「姫騎士と最後の百竜戦争」制作秘話 | 面白法人カヤック

Games

2014.02.08

#クリエイターズインタビュー No.19
「姫騎士と最後の百竜戦争」制作秘話

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カヤックが満を持して発表したスマートフォン用ゲーム、「姫騎士と最後の百竜戦争」(以下、姫ヒャク)。「英雄になりたい!」シリーズで確立したファンタジーの世界観を踏襲しながらも、まったく新しいストーリーとキャラクター、システムを搭載したタイトルです。

その制作の中心となったカヤックCTOでゲーム事業部の部長である貝畑政徳とディレクターの永澤款に、姫ヒャクの最初の制作過程の裏側を聞きました。

これまでのアプリの世界になかったバトルアクションRPG

― 新しいスマホゲームをつくるにあたり、最初に市場分析を行ったそうですね。

永澤
はい、その上で流行りそうなジャンルや他社の動向を考慮し、カヤックらしい表現の方法と技術的なチャレンジ要素を抽出しました。
初期のブレストを経て最終的に固まったのは、RPGにマッチするファンタジー要素とカヤックが追求する“マンガっぽい表現”の代表格とも言える少年マンガ的なバトル要素を強調することでした。
企画した当初はアクションとソーシャルゲームを融合したタイトルがなかったので、そこに切り込めば新ジャンルの先導を取れると考えたんです。
貝畑
この企画を聞いたとき、斬新だと思いました。でも、本当につくれるのだろうかという不安も同時に湧いてきましたが、だからこそ、未知数の可能性と面白さに惹かれて、つくることを決意しました。

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▲ゲーム大好きCTO貝畑

こだわらないと、いいゲームはつくれない

― ゲームの開発に予定以上に、時間がかかっているようですね。

貝畑
はい、それはやはり、新しい所にチャレンジしているからですね。たとえば、パズドラと仕組みが似たようなゲームをつくるのだけであれば、それほど難しいことではないんです。
でもこれはソーシャルとアクションという組み合わせ自体が今までにないので落としどころが難しいんです。それだけに、設定したレベルを満たすような満足が行く形になかなかならなくて。
だからといって、妥協はできませんし、こだわるべきところはこだわりぬきます。

― 片手だけで遊べるバトルアクションゲームというプレイスタイルにもこだわっているようですね。

貝畑
キャラクターが横に移動するなどのアクションを取り入れると、途端に両手を使ってプレイする必要が生まれ、複雑なゲームになってしまいます。
そこで姫ヒャクでは、アクションゲームにおなじみのキャラの移動をなくし、タイミングと敵の動きを覚えるだけでテンポよく遊べる仕組みを採用しました。
そしてプレーヤーの入力アクションをいかに少なく収め、それと同時にゲームとしての奥深さを出すかという点で検討を重ねました。

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▲操作はいたってシンプル!!

永澤
一般的なゲーマーだと軽い動きや簡単な操作は、物足りなく感じるかも知れませんが、ソーシャルゲームの仕組みを融合することで、シンプルなバトルアクションゲームという部分が、強みに変わるんです。
なぜかというと、ソーシャルゲームユーザーは全般的に、ゲームの気持ちいい部分だけを短時間で遊ぶ傾向にあるので、悔しさや辛さも込みで楽しみたいゲーマーの方たちとは意識が違うんです。
そしてソーシャルゲームユーザーの嗜好を満たすには、派手な見せ場をたくさん入れることになります。そうすると、操作は片手で楽にできるほうが合うんです。
貝畑
でも、バトルのつくりはシンプルでも、やりこむことで自己スキルが反映されて楽しくなる。そういうやりこみたい人を惹きつけるバランス感になるように設計しました。
防御の目印になる独特なアクションや失神ポイントなど、敵の動きや弱点を覚えたり、武器を変えたりすれば与えるダメージの大きさも変わる設定になっています。なので、アクションと戦略性の組み合わせの点でも十分楽しんでもらえると思います。
敵からの能動的なアクションもかなり多いため、誰でも遊べるゲームというよりはアクションゲームが好きな人向けかも。そこでハマった人にこそ、長く濃く遊んでもらえるものになればと思います。

—— キャラクターにも、こだわっているようですね。

貝畑
グラフィックやキャラクターなど、世界観をつくり上げるビジュアルデザインは重要です。姫ヒャクでは、重厚でありながら透明感のある正統派なファンタジー世界を根底に置き、アニメでも劇画とも違うオリジナル感がある装いとキャラクターを目指しました。
永澤
ファンタジーのトーンにもいろいろあるんですが、韓国製のオンラインRPGによくある軽い印象のものではなく、たとえば、鎧なら重そうな雰囲気を持ったトーンになるようお願いしました。
この辺は、いろいろな資料を見比べながらグラフィッカーの方の意見を聞き、提案されたアイデアラフも検討しながら、じっくりつくっていきました。

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▲こだわりのキャラクター

ゲームが動くようになった矢先に「つまらない」と言われる

ちなみにこの取材当日は、実は開発終盤のバグフィックステスト真っ最中。毎日定期的に、夕方の1時間をチーム内でのテストに充てているとのことでした。

永澤
毎日毎日、細かな修正や追加などで制作の進捗が変化しているので、その都度、実装した内容が確実にできているのかを確認するんです。担当者全員をその時間に集中させていることもあって、この1時間がチェックのタイミングになっています。
テストによって更新されたバグリストは翌日修正して再度チェックします。地道な作業の繰り返しですが、よいものをつくるためには必要不可欠です。
貝畑
ようやくゲームが動くようになり評価できるタイミングに辿り着いた時、メンバーから「つまらない」という評価が一番に出てきたんです。

—— それはショックですね。

貝畑
プロセスに甘んじることなく、客観的にものの良し悪しをはっきりと評価していると思いましたね。そのまま出すという考えもあるのにそうしない。それはよかったと思いました。
その後も内容をよくする努力を全員で続けましたし、面白いものをつくりたいという気持ちが強いメンバーばかりであることを再確認できて嬉しかったですね。

ここ数年、カヤックはブラウザゲームの制作から新たな段階へと進んできました。スマホアプリ用の技術を導入し、新たな開発の手法にも積極的に取り組んでいます。過去のカヤックになかった職能やスキル、ゲームづくりのノウハウは確実に蓄積されていて「姫ヒャク」でようやくその全貌が見えてきました。
「姫騎士と最後の百竜戦争」
http://www.kayac.com/service/socialgame/1140

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