カヤック×村式の最強タッグが盛り上げる!三方良しの『生牧草バンク』誕生の裏側 | 面白法人カヤック

Client Work

2023.06.05

#クリエイターズインタビュー No.75
カヤック×村式の最強タッグが盛り上げる!三方良しの『生牧草バンク』誕生の裏側

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引退した競走馬・功労馬の健康と幸せのため、美味しい「生牧草」を贈るサービスをつくりたい。1977年の創業以来、動物への思いを大切にしてきた中央牧草センターの構想をもとに、カヤックと村式の最強タッグが取り組んだクラウドギフティング『生牧草バンク』(2022年10月リリース)。社会的意義が高く、かつてないサービスを期待以上の形で実現化させ、世に広めることができた裏側とは......?

右から:増田浩二さま/株式会社中央牧草センター代表取締役社長、増田城光さま/株式会社中央牧草センター専務取締役、板井綾子/面白法人カヤックプロデューサー、武井勇一朗/村式株式会社システムエンジニア

◆全く新しいものを創造できて、大事な思いを託せる会社を探していた

ー今回の案件、引退馬に生牧草を贈って支援する『生牧草バンク』はどのような形で始まったのでしょうか。

増田(城)専務
構想自体は8年前くらいから考えていました。近年になってやっと、引退した競走馬の第二・第三ステージにも目を向けていこうという国や業界の動きが活発化してきて、「やるなら今だ!」と決心したんです。
弊社が運営しているEC『うちの仔グルメ(uchinoco gourmet)』でも、引退馬に対して生牧草を個人的に寄付するユーザーが増加しており、既存のサイトをリニューアルしようと思ったことが始まりです。

▲2022年10月にリリースされた『生牧草バンク』。簡単な操作で、引退した競走馬・功労馬に新鮮な食事(生牧草)を一年中いつでも贈ることができる

ーカヤックに依頼された理由とは?

増田(城)専務
社内からの推薦でカヤックさんを知り、WEBサイトや実績例を拝見したところ、「自分が想像している以上のことをやってくれるのではないか」という期待が大きかったからです。というのも、私がイメージしているものがガチガチに固かったんですよね。

増田(浩)社長
リニューアルを考えた時にキックオフをしたのですが、やっぱり真面目で固い分野が得意なメンバーなので......。もっとフリーにつくりたいと思いまして、その点で「カヤックさんだったら面白くつくってくれるのでは」と感じました。

増田(城)専務
今まで誰もやったことがないサービスなので、全く新しいものを創造し、広げていける会社に頼みたかったんです。
課題は、既存のECサイトに組み込んだ上で、弊社の販売部が使いやすい形にすること。また、私自身がITに詳しいわけではないので、私でも簡単に扱えるものをぜひつくってもらいたいな、と思っていました。打ち合わせの際、技術的なことはちゃんとお伝えできなくてもやりたいことを拾ってもらえたので、とても助かりました。

ー社会的意義がとても高いプロジェクトですよね。CSRの一環ということでしょうか。

増田(城)専務
『生牧草バンク』に限らず、弊社は社会的貢献活動に長年力を入れているんです。今回も、土からこだわってつくってきた生牧草が動物にとって本当にいいものだということを伝えつつ、引退馬を応援しやすい形をとにかくつくりたかった。人間の老後だけがいつも議論されていますが、動物の老後には支援が無くていいのか、と疑問に思うんです。実際にそう感じている人はたくさんいますし、その人たちが、企業の一方的な押し付けではなく自ら参加しやすい仕組みをつくりたくて......。本当にその思いだけで依頼しました。

私たちは草食動物のためのごはんをつくる会社として、その先には何があるのかを常に考えているんです。「自分たちがやっている事業が動物の健康と幸せにつながり、その姿が子どもたちの笑顔や豊かな未来につながっていく」と、自信を持って言える仕事でありたい。カヤックさんと最初にお話した時に深く共感していただき、大事な思いを託せると思えました。

