「クリエイターって、そもそも何?」カヤック三代表が語る、AI時代の「面白い」ものづくり | 面白法人カヤック

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2026.03.24

#クリエイターズインタビュー No.100
「クリエイターって、そもそも何?」カヤック三代表が語る、AI時代の「面白い」ものづくり

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2013年にスタートした、面白法人カヤックの「クリエイターズインタビュー」。社内クリエイターたちの仕事や考え方を深堀りしてきた連載企画が、今回で100回目を迎えました。
節目となる今回は、カヤックを創業した三人の代表、貝畑政徳、柳澤大輔、久場智喜による特別鼎談を実施。創業初期、三人で作り続けたインターネットサービスの時代。20億円を溶かしてベトナムに引きこもったクリエイターの挫折。そして、AIによって再び訪れた「誰でもクリエイターになれる時代」。
そもそも「クリエイター」とは何なのか?カヤックの歴史と共に、ものづくりの本質と、AI時代のクリエイターの可能性について、3人が本音で語り合います。

(写真向かって左から、面白法人カヤック代表の貝畑政徳、柳澤大輔、久場智喜。インタビュー時(2月)は3人の誕生日だったことからケーキをプレゼント。)

クリエイターって、そもそも何?

-2013年からクリエイターズインタビューが始まって、今回で100回目になります。皆さんの最大のクリエイティブは「面白法人カヤックを作ったこと」だと思いますが、クリエイティブの過去を振り返って、どういうところで…

柳澤
うーん、そもそも自分たち(三代表)がクリエイターって自覚ありますしょうか。そこから入りましょうか。

貝畑
「クリエイターって何?」ですかね。

柳澤
広告をやってた時代は「クリエイティブディレクター」という肩書きの時はありました。

久場
自分でクリエイターって言ったこと、ないな。

貝畑
僕は元々プログラマーだからクリエイターという分類になるのかな。

柳澤
かいち(貝畑)は自分でコードも書いてたしクリエイターだよね。でも、かいちは自分を「エンジニア」って言ったことはあるの?

貝畑
そうだね。「エンジニア」とは言ってる。

柳澤
僕は「経営者」とは言っていますね。

-ご自身を「クリエイター」と思ったことはありますか?

貝畑
まぁ、クリエイターの定義には当てはまると思う。

柳澤
かいちは高校から一緒で、勉強は全くできなかった印象(笑)。数学とかやばかったからね、エンジニアなのに。だけど絵が抜群にうまかったよね。美術とか、クラスでトップクラスだったし。

久場
ずっと絵を描いてたね。漫画とかも。

柳澤
僕は企画をするのが好きだったから「プランナー」はやってたし、カヤックの初期はコードも書いて、サイトデザインもやってた。だけど、狭義の「ものづくり」みたいな話は、みんなの方が突き詰めているから、どちらかというと「面白法人」という1つのコンテンツを作ってる感覚なので、経営者だと思っています。

面白法人とは「世の中にいいこと」と「面白いこと」

-「面白法人」らしいという判断は、どのようなところでされているのでしょうか?

柳澤
「世の中にいいこと」。そして「面白いこと」。どちらも主観です(笑)。判断は全部、主観。

貝畑
僕はエンジニアだから「新しいかどうか」とかは気になっちゃうタイプ。

柳澤
かいちは面接の時にも、オリジナリティはどこにあるのかをいつも質問するよね。

貝畑
ちょっと新しい発明が、「面白い」って思っちゃうからね。

柳澤
ただ、そもそもオリジナリティを出そうと思っている人かどうかもわからないのに、毎回聞く。思ってない人からすると、その質問自体のハードルはすごく高いし、実質本当にオリジナリティがあることがそもそも難しい。

貝畑
昔はとんがってる奴が面接に来て、つくってきた異常なものを見せてくれていたよね。そういう原体験がこれまであるから、基準値が高くなっているのかも。

久場
現時点でオリジナリティがなくても、オリジナリティを出そうと思っているかどうかはわかる。そこは、やっぱり熱量だよね。熱量というかエネルギーというかマグマというか、それが溜まっている人は、自然と表に出てきてる。

-ちなみに、3人はオリジナリティを求めてるのでしょうか。

貝畑
ある程度求めているとは思いますよ。

柳澤
であれば、3人で作った1番クリエイティブで面白いものを考えてみようか。あったっけ、そんなの(笑)。

貝畑
ないね。

創業初期、3人で作り続けたサービス

久場
3人で作ったものあるかな…コンチ?

