生涯の師とは一体どういうことなのかという話(後編) | 面白法人カヤック

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2020.05.25

#面白法人カヤック社長日記 No.71
生涯の師とは一体どういうことなのかという話(後編)

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前回の社長日記では、生涯の師とはなにかという考察を書いてみました。そして今回は、2020年2月に亡くなった僕の生涯の師である方についてのエピソードを書いてみたいと思います。

その先生は、太郎先生といいます。僕の中学時代の個人塾の塾長であり、大学時代は、塾講師のバイト先の上司でもありました。ちなみに、この塾の講師時代の教え子が、面白法人カヤックの管理部取締役に現在なっており、そういった良い出会いをいただいた場所でもあります。

それでは、師としてどんな気づきをいただいたのか。
それはその会う時々で違うのです。だからこそ「生涯の師」と呼べるのですが。

たとえば、一番最後にお会いできたのは、亡くなる一週間前でした。全身にガンが転移し、安らかに眠ることを目的とした終末医療専門の病院に入院され、病室に見舞った時は、半分はしっかりと話してはいましたが、半分は朦朧とした中でのなんだかわからない話をしていました。ただ、そのなんだかわからない話は、よくよく聞くと死というものについての示唆があるのです。具体的には、だんだん眠っているのか起きているのかわからなくなる世界になり、暗闇の中に光があって、その光を見つめていると、時間という概念もなくなり・・・と朦朧としながらも話してくれるのですが、自分の置かれている状況を朦朧としながらも追求し、言語化しようとし、死というそのものを最後まで表現しようとする、その姿勢は自分も最後までありたい姿勢そのものであり、先生の話す姿を見ると、なんだか死が怖くなくなるのです。

そして、その前にお会いした時は、ちょうどその一年前。確か、僕と僕の後輩の教え子と一緒に、後輩の結婚(後輩とはいえ40を超えてるので比較的晩婚です)の報告に行った時です。その時は、これから夫婦になるであろう二人への夫婦間の性生活に対するアドバイスでした。

内容が内容だけに、ここでは詳しく描きづらいのですが、その考え方はもはや聞いたことがないレベルで、そしてそこにはなるほどそこまで極めれば、それはある種の儀式であり、お互いによってお互いを無敵に感じさせる、これこそが究極の愛なのかもしれない世界を感じさせる示唆がありました。

あるいは、もっと遡って、自分が塾の一生徒だった時代には、こんなにも大人なのに、生徒を対等に扱い、同じ目線で、生徒と一緒になって一喜一憂しコミットする。そんな姿勢に子供ながら感銘を受けました。

僕がカヤックのような、比較的フラットな組織づくりを目指すに至ったのは、人には上下もなく常に対等であるということを自分の両親からも教育を受けててきたことにも由来しますし、それこそ母校である福沢諭吉先生の影響(「「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」」)もあるのでしょうし、この太郎先生に薫陶を受けたこともあります。多くの人に影響を受けて、いまの自分があります。

のちに、自分がそこで講師として働き始めた時は、地元の個人塾でありながら、大手の塾にはない情熱とオリジナルな手法で結果を出すことにもヒントをいただき、いまのような決して規模は大きくないカヤックの経営にも繋がっています。そして、大学卒業とともに塾講師のアルバイトも卒業した時は、卒業祝いということで、「今まで話したことなかったけど」と先生自身が40歳過ぎて塾を開くまでの歴史を語ってくれた時には、その話が面白過ぎて(ここでは割愛しますが。かなり世の中的にも面白い活動と結果をしている方だったのです)、そしてそれを卒業するまで話さなかった、自慢しない姿勢を学びました。

そして、特に忘れられないのは、僕らが上場の報告に行ったときのことです。「カヤックはサイコロ給という、資本主義市場のど真ん中である上場市場で、まるで資本主義からは外れた制度があるのが最高だね。これはある種、一番の発明だし、これからの資本主義へのヒントを持っているよ」と言ってくださいました。その一言で、それから4年後、「鎌倉資本主義」という考え方を発信し、従来の資本主義をアップデートするという大それたチャレンジをしてみようという後押しをしてもらったのです。

自分よりも大人が、そして自分が師と仰ぐ人が「お前に期待している」と言ってくれること、それが自分の人生にとって後押しになります。

前編の社長日記でも書きましたが、自分の成長に期待してくれる。これは生涯の師への必須条件です。もちろん、成長のためにどのような関わり方をするかは、これに限らずいろんな方法があると思います。上記のように期待の言葉をかけてもらうことが後押しになることもあるし、厳しいことを言われて奮起することもあります。もちろんダメ出しされたこともあります。それも大きなきっかけとなったり、その後に成長を報告して一緒に喜んでもらえるのであれば、それはやはり師という存在だろうと思います。と、想い出話をついつい書いてしまいました。

改めて、生涯の師に心よりの冥福をお祈りしたいと思います。
どうかあちらの世界でも楽しんで。

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