▲「農薬や化学肥料を使わず自然に育てた生牧草には絶対的な自信があります」と増田専務。土づくり、種まきから、生産、出荷販売まで全て自社で手がける

▲生牧草を一年中安定して供給するために、増加し続ける耕作放棄地を再活用。引退馬の支援のみならず、全国の畑の管理保全にもつながる

板井
お話を伺った時にとても感動して、単なるECでは中央牧草センターさまのやりたいことが表現できないのでは、と感じました。そこで、ECの知見も豊富で、やりたいことに対して開発者視点から柔軟に対応してくれる村式さんにも声をかけさせてもらいました。村式さんとは同じ鎌倉に拠点を置く会社同士、昔からつながりが深いんです。

◆カヤックと村式のタッグならでは。今やりたいことを最大限魅力的に見せる工夫

ーECサイトをリニューアルし、サービスを広めたいという依頼に対して、どんなことを提案したのでしょうか。

板井
実現したいポイントを三つお伝えしました。ひとつ目は、誰でも簡単に参加できるようにすることです。応援したいお馬さんの住所が裏側で設定されていて、ユーザーはボタンを押すだけで生牧草を送れる仕組みです。
二つ目は、応援したいお馬さんの引退先や住所が分からない場合にも、他のユーザーに呼びかけて居場所を探し、登録馬を増やせるようにすること。
三つ目のポイントとしては、寄付アクションのハードルを下げるため、複数のユーザーが集まって一頭の馬を応援する「ひとくち購入」という仕組みを考えました。コンセプトは、皆で協力し合う「クラウドギフティング」という新しい概念です。

ーなるほど、ライトユーザーも簡単に使えて、ユーザー同士が助けあう仕組みは、寄付アクションの活性化や自走にもつながりますね。他にもこだわった部分はありますか。

板井
『生牧草バンク』の心温まる世界観が表現できるようなデザインを意識しました。また、面白要素として、支援量に比例してユーザーさんのレベルが上がる「アンバサダーレベル」も盛り込みました。優しい気持ちでサイトを訪れてくれるユーザーさんが、ちょっとでも嬉しくなってくれるといいなと思って......。

ー単なるECと違い複雑な仕組みのようですが、制作するにあたって難しかった点や、気をつけた点はありましたか。

板井
前述した提案だけでも、実装が3パターンあるんです。募集した住所を裏側でひとつのパッケージにして、ある程度自動的に送れるようにする仕組みもけっこう複雑で......。また、生の牧草という性質上、寄付を届けるタイミングや量を裏側で管理することが必須です。

武井
もともとShopifyで運営されているECがあって、どういう風に連携するかという話からスタートしたんですよね。でも、3社で話し合っていくうちに、連携するよりゼロからやってもいいかもしれないと思いました。ただ、どうつくるのか、という実装の部分は本当に悩んで行きついたという感じです。そこは、システムエンジニアとしての一番の力の見せ所でした。

増田(城)専務
やる気が出る仕事をお願いしたんですね、笑。

武井
やりがいがありました、ありがとうございました、笑。
増田専務が気にされていた使いやすさについても、かなり意識しました。管理する上でどこを自動化してどこを手動にするか、コストと運用のバランスを見ながら、増田専務、板井さんと僕で毎週会議をして取捨選択しましたよね。

板井
取捨選択も、増田専務が提案に耳を傾け、スピーディーに判断してくださったので助かりました。

増田(城)専務
「じゃあ、それで行こう」とすぐに思えたのは、どれも納得できる提案だったから。専門的な知識無しに頭の中に描いていたものがどんどん形になっていくので、本当に満足感と楽しさがありました。

板井
全く新しいサービスなので、現時点の想像だけでフル装備してしまうと、開発費も開発期間もオーバーしてしまう。今やりたいことを最大限魅力的に見せつつ、拡張性を残すという形にして、今後やりたいことが出てきた時にはどんどん盛り上げていけるように設計しました。難しさはありましたが、村式さんと一緒だったからこそ、ここまでいい内容とスケジュール感で実現できたのだと思います。

◆「どうしたらできるか」を考えぬき、クライアントの思いに寄り添う

ー『生牧草バンク』のリリース後、どのような変化を感じますか。

増田(城)専務
最初は寄付したいユーザーさんがお馬さんを登録してくれていたのですが、口コミで紹介が広がり、今では牧場さんも自らお馬さんを登録してくれて、すでにフェーズが変わりました。

