婚約者に位置情報が送られる21世紀の結婚指輪!? | 面白法人カヤック

Client Work

2014.01.10

#クリエイターズインタビュー No.15
婚約者に位置情報が送られる21世紀の結婚指輪!?

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カヤックの得意分野に、デジタルデバイスを扱った企画提案があります。ユカイ工学のコンピューティングキット「konashi」を連携した位置確認用iPhoneアプリ「サオリング」もそのひとつ。面白くてちょっとおバカで革新的、そんな事例をディレクターの岩田慎吾に聞いてみました。

「一生の愛を誓う21世紀型のエグい指輪」をつくる

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サオリング|新郎に贈る世界最強の誓いの指輪
http://saoring.jp/

― そもそもこの企画はどうやって始まったのでしょうか?

岩田
きっかけは、よく仕事でお世話になっている、広告代理店ADKの梅田哲矢さんと堀靖幸さんからの相談でした。「結婚する同期にデジタルをいかしたお祝いをしたい」、「新郎が新婦に一生の愛を誓う21世紀型のエグい指輪をつくりたい」と言われて、カヤックがiPhone用アプリとデバイスの制作を引き受けました。
そこで、以前流行った『彼ログ』というアプリのように、彼氏のiPhoneにアプリをインストールすると、位置情報などが彼女のiPhoneに送られる仕組みはどうかと。それらをデジタル制御するプログラムを組み込んだ指輪にすれば、ちょうどよいのでは…と提案しました。
ところが、実際に制作する段になり、この指輪のサイズ感が問題になりました。電池やBluetooth機能、挙動表示用のLED機能を組み込むには、社内の開発では難しいという判断になってしまいました。そこでデバイス制作を受けてくれる会社をあちこち探し、ようやく辿り着いたのがユカイ工学さんです。

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ユカイ工学
http://www.ux-xu.com/

岩田
内容をご相談したら、面白そうだし技術者を交えて話しましょうと言っていただけたんです。基盤になるkonashiと開発者の松村さん、チームの方々をご紹介いただいてからは、話もトントン拍子に進んでいきました。

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岩田
できるかぎり小さくという無理なお願いにも関わらず、基盤の削り方やパーツ配置を何度も調整し、実現へと苦心してくださいました。その結果、名刺サイズの基盤から約5cmの楕円形のリングヘッドが生まれました。少々大きめですが、愛の重さを測るにはこれくらいがいいはずです、きっと。

心を和ませるデザインに包まれたアプリのコンテンツ

― アプリについても詳しく教えてください。

岩田
当初は、指輪に機能をすべて盛り込みシンプルなコンテンツにする予定でしたが、村松さんからは、期間的にも技術的にも無理があるとのご指摘が。そこで、機能はアプリでつくり込み、指輪が近くにある時にのみ、位置情報などをBluetoothで飛ばす仕組みに変更しました。
紆余曲折を経ながらも制作に4週間、検証に約半月と約1カ月で完成しました。短期間で完成できたのは、社内に「彼ログ」と同じ技術を活用したアプリ「安心レーダー」をつくっていたので、それを応用できたからですね。

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安心レーダー
http://www.kayac.com/service/smartphone/683

岩田
以前、ブッコミラボというチームが子どもの見守り用にと開発していたアプリですね。GPSで位置情報を割り出し、別の場所で表示させる仕組みがほぼ同じなので、その資産を横展開できたんです。iPhoneは技術変化も速いので一部を応用し、その他に当時はなかったiOS関連の機能を追加しました。
また、ご夫婦2人だけで利用するため、立ち上げた時にほっこりできる、優しいデザインにしました。ハートがたまると小さなカップルが現れてキスをするなど、結婚をイベント的に盛り上げる表現やギミックも随所に散りばめました。

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岩田
新郎のiPhoneから情報を引き出すために指輪と連携するOKボタンを押させないといけないんですが、結婚式での誓いをもじった文言など結婚のメタファーを取り入れることで、事務的なアクションも楽しめるようにしています。

規模の違いとWebプロモーション企画のつくり方

― そのほかに工夫した点を教えてください。

岩田
Webプロモーションの世界では、ピンポイントでいかに深くメッセージを届けられるかが重要なので、SNSで話題にしてもらえるように、ランディングページのデザインや仕組みづくりを意識しています。ランディングページは企業案件ならもっと情報主体のデザインになるとは思いますが、今回はあくまでインパクト重視です。
一般の人はアプリそのものを体験できないので、内容がきちんと伝わるようにしつつ、ファーストビューではSF風のトーンで『未来の指輪“サオリング”がやってきた!』と、よくわからないけど心に残る、そんなデザインにしてあります。
企業向けのアプリやサービスですと、面白さひとつとっても「正しくて面白い」や、「意義ある面白さ」という感覚での見せ方が必要になるんですけどね。今回は個人なので、ぶっ飛んだアイデアの方が喜んでもらえると思ったのです。

「サオリング」から得た、デバイスを活用した企画づくりと今後

岩田
クライアントの想いを、デジタルデバイスの知見やアプリ制作のノウハウを活用して形にするのは大切なことですが、今回は個人プロジェクトということもあり、そんなデジタル屋さんとしての面もわかりやすく出た例と言えます。
昨年のメイカームーブメントや3Dプリンターの普及率も上がっていますし、今回のようにデバイスを扱う案件を積みあげることで、企業のブランドアップに貢献するお手伝いがもっとできたらいいですよね。
今後もユカイ工学さんとはkonashiを使って何かつくりたいね、ハード系の案件が来たら考えたいね、と話しているんです。近々デバイス制作に特化したページをカヤックでもつくる予定ですし、依頼が増えてきた時に声をかけてもらえる企業になっていきたいです。

将来的にも大きな可能性を秘めた分野。デジタルデバイスの技術も取り入れ、今まで以上に面白く、新しい提案が楽しみです!

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