世界の潮流は、境界線のない未来へ向かっている | 面白法人カヤック

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2019.02.27

#面白法人カヤック社長日記 No.52
世界の潮流は、境界線のない未来へ向かっている

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先月の社長日記で、カヤックが鎌倉に竣工した新社屋についての記事を書きました。その中で、「まち全体をオフィスに見立てられるように設計した」という話を書きました。

新社屋で仕事をし始めて、数ヶ月経ちましたが、この狙いはやはり正しかったなと思います。鎌倉は景観保護の観点から、あまり大きなビルを建てられないこともあり、カヤックのオフィスも、会議室棟、開発棟、まちの社員食堂など、拠点がまちに広く点在しています。ですから、拠点間を移動する際には、社員はいちいちオフィスを出て、街中を歩かなければなりません。

これが非常に気持ちが良いです。まず運動になる。そして、オフィスの中にこもって仕事を続けるよりも一日の勤務時間の中で、移動のたびに街に何度も出るので、気分転換にもなる。まちで社員だったり、あるいは地元の住人の方たちとすれ違って挨拶をするのも気持ちが良い。まちの社員食堂に行けば、別の会社の人と知り合いになったり、時には社員の家族が食べに来ていたりして微笑ましくなります。このまま、まち全体をオフィスに見立てるということを進めていくと、たとえば、ちょっとした空き地が会議室になってたり、地元の商店街のカフェの軒先をオフィスがわりにリモートワークしてもいいでしょうし、とあるビルの屋上がコワーキングスペースになったりと、セキュリティなどクリアするべき問題はあるものの、オフィスという空間の境界線はどんどん、曖昧になる方向に変化していくんだろうなという気がします。

境界線というキーワードは、先月の社長日記の記事にも出てきたキーワードですが、「境界線が曖昧になっていく」という潮流は、僕自身が社会人になって二十余年の流れを振り返っても、どんどん強くなっているのではないかと思います。

事業においても、そう感じています。たとえば、面白法人の主要事業のひとつにクライアントワーク事業というものがあります。もともとは広告制作事業というくくりでスタートし、僕自身も、その事業の現場にどっぷり浸かって、世界三大広告賞のひとつであるカンヌ広告賞の審査員を務めました。その審査会でも、応募作品の中に、果たしてこれを広告と呼んでいいのかどうかといったようなプロジェクトが出てきては、広告の定義について議論したものです。その結果、どんどん広告の定義が曖昧になっていきました。それを踏まえて弊社でも、当初は広告制作事業という呼称だったものを、クライアントワーク事業と呼称を変えていきました。今やその事業の内容を見ても、一体何をやっているのか一言では定義できないぐらい多岐に亘っています。

あるいは、最近僕の母が認知症になってしまい、介護業界のことを学んでいるのですが、介護の世界でも、介護が必要な人を隔離するのではなく共生の方向に向かったり、あるいは、介護と医療の領域がきっちりと分かれていた世界から一体化の方向に向かいつつあったり、介護施設であっても、普通の住宅スペースがあって世代を超えて同居できたり、カフェやバーが併設されていたり、といったごちゃ混ぜの空間の場所が、人間的で人気だということもわかりました。実際に、たとえば母を連れてレストランに行ったりして改めて気づいたのですが、普段の生活の中で、認知症の人と触れ合う機会はほとんどありません。みんなのいるレストランに、そういう人がそもそもやってこないのです。もっとあらゆる人が身近に、境界線なく触れ合うようになれば、あらゆる人の立場の人への理解も進むだろうと思うのです。

あるいは、地域活動に取り組み始めてから、様々な街の課題を知る機会が増えたのですが、最近でいうと、高級住宅街というものが必ずしも人気が出るわけではない流れがあるようです。中でも、住宅街だけの機能しかないところは特にそうです。仕事する場所、住むところ、買い物するところが別のエリアに分かれている。そんな地域よりも、ごちゃっと入り組んでいた方が面白い、この感覚が潮流としてきているような気がします。ちなみに、僕らがいる鎌倉は、狭い地域に海と山と文化的施設があるというのが最大の特徴で、昔から住みたい街としても人気がありますが、観光地としての人気も根強く、さらに、カヤックもそうですが、いろいろなベンチャー企業の拠点が増えたり、市としてテレワークを推進していたり、ますますいろいろなものが混ざり合った面白い街になってきている気がします。

ちなみに、観光で訪れた外国人にこんなことを言われました。「鎌倉という街はちょっとメインの通りを外れると静かな住宅街があり、しかもその住宅街の中に、またポツポツと面白い店があったりして、その境目がないのが面白い」。なるほどと僕自身も気づかされたことでした。

ちなみに、地域創生でよく言われる「コンパクトシティが良い」という話にもつながっているのではないかと思います。地方の問題のひとつとして、土地は都会に比べて広いのだけど、住んでいるところや生活インフラが点在しすぎていて遠いということがあります。人口構造が変わる中で、生活圏をコンパクトにした方が都市の運営コストが下がるということもありますが、何よりも、境界線をつくりすぎず、混沌や余白を残しておく方が、面白いまちづくりにつながると思うのです。それに、そもそも自分の街を楽しむために自分ゴト化できるサイズというのもあるはずで、その範囲にぎゅっと縮めてコンパクトシティにしてしまった方が、良いということなのだろうなと思っています。

・・・と、世の中をみわたせば、この他にも、境界線がなくなってきた事例はたくさん挙げられそうです。未来がどうなるかは誰にもわかりませんが、大きな潮流としてどちらの方に流れていくか、あるいはどちらが楽しいかは、なんとなく感じられると思うのです。

であれば、面白法人としてもこの潮流に乗っかり、会社同士のコラボレーションも、もっと積極的に行いたいと思いますし、働く仲間の雇用形態も多種多様にしたり、従来の株主と会社という関係性も、さらに新しい形を模索していきたいと思います。

そして、地域と会社の関わり方ということについても、もっといろいろなことができるのではないかと、引き続き模索していきたいと思います。

ということで、この延長でのお知らせを2つほど。

「まちの保育園 鎌倉」では、増築・増員に伴うクラウドファンディングを募集中です。

「まちの保育園 鎌倉」は、鎌倉で働く人、鎌倉で暮らす人たちをもっと増やしたいという思いから、鳩サブレーを製造販売する株式会社豊島屋と共同で2018年4月に開園した保育園です。地域ぐるみで子供たちの環境を豊かにしていく場として、現在23人の園児をお預かりしていますが、保護者の方からのご要望に応え、増築・増員を進めています。

また、今春には「まちの大学」を開講予定です。

これからも、鎌倉の会社で手を取り合って、この場所に住む人、この場所で働く人を増やす取組をしていきます。そして、ゆるやかな境界線の中で、組織の壁を超えて、面白い人がつながることで、いろいろな共生の形が生まれたらと思っています。

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