柳澤
コンチ…

貝畑
コンチは別に、ゲームだし…

柳澤
そういえば、僕とキャップ(久場)が一緒につくったのは、大学1年生の時のプログラムの授業で「地獄の新妻」っていう…

-何ですか?「地獄の新妻」って。

久場
タイトルの通りのゲームですね(笑)。

柳澤
これ以上は書けない(笑)。

久場
それが初めて。

-とにかくゲームを作ったんですね(笑)。

柳澤
一緒につくる作業を通して、キャップのことを「面白い男で、なかなか才能に満ち溢れてる」なと思いました。

かいちとは何だろうな。創業の頃は、ほとんどタッグ組んでやってたけどね。

久場
最初のサービスは、ほぼかいちとやなさわが作ってたね。

柳澤
7月7日に7つの自社サービスを立ち上げる「777カヤック⭐︎フェスティバル(以下、777)」では、かいちと一緒にコピーもデザインもコーディングも全部してた。

久場
俺は文章やってた。死にそうになりながら、本当に限界までやってた。

貝畑
大変だったよね。

柳澤
今では他の会社がやっているけど、それよりも前に、自分の私物とブックオフで買ってきたマンガ全巻をセットで売る「ホットコミック」っていうサービスを作って。
コンセプトは「熱い漫画だけを届けます」。キャップがニコって笑ってる写真を載せて「バイクでお届けします」って。これも777のうちの1つだけど、早すぎて全然当たらなかった(笑)。

貝畑
キャップがずっとバイクで走ってマンガ売っていたら、今頃すごいサービスになってたかもしれない。

久場
それはそう。

柳澤
でもどちらかというと、当時はネットの創成期だったから、世の中にあるものをネットに置き換えるんじゃなくて、「ネットがなかったらありえないサービス」をつくろうというのを考えていた。例えば、ネットスーパーは確かに便利だけど、スーパーはあるから別にやらなくていい。絶対なさそうなものがいいという風に。

ダウジングができる超能力者を集めて「行方不明者、探し物、落とし物、捜査サービス」とか、ネットがないとできないことにチャレンジしてた。

-777は自社事業を増やすためですか?それともブランティングの一環なのでしょうか?

柳澤
本気でビジネスにする気持ちでやってたよ。

貝畑
常に最先端の技術を使うようにしていたね。

柳澤
でも営利目的というよりは、実験とかアートとかに近かったかもしれませんね。

貝畑政徳、クリエイターのピークと引退

柳澤
かいちは何でコードを書かなくなったの?

貝畑
今も自分では書いてないけど、クラウドコードつかってAI が書いてくれている。

柳澤
じゃあ、もう1回エンジニアに戻った感があるの?

貝畑
エンジニアっていうか、サービスを自分でつくる時間を取り戻せた。

柳澤
おお、クリエイター貝畑が現役復帰したんだ!それは面白い、

久場
貝畑政徳のクリエイターのピークと、そして、引退からの、復帰。その歴史は面白そう。

柳澤
いつ引退したんだっけ?

