応援は、本当に力になるのか | 面白法人カヤック

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2026.10.30

#面白法人カヤック社長日記 No.161
応援は、本当に力になるのか

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前回の社長日記では「応援の再現性」というテーマで、「応援は仕組みにできるのか」という話を書きました。

ただ、その話には一つ前提があります。
そもそも応援は、本当に力になっているのか。

実はその少し前、FC琉球の株主向けレポートでも「応援」をテーマにした文章を書いていました。
今回はその内容に手を加えながら、前回の話の土台にあたる「応援は本当に力になるのか」について書いてみたいと思います。

サッカーには、「ホームアドバンテージ(Home Advantage)」という有名な現象があります。

ホームゲームの方が、アウェーゲームより勝率が高い。

サッカー好きなら当たり前に感じることですが、実はこれは世界中で研究されている現象で、「ホームアドバンテージ」をテーマにした論文が数多く書かれているほどです。

その要因としてよく挙げられるのは、

  • 観客の後押し
  • 審判への影響
  • 移動による疲労
  • ホームスタジアムへの慣れ

などです。

僕自身、FC琉球の経営に携わるようになってから全国のスタジアムをまわる機会が増え、最後の「ホームスタジアムへの慣れ」は本当に大きいと実感しています。

例えば、芝の状態ひとつをとってもスタジアムごとにまったく違います。
FC琉球のホームスタジアムは沖縄という土地柄もあり芝の状態が非常によく、試合前には大量に散水を行うため、ボールがよく走ります。パスサッカーを目指すFC琉球にとっては理想的なコンディションです。
一方で、芝が剥がれ、ボコボコのピッチもあります。そうした環境では、同じチームでも思うようなサッカーができず苦戦することがあります。慣れた環境で戦えることがアドバンテージになるのも納得です。

では、それとは別に、「応援」は本当に力になるのでしょうか。

この疑問に対して、ある意味"自然実験"となった出来事がありました。コロナ禍です。

世界中で無観客試合が行われ、その影響を調べた研究がたくさん発表されました。
それらを整理した論文では、無観客になったことで、

  • ホームアドバンテージが小さくなったこと
  • 特に審判のホーム寄りの判定傾向が弱まったこと

などが報告されています。

つまり、観客の存在は、選手を勇気づけるだけではなく、無意識のうちに試合全体へ影響を与えている可能性があるということです。

もちろん、応援だけで試合に勝てるほどスポーツは甘くありません。日々の練習も、戦術も、選手の能力も、すべてが大切です。
それでも、最後の一歩を踏み出す力や、あと少しだけ走り切る力は、応援が生み出しているのかもしれません。

前回書いたように、人は応援されることで挑戦しやすくなり、本来の力を発揮しやすくなる。
サッカーの世界では、それが「ホームアドバンテージ」という形で現れているのかもしれません。

では、会社にとっての「ホーム」とは何でしょうか。

スタジアムには観客席があり、声援が飛んできます。でも会社には観客席がありません。
日々の仕事は、誰かに見られているようで、実はあまり見られていないこともあります。
がんばっていても、その姿を見てくれている人が大勢いるとは限りません。

カヤックでは、2006年に社員の発案で「スマイル給」という制度が生まれました。
毎月ランダムに選ばれた別の社員の良いところを見つけて褒めて、「即戦力給」「作業スピード超特給」「鎌倉のザッカーバーグ給」のように気の利いたコトバにして贈ります。それが給与明細に載る。金額は0円です。
0円なので、お金としては何の意味もありません。でも、給与明細を開くたびに「誰かが自分の仕事を見てくれていた」とわかる。どこが良かったのかという褒め言葉は、スマイル給専用の社内ページで社員全員が読めるようになっています。
考えてみると、これは社内に小さな観客席をつくる仕組みなのかもしれません。

ブレストで人のアイデアに乗っかり、褒め合うのも同じです。

前回、ブレストは「人の夢」を「自分の夢」に変える装置だと書きましたが、アイデアを出した側から見れば、ホームの声援のようなものでもあります。
否定されないとわかっている場だからこそ、人は思い切ったアイデアを出せる。
ホームの芝に慣れていることが力になるように、応援される環境に慣れていることも、きっと力になるのだと思います。

応援の力は、精神論ではなく、少しずつ科学でも説明され始めています。
もちろん、まだ分からないこともたくさんあります。でも、「応援には力がある」ということだけは、どうやら気のせいではなさそうです。

だからこそ僕は、これからもFC琉球だけでなく、カヤックの仲間や、誰かの挑戦を応援できる人でありたいと思っています。

===

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