日本のデザイナーの活躍を世界に広げていく。iichiの新たな挑戦とは | 面白法人カヤック

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2016.03.16

#クリエイターズインタビュー No.48
日本のデザイナーの活躍を世界に広げていく。iichiの新たな挑戦とは

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カヤックが2012年から出資してきたハンドメイドマーケットプレイス「iichi(いいち)」。「つくる人を増やす」を企業理念とするカヤックとスタンスも近く、5年に渡って良好な関係を築いてきました。

そのiichiがアジア最大級のデザイナーズマーケットの「Pinkoi(ピンコイ)」(本社:台湾)と資本業務提携を実施することに伴い、カヤック保有株式を「Pinkoi」に譲渡することとなりました。

「iichi」にとって海外展開を踏まえた大きな節目となることから、その門出を祝い、これまでの経緯や今後の展開などについて、柳澤を中心にiichi代表取締役 飯沼健太郎 氏、Pinkoi代表 Peter Yen氏にお話を伺いました。

プロの高品質な作品を扱ってきたiichiの想い

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柳澤
もともとiichiは、博報堂の社内ベンチャー事業で生まれたプロジェクトなんですよね。「個人や少人数によるものづくりのECサービスをやりたい」と飯沼さんに相談を受けて、カマコンバレーでECに強かった村式を紹介したのが最初。
カヤックもクリエイター系Tシャツ販売サイト「T-Select」や絵画量り売りサイト「Art-Meter」などのECが始まりだけに、「個人のものづくりを応援する」というコンセプトに共感してのことです。
飯沼
そうでしたね。すごく面白いと評価してもらって、いろいろな助言もいただきました。

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柳澤
そして2012年に株式会社になるタイミングで、博報堂と村式とカヤックが出資して今の形になった。iichiは初期から英語版もあったし、早くから海外を見ていたよね。
飯沼
自分たちの思いやパートナーである作家さんに海外販売への興味がある方が多かったからです。ただ、言葉は訳せても海外のお客様に商品の魅力を伝えて買っていただくのはすごく難しくて。
日本から各国の国民性や文化を理解するには、現地のパートナーや拠点がないとダメだな、そこが課題だな、とずっと感じていました。
柳澤
なるほど。
飯沼
ただ、モノの良さは言葉の壁を超えますし、モノを介して作る人と使う人が繋がっていく面白さは絶対に理解してもらえると。だからこそ、高い品質の作品をつくるプロ、もしくはプロを目指す人のためのサイトにこだわってきたのです。

iichiと台湾・Pinkoiとの提携について

柳澤
今回の提携にはそういう背景もあったということですね。具体的なきっかけは?

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飯沼
2014年に創業者のピーターと出会い、そして、再び2015年に再会したことが大きいです。その際、ピーターを含めたPinkoiの創業者3人と、「デザイナーや作家を応援したい」というサービスの根本的な思いやビジョンなどについて丸2日話し続けたんです。
そうしたところ同じ考えを持っていると分かり、彼らと新しい方向にビジネスを進めてみたいと考えるようになりました。

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柳澤
人に対する思いが一致して、なんてすてきな話ですよね。僕もカヤックを同級生3人で始めたから親近感が沸きます。ではPinkoiの説明をピーターさんにお願いしましょうか。

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ピーター
私たちは、アジアのデザインマーケットにおけるリーディングカンパニーです。登録ユーザーは約100万人。アジアの素晴らしいデザインを広く提供し、デザイナーとユーザーによるコミュニティとマーケットをつくる、というビジョンを持ち、彼らの作品を世界に提供する機会拡大をミッションにしています。
柳澤
海外への展開状況はどうですか?

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ピーター
台湾で始まったサービスですが、今や香港やタイでも人気を得ています。私たちは拠点を拡大する際、必ず小さな規模で始めます。日本も同じく、2名の駐在員に国内マーケットの状況や消費者の嗜好、デザイナーコミュニティの有無を調査してもらっていました。
海外での売上は、香港、中国、アメリカ、日本の順で、2014年から一年で倍になりました。英語版も立ち上げたところです。
柳澤
日本進出を社内で進める中、iichiと提携に至ったのはなぜですか。
ピーター
従来の方法以上によりよいサービスを提供できると考えたからです。決断の理由は3つあります。1つ目は、iichiが扱う作品の質の高さ、2つ目は人と人の関係を大切にし、デザイナーたちのビジネスが世界的に成功するようなサービスを作るという考え方。3つ目は、仕事への情熱が共有できたことです。

国内からアジア、そして世界のデザインマーケットへ

柳澤
業務提携後、iichiのサービスはどう変わりますか?
飯沼
まずはiichiをご利用いただいている作家の方々がPinkoiを使って海外販売をスタートすることができる仕組みを作りたいと思っています。
iichiに出品している作品を簡単に登録でき、翻訳などのサービスも付加していきたいですし、国際間での取引のためのカスタマーサポート体制も整備していきたいと考えています。
柳澤
インディペンデントなクラフト系ECのよさもありつつ、プロ作家の高品質な作品をセレクトしたマーケットだと。iichiと連動して、Pinkoiを利用している海外の100万人の利用者とビジネスできるとは素晴らしいですね。今後についてもぜひ教えてください。

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ピーター
まずはアジアでのデザインコミュニティづくりに注力したいです。iichiと協力して日本の商品をアジア各国で販売するなど架け橋になれればと。将来的には、アジアのデザインを北米に広める仕組みを完成させ、欧米中心のデザイン界を変えて、アジアのデザインマーケットを拡大するのが夢です。

画像Pinkoiファンイベントの模様

飯沼
鎌倉でも各国のデザイナーが一堂に会したリアルイベントをやりたいですね。Pinkoiの展示販売イベントに参加した時に見た、ユーザーと作家さんが言葉を超え、モノを介して交流する風景は素晴らしかったです。違う国のクリエイティブに触れることは、創造力や可能性を広げてくれるはずです。

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柳澤
業界再編も進む中で、小規模で利益を出すECサイトを目指すのか、大きな夢を描くのかという問いがiichiにはずっとあったのではと思います。
そして今年、世界に打って出るという大きな夢を選び、Pinkoiとの提携。関係性は変わりますが、開発拠点は鎌倉でありカマコンバレーを盛り上げる仲間としては変わりません。カヤックとしても協力を続けるので、鎌倉から世界に飛び出した企業として頑張ってほしいですね。

新しい道を歩み始めたiichiに私たちも目が離せません。世界に羽ばたくデザインマーケットプレイスとして、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

iichi
https://www.iichi.com/

Pinkoi(日本語版)
http://jp.pinkoi.com/

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