増田(浩)社長
現時点で『生牧草バンク』には400頭近く登録されていますが、競走馬の全体数からするとこれは画期的な数。 例えば関東にあるJRA美穂トレーニングセンターは約2000頭分の馬房を持っているのですが、その5分の1ほどに値する。期待以上でした。

増田(城)専務
贈られた生牧草を喜ぶお馬さんの様子が牧場さんのSNSでシェアされ、一気に『生牧草バンク』の認知が広がりました。本当に思っていたよりも早く広まりましたね。リリースから一年経っていませんが、出荷量が抜群に増えて売り上げも伸びています。

最近は世界的に輸入乾燥飼料の値段が高騰し、動物を飼養するコストがすごく上がっている。ユーザーさんから生牧草が届くのは、牧場さんにしてもとてもプラスになるんです。社長の受け売りですが、まさに「三方よし(売り手と買い手が満足し、さらに社会貢献もできる)」の精神ですね。

増田(浩)社長
私たちの生牧草の良さを知っている方が多かったのも強みでした。クラウドギフティングがここまで広まったことには、創業から50年間、動物のからだに本当にいいものを、一年中安定して供給し続けてきた裏付けがあります。

増田(城)専務
そういった中央牧草センターの強みや、築いてきたブランディングを理解して大事にしてくれました。優しい雰囲気のサイトデザインもイメージ通りで、私たちがどうしても崩せない部分に寄り添い、汲み取ってくれたことが伝わってきました。

ー案件をあらためて振り返ってみて、どのように感じますか。

増田(浩)社長
最初にお話した時、「今までに無かったサービスですよね。面白そうですね!」と熱量を持って言ってくれたんですよね。競馬業界特有の難しさもありますし、最初はふわっとした話でしたが、大きな可能性があると捉えてくれた。「私たちが考えているもの、目指しているものを理解してくれるんだろうな」と嬉しくなったのを覚えています。

板井
私たちは、まだふわふわしたイメージから、じっくりお話しを聞きたいという思いがあるんです。そこに対してアイデアを思い切り出し合って、寄り添いながら実現化していくことが大好きなメンバーなんですよね。そこがこの座組みの強みだと思っています。

武井
村式としても、カヤックさんのアイデアありきなところがあって、一緒に仕事していて楽しかったです。カヤックさんの企画力と村式の制作力で、いいシナジーが生まれたのではないでしょうか。

増田(浩)社長
カヤックさんも村式さんも、いつもこちら側のお願いに対して「どうしたらできるか」を試行錯誤してくれるんです。
私たちは「できない」ではなくて「どうしたらできるか」と考えて進めることを大切にしている会社なので、こんな風に柔軟に取り組んでくれるなら次も頼もうか、と思ってしまいますよね、笑。

増田(城)専務
お互いにしっかりコミュニケーションが取れていましたよね。

板井
たしかに、同じ会社の社員同士のようによく会話しましたね。

増田(浩)社長
今おっしゃったことに尽きますね。最後は同じ会社かと思えるくらいの動きになった、そこがうまくいった大きな理由でしょうね。

▲中央牧草センターにある、増田社長とっておきの場所で記念撮影。ワンチームのような関係性

板井
武井さんも私も動物好きで、個人的にすごく思い入れを持ってしまって......。『生牧草バンク』は素晴らしすぎるサービスなので、何としてでもたくさんの人たちに知ってもらいたいし、ずっと見守っていくつもりです!

増田(城)専務
そういう思いを込めてもらったのも、ちゃんと伝わってきましたよ。だから、安心して下駄を預けられました。

増田(浩)社長
そういえば、知り合いの馬主さんから「知名度が高い馬ではないけれど、生牧草を贈ってもらった」と聞きました。遠方から応援してくださるユーザーさんに感謝のお手紙を書いたら、それ以来交流が続いているそう。専務の目指していた循環も、ちゃんと生まれている。

増田(城)専務
一企業だけでやろうとしてもなかなか果たせない社会的意義のある活動も、『生牧草バンク』ならつながり合って協力し合って実現できる。広がるほどにお馬さんの幸せに直結するサービスなので、もっともっと登録数を増やしていきたいですね。感動を与えてくれたお馬さんたちの幸せのため、日本の馬社会をもっと豊かにするため、今後も頑張っていきたいと思います。

(取材・文 二木薫)

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