2013.07.25
#クリエイターズインタビュー No.7甲子園をつくったディレクターは○○ファン!?部員300万人を超える野球ゲームの真実
野球は好きですか?…なるほど、テレビでナイターを見たり甲子園の結果を気にする位には。それならカヤックにはおすすめの有名な野球ゲームがあるんですがご存じですか…
えっ知らない!? それならこの記事を一度読んでみてくさい。野球好きならきっと「おお!」と右手を出したくなる…というかインストールしたくなるはず!今回は、野球ファンが作った野球ゲーム、「ぼくらの甲子園!」の制作秘話を技術部の清真一朗です。企画部武田一輝に聞きました。


野球部じゃなかったけど野球が大好きだった
― もともとはいつ頃スタートしたのでしょうか?
- 清
- 2010年に携帯用ゲームとしてスタートしました。2012年からは「ぼくらの甲子園!熱闘編」としてスマートフォンを中心に展開し、今ではシリーズを通じてユーザー数約300万人となるメガタイトルとなりました。
― ゲームの特長は何でしょうか?
- 清
- 大きな特長は、ユーザー自身がチームの一員として力を蓄え、ユーザー同士が協力して甲子園をめざすという点ですね。他の野球ゲームとは少し異なる、ソーシャルのパワーを存分に活かした内容となっています。
― もともと野球が好きだったのでしょうか?
- 清
- 父親の影響で幼い頃から毎日ナイターに熱狂していました。好きなチームは巨人です。学生時代は甲子園にも憧れる日々を過ごした筋金入りの野球好きです。そんな「好き」の気持ちが、このゲームのメンバーへと僕を呼び寄せたのかもしれません。

- 清
- と言っても、僕は実際に野球部にいた経験はないんです。なので、とにかく頭で考えられる限りでの「理想の部活」をつくりました。アイデア出しの時にはマンガを参考にすることが多いんですが、今回も新旧の野球マンガを洗いざらい読みましたね。
人気が出過ぎてサーバーの容量を5倍に
― リリースしてみて反応はどうでしたか?
- 清
- リリース直前までは不安もありましたが、いざ世に出してみると大人気に。1週間ほどでサーバを5倍に増やさなければいけないほどに受け入れて戴くことができたのです。またその後も長く遊んでいただいているユーザーさんが多いのも、アプリのゲームとしては珍しい点といえます。
- 協力する部分が多いので、所属チームに愛着が出てくるんでしょうね。野球マンガにも辞めると言うメンバーを全員で引き留めたら、次の試合で団結力がより強まるなんて場面があったりしますけど、そういう繋がりなどを感じてもらえているんだと思います。
- 1人でクリアする以上に、大きな喜びを感じられる点もそうでしょうね。周りを巻き込んで目標を達成した時の喜びは、かなりうまくゲーム内に落とし込めたと思っていますので…。

誰でも遊べる甲子園
- 清
- 練習・特訓・試合の3要素をバランスよく配置して、誰もが「これぞ部活」という雰囲気を楽しめるようになっています。ここには、携帯ゲーム用に開発する時に決めていた「一日5分でできる野球ゲーム」というテーマと、「プレイヤーが選手の1人になる」という軸が生きていますね。
- 例えば、自発的に経験値を上げる「特訓」はヘビーユーザー用、自動で経験値が上がる「練習」はライトユーザー用にと設定されたものなのです。ただし、リリースから3年が経過した今では、スマホ版が中心となりユーザーのプレイ時間も増えているので、この基準も若干変化しています。ソーシャル面を強化するとともに、チームでできることを増やす流れへ。
- 武田
- その中で改善すべき点も多少ありました。僕は異動して約2カ月なのですが、一応10数年来の野球ファン(応援チームはやっぱり巨人)です。やりこみ型ユーザーにはとても響きますが、ハマるまでの道が少し厳しすぎるんですよね。ユーザーとしてアプリで遊んでいた頃の気持ちを元に、好きな人がより楽しくゲームを遊べる形に調整しました。
- 初心者の方でも挫折を感じて辞めてしまわないよう、育ちやすい仕組みをつくりたいんです。例えば、本番の甲子園に行く前にもあの雰囲気を体験できたり、段階的な目標を何か設定できたりするといいのかなと考えています。

撮影:植野恵三郎 (『ベースボールゲームマガジン Vol.07』に掲載)
― 開発チームは、どのような方針で制作しているのですか?
- 清
- 野球好きの集団が集まるチームの開発モットーは「全員野球」です。その言葉に違うことなく、職種に拘らず横断的に話し合いつつ、制作を進めています。普段から、必要部分以外は自由度が高い指示になることが多いですね。「面白さ」を各自が考えながら、個性を活かして細部をつくってます。
- ですから、ズレなどが出ないよう、フィードバックとコミュニケーションはこまめに取るようにしています。全部できた物をつくり直すより、早いうちに方向性を確認する方が修正もしやすいですからね。チーム作業ではコミュニケーションを密に取ることがとても重要なんですよ。
- 具体的には、3シリーズの開発メンバーが全員参加する朝礼や週一度の定例会議、ランチなど、メンバーが会話する時間を意識的に取っています。コミュニケーションの良し悪しってサービスに直に影響するんですよ。過去にあまりうまく行かなかった時期を考えてみると、たいていそこが原因でした。
- 武田
- 全員がスケジュールを意識して制作に取り組んでいるので計画的に進めやすいという言葉もありました。これらはみな、「好き」の上に成り立つ密なコミュニケーションと「全員野球」の意識がつくり出しているのかもしれませんね。
― 最後に何かメッセージをお願いします。
- 清
- 「ぼくらの甲子園!熱闘編」では、7月25日からは、iOS/Android版アプリの100万ダウンロード記念キャンペーンを展開します。そして8月頃には、初心者ユーザー向けの新たな試みも予定しています。イベント満載の開発作業は大変ですが、ユーザーさんがすごい熱量で愛してくれていることが嬉しいです。
- 自分の制作物に対してここまで熱い意見をいただく経験が今までなかったのですが、みなさんにそれだけ大事な存在として捉えていただいている、と思うと本当に嬉しいですよ。いつか、スマホの野球ゲームと言えば『ぼくらの甲子園!』というレベルにまでできたらなと思います。
ちなみにカヤックでは、この「ぼくらの甲子園!」に匹敵できるようなオモシロスポーツゲームの開発を、こっそり思案しているとかいないとか。
たとえば、サッカーとか…。そんなゲームをつくってみたい制作者や開発者のみなさん、彼らのように「好き」をゲームの開発に活かしてみませんか。ただいま全ポジションを募集中。思い入れが弾けるご応募、ぜひお待ちしています。
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