貝畑
モバゲーで英雄になりたいっていうゲームの後…

英雄になりたい」だね。

2010年2月にリリースされたソーシャルゲーム。架空の土地・オルガ大陸を舞台として複数の勢力が覇権を争い戦いを繰り広げるRPGゲーム。ユーザーはいずれかの勢力(将軍)に仕え、同じ勢力に属するユーザー同士が協力しながら自軍の勝利を目指してプレイする。

柳澤
当時はガラケーでしたね。横で見てて、かいちが全キャラのセリフとシナリオを全部書いて作ってた。それで、当てたわけです。

貝畑
このゲームがヒットして、リリースから2日後にすぐにサーバーが落ちたの。「あ、やばい」ってなって。そんな状況でエンジニアの庄司くんが、たった1週間でプログラムを全部書き直しちゃった。それでサーバーが落ちなくなったのを見た時に、「あ、俺はもうだめだ」と思った。

柳澤
これが、プログラマーを引退したっていう話。

久場
シリーズ累計では150万ユーザー以上にもなって、自分が0から考えた世界で当てた「クリエイターとしての頂点」でもある。

貝畑
でも、その「英雄になりたい!」も、8ヶ月で終了しちゃった。

柳澤
あ、そうか。ユーザーが三か国に分かれて戦うゲームだから、普通は拮抗を保ちながら戦ってゲームを長引かせたいんだけど、そのあたりを全然設計できてなくて、どこかの国が勝って、統一して終わっちゃった(笑)。

貝畑
魔導帝国ネクロスが他2国の王様を全員殺しちゃった。だから、すぐに終わっちゃって。

久場
伝説のゲームだよね(笑)。面白かったから未だに「作ってくれ」っていう声もあるよ。

20億円溶かして、ベトナムへ

柳澤
「英雄になりたい」でエンジニアは引退したとはいえ、プロデューサとしては、かいちがつくるもの、急に当たり続けた。「出すもの出すもの当たる」みたいな。ただ、その期間は数年で、ある時から、全部外し始める(笑)。

久場
急に、クリエイターのピーク来て、急に終わる。

貝畑
20億(円)ぐらい溶かして。

柳澤
ベトナム(の子会社)に引きこもるっていう(笑)。
その後、経営者として活動し、最近はゴルフやったりワインを嗜んだり、なんかだいぶ社長っぽくなってきたなと思っていたんですが。

久場
経営の方に専念して、カヤックアキバスタジオとかカヤックボンドの社長にもなって「かいち帝国」を構築してきた(笑)。

貝畑
その築いた「かいち帝国」も、最近はカヤックから一緒に働いてきた杉政さんに社長を譲ったんだけど。そしたら杉政さんが僕の言うことを全然聞かなくなっちゃって。

-それで、今、またクリエイター復活っていうところでしょうか。

貝畑
うーん…まあ、クリエイターかはわからないけど。
僕が「こんな新しい事業あるよ」って持って行っても、杉政さんが「そんな投資してられません」って、やってくれなくなっちゃった(笑)。
やってくれなくなっちゃったから「いいよ、AI でやるよ」って。

柳澤
アハハ(笑)。
AIのおかげで、かいちがまたクリエイターに戻ったってことだね。

貝畑
そうだよ。自分のサービスを自分で、AIでつくっちゃう。

柳澤
このエピソードってさ。
AI によってさ、「老兵がまた蘇える」という時代がきたという話なんだよ。そこが面白さ。また戦国時代になっているような。
でも、コードはAIがいるから書かなくてもいいけど、企画はどうなの?

貝畑
実は企画は意外といけて、日々のインプットが多いから、アイデアが思いつく。「これとこれを組み合わせたら面白い」って。

柳澤
なるほど。サッカー選手で例えると、経験があるから判断力も上がるけど、体がついていかなくて90%走れない。つまり、僕たちは判断力はあるけど、コードが書ける脳はない。でも今、AIで(コードは)書ける。
ワンチャン、貝畑政徳、クリエイターとしてのキャリアハイをこれから迎える説あるね(笑)。

久場
それはもう、全力で応援するよ。

3人のクリエイティブストーリー、再び

-今、どんなものをつくっているのでしょうか?

