2026.09.30
#面白法人カヤック社長日記 No.160とっちらかり会社の「応援の再現性」論

さて、先月の社長日記は、FC琉球のマスコット・ジンベーニョの絵本『ジンベーニョの ゆめ』について、コピーライターでもありプランナーでもあるカヤックのエースクリエイター、ピエールに書いてもらいました。
まだ読んでいない方はぜひ手に取っていただきたいのですが、この絵本のテーマは「応援」です。
僕はこれからの時代、応援こそが世界を優しくし、そして少しずつ良くしていく力になると考えています。
つまり、ジンベーニョは世界を優しくするヒーローなのです。

僕は以前、応援と似ているようで少し違う、
「励まし」という行為について深掘りした『励ましのサイエンス』という本を出しました。

10人以上の各界の識者にインタビューし、「人はどういう時に励まされるのか」「どうすれば人を再現性を持って励ませるのか」をまとめようとした本です。
世界に励ます人が増え、励まされる力が高まれば、世界はもっと良くなるんじゃないか。
そんな思いで始めたリサーチでした。
ところが、結論は意外なものでした。
人を励ますことには、あまり再現性がありませんでした。
誰のどんな一言に励まされるのかは人それぞれですし、なんと、励ました本人は、自分が誰かを励ましたことに気づいていないことも少なくなかったのです。
でも今振り返ると、当時、本当に考えたかったのは「励まし」ではなく、「応援」だったのかもしれないと思うようになりました。
改めて考えてみると、応援は「これから挑戦する人や頑張る人を信じ続けること」、励ましは「落ち込んでいる人や失敗した人の心を元気づけること」。そんな違いがあるように思います。
この違いだけ見ても、「励まし」は、相手がその言葉をどう受け取るかに左右されますし、何が響くかわかりません。
一方、「応援」は、一度の言葉ではなく、「あなたならできる」と信じ続ける姿勢そのものですし、しつこく一貫して応援し続けることが必ず響くというような、再現性につながりそうな感じがあります。あくまで雰囲気ですが。
だから「応援」には、「励まし」よりも再現性があるのではないか。
そんな仮説を最近持つようになりました。
「応援」とは、「あなたならきっとできる」と、その人の未来を信じ続けること。
人は誰かに本気で信じてもらえたとき、大きな力が湧いてきます。
でも、です。
実は、この「本気で応援する」ということは、そもそも、とても難しいことでもあるのです。
例えば、子どもに「好きなことをやりなさい」と言いながら、本当は医者になってほしいと思っていたり、「こういう大人になってほしい」という親の願望が無意識に混ざっていたりします。
あるいは会社でも、「どんどん挑戦してほしい」と言いながら、失敗すると評価を下げてしまう。
これは赤の他人ではなく、身近で大切な人に対しても起こります。
応援しているつもりなのに、実は自分の期待を押し付けてしまっている。
そんなことは、誰にでもあるのだと思います。
「本気の応援」とは、相手を信じることだけではなく、自分の願望を手放す勇気を持つことだとも言えるかもしれません。
これは言うほど簡単ではありません。
むしろ、応援されることより、応援することの方が難しいのかもしれません。
ちなみに、カヤックでは、失敗が減点ではなく加点になる文化をつくってきました。
面白いチャレンジを推奨する組織において、失敗していないということは、何もチャレンジしていないことでもあるからです。
いま思えば、これも「応援の文化」をつくろうとしていた結果だったのかもしれません。
また、カヤックが事業数の多い、とても「とっちらかった」会社になっているのも、みんなのやりたいことを応援してきた結果だと言えます。
本来、資本主義では「選択と集中」が求められます。でも僕たちは、「やりたい」をできるだけ大切にしたい。
ただ、成長しなければ市場から退場します。だからM&Aなども活用しながら、成長と「とっちらかり」の両立に挑戦しています。
そんなことを考えていると、ある疑問が湧いてきました。
「みんなのやりたいことを応援する組織」を目指したとき、やりたいことがある人ばかり集まったら、今度は応援する人がいなくなってしまうのではないか。
そこで、あらためて気づいたのが、カヤックの「ブレスト」文化でした。
ブレストについては、これまでも何度も社長日記に書いてきました。
ブレストの効能は、単にアイデアを出すことだけではないとお伝えしてきましたが、そのひとつが応援につながることです。
なぜそんなことが起きるのでしょうか。
人は、自分で考えたアイデアには自然と愛着が湧きます。
ブレストでは、誰かのお題について、みんなで自由にアイデアを出し合います。
最初は「人のお題」だったものに、自分のアイデアが少しずつ混ざっていく。
すると、いつの間にか、そのお題が「自分ごと」になっているのです。
つまりブレストは、人の夢を自分の夢に変える装置とも言えるのではないでしょうか。
「人の夢」を、「自分の夢」に変えること。
これこそがまさに、応援そのものなのだと思います。
だから、世界に応援する人を増やしたいのなら、もっとブレストをすればいい。
……という、僕の持論である、いつものブレスト万能論に行きつきました。
ちなみに、ジンベーニョは、自分が主役になろうとはしません。
誰かの夢を応援することが使命のキャラクターです。
でもそのうち、ジンベーニョもブレストを覚えて応援の名人になり、気づけばジンベーニョ自身も新しい夢を見つけるのかもしれません。
★ジンベーニョの公式サイトはこちら★

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