰められたと思います。
越後
変化球が多い会社だけに王道のキャンペーンがを手掛けるのが新鮮でしたね。誰が見ても一瞬でわかるコミュニケーションの強さを実感したというか。普段はディスプレイの中だけで考えがちですが、Webから現実の世界を統一して見る目線が持てたのも大きかったです。
天野
カヤックは技術やアイデアがあっても、イベントを統括する経験値が少なかったんです。従来は設営チームの一員として関わることが中心でしたが、企画の根幹から関わることができ、今後の可能性も広がった気がしています。彼の晴れ男ぶりもすごかったですし。

― 晴れ男?

八木原
本当はイベントの2日間は豪雨の予報だったんです。前日になっても雨予報でしたが、私は晴れ男の自負があったので大丈夫だ!とメンバーに言い続けていたら、本当に晴れたんです。だから社員ページにある「晴れ男」の話は本当なんですよ(笑)。

カヤック随一の晴れ男がもたらす、新しいリアルイベントのかたち。イベント企画・実施の可能性を秘めた、新たな一歩とも言うべきプロジェクトでした。

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