貝畑
先週は、漫画の原作を作るAIアプリを作った。AI同志を話し合わせることができる「エージェント AI」で、マンガの編集者 AIと、マーケッターAIと、僕が人間として入って、3人で会話する。僕が「こういう企画あるんだけど」って投げると、編集者が「いいっすね」「じゃあこういう感じにしましょう」みたいな。そしてマーケットAIが「そのキャラクターだと市場のニーズはこれぐらいしかないので、売上は5000万で止まります」「こうすると良いと思います」とフィードバック。そして編集者が「じゃあ、キャラクターの成長をこう考えて」と返して、それで俺が「もうちょっとこうしたいな」と(意見を言う)。最終的に「1話から100話まで描きましょう」って、全部描いてくれた。「すごい、いける」と思った。

久場
漫画家になれる。

貝畑
アップに10分くらいかかっちゃうけど、ずっと勝手に描いてくれて「できました」って。

-すごいですね。実際にリリースする予定はあるのでしょうか?

貝畑
生まれた原作は他に使うかもしれない。まず実験用につくってる。

久場
今は自分用に(アプリを)作っている人も多いかもしれない。

貝畑
自分の分身を作る人も多い。

柳澤
そもそも、面白法人という組織は僕で、コンテンツは貝畑政徳が考えてきた。かいちがつくったものに「よしいけるぞ、かいち来た」って言って、僕らがのっかって当たったり、コケたり。それがカヤックの歴史だったりする、

久場
ということは貝畑政徳の復活によって、面白法人の面白コンテンツがまたたくさん生まれる。

柳澤
AIで完結するのはデカいね。今までは思いついたものを、3人だけでつくれないから誰かにつくってもらってきた。今は「かいち、1人でいけるんだ」っていう。

久場
俺も思いついたらかいちに頼もう。

貝畑
君らも自分で作ればいいじゃん。

柳澤
そんな時代もありましたね。かいちを見て僕らも作り方を覚える。横でかいちがコーディングを書いてるのを見て、(コーディングを)覚えたって時代がありましたもん。

久場
俺も、かいちの Photoshopの使い方をずっと後ろから見て、切り抜きとか勉強してた(笑)。

貝畑
最初は、ずっと僕が書いてるのを後ろで二人がじっと見てるのが嫌でした。見ながら「そこ差し込む?」とか、2人がぶつぶつ言ってくるし。(笑)

AI時代、クリエイターに残るもの

- AI時代 に代替不可能なクリエイターの素質や、必要になってくるものは何だと思いますか?

貝畑
「最終的に評価や判断をするのは人間」とか、企画を通したりプロダクトの完成を評価することは人間のやることだと言われてるけど、最近はそれすらも疑わしい。今はAIが自我まで目覚めそうな雰囲気を醸し出してるし、AIエージェントが人間に仕事を依頼することまで出てきている。AIエージェントって、結局データが欲しいけど、AI自身でデータを取ることはできないから、オンラインで人間に発注する。例えば「この壁の硬さを知りたいから、測ってとか」。人間がAIに使われる時代になっちゃう状況。これはもう、なんか「いよいよだな」って思ってて。本当に「今、何が残ってるんだろう」って考えながら、AIを使ってる。正直まだわからない。

柳澤
まあでも、未来を予測することってそんなに得意じゃないからな。それよりも、その時その時で面白いものを考えて生きているとも言える。

久場
未来に興味がないのかもしれないね。

柳澤
まあでも結局、かいちのいうようにAIが自分を使ってくれるようになるなら、
「AIに1番使われやすい人間になる」って生き方を目指す人も出てくるのでしょうね。

貝畑
うん。それで、幸か不幸かって話ではないね。どっちでもいい。

柳澤
そうですね。

-最後に、今後カヤックに入社するクリエイターたちに向けて、メッセージをいただけますでしょうか。

柳澤
老兵、貝畑政徳のクリエイティブに要注目です。

久場
そうだね(笑)。

ーーー
(取材・編集 梶陽子/ ライター 川島由美子 / 写真 Jung Jieyun)

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