ベック「全員宛のメールで社員が社長を怒る会社は面白い」 | 面白法人カヤック

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2013.12.17

#退職者インタビュー No.5
ベック「全員宛のメールで社員が社長を怒る会社は面白い」

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今回の退職者インタビューは、ウズベキスタン出身の外国人社員。鎌倉を愛し、日本語を流暢に操るベクゾッド・クチカロフ(通称ベック)です。代表の柳澤大輔も交えて、お話を聞きました。

カヤックの国際化を進めたキーパーソン、あらわる

― カヤックには、いつ頃勤務されていたのですか?

ベック
2010年から1年ほどです。カヤックは前から知っていましたが、前職が金融系企業のITとオペレーション部門だったので、就ける職種がないと思っていたんです。それがある時、偶然グローバルマーケティングの募集を見つけ、応募しました。
柳澤
その時は、5カ国語話せる人から応募が来たよすごいじゃん! って盛り上がって採用した覚えがあります。
ベック
当時のカヤックはグローバル化を進めていたので、やなさんも「社内国際化」とよく仰ってました。社内に外国人社員を増やすことで、海外で事業展開するための基礎意識を強めたいと。ですから、僕は、ART-Meterを海外向けに調整したり、海外イベントの参加手配をしたりしていました。特に、マイクロソフトの「MIX11」の基調講演で、IE9のSVGを使った作品が紹介された時のことはよく覚えていますよ。作品を見たアメリカの担当者から直接参加の依頼が来て、そこから慌ててラスベガス行きの手配をしましたので。

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柳澤
そうだったね。ベックは国際化に関連して、外国人採用 やプロデューサー仕事もやっていたんですが、いつも海外の動向をよく見ている印象がありました。たとえば、外国人採用をスタートする時も、「GitHub」という海外サービスを活用することを提案してくれましたしね。
ベック
GitHubはプログラマー用のSNSで優秀なエンジニアが多いので、そこで日本で働きたいという海外在住者を募ってはどうかと提案しました。平行してStackOverFlowでもスカウトしましたが、優秀な人がたくさん来てくれました。今思うと、この二つはかなり挑戦的な採用方法だったと思います。
柳澤
この時は、ベックが直接スカイプで面談して10人ほど採用したんです。もう辞めてしまった人も多いけど、今も彼らとはいい関係だし、結果としては採用のいい突破口になったと思っています。会社としては残念だけど、日本全体で見たら優秀な外国人が増えたわけだから。
ベック
そうですね。彼らの人生にも大きな影響を与えたと思います。
柳澤
外国から日本に来ようと思うとやっぱり大変だもんね。だから、就労ビザと航空チケットを用意したのは大きかったんじゃないかな。
ベック
その7割は今も国内で働いていますしね。やっぱり他の企業でも、能力がある人には来てほしいと思うんでしょう。
柳澤
外国人エンジニアはみんなLinkedlnに登録してるから、転職を仄めかすとすぐにオファーが来るってのはあるよね。カヤックが人にこだわって採用しているのは他社の方々もご存じだから、そんなに変な人はいないだろう、という安心感もあるのかも。でもそれは僕たちの目指すところだし、嬉しいことでもありますよ。
ベック
フィンランド出身で、独学で日本語を勉強して日本語能力試験1級を取った社員もいましたね。今は大企業で働いていますけど。
柳澤
あいつはカヤックに残って欲しかったなあ…。それはさておき、5カ国語同時通訳会社説明会の時は、ウズベク語で通訳してくれたね。

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※【74】新卒採用の説明会を5カ国語でネット配信した理由
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110228/261747/?ST=career&P=1

ベック
はい。マイナーですけど、実は日本語の次にビュー数があったんです。ただ、「う◎こ演算」とか訳しにくいサービス名も多くて大変でした(苦笑)。

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「つぶされるか、開花するか」

― カヤックと他の会社で、ここは違うと感じた点はありましたか?

ベック
入社して2週間くらいの時に、「旅する支社」があって、ベトナムに行ったチームのメンバーがネットワークにつなぐ時間に遅れていたということがあって。その時に、鎌倉に残っていた社員がベトナムにいるやなさんに「本当に仕事してるのか」と指摘するメールを全社用のメーリングリストで送っていたのには驚きました。上司でも気になる所は指摘するんだな、と新鮮で。
柳澤
社長が名指しで社員に怒られる会社ってことね(苦笑)。

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ベック
(笑)。あと、「360度評価」も独特だと思います。プロジェクトのメンバー、社内の友達、そして僕が僕自身を評価して、それを全社員が見られるという恐ろしいシステムです。実際にやってみたけど、たとえば大企業にいるような自分の殻に籠もる人だと、つぶされるか開花するかのどっちかだと感じました。
柳澤
つぶされるか開花するか、か。いいねそれは。
ベック
自分なりに受け継いだスタイルだと「言ったモン勝ち」もあるし、カヤックなりのブレインストーミングの捉え方とかもありますね。普通のブレストは、いかに面白いアイデアを出せるかという才能的なものだけど、カヤックではスピード重視でスポーツ的だったなと。
柳澤
アイデアの質よりも数を重視しますからね。筋トレ的というか、慣れるとなんとかなるんだけども。
ベック
よく「Web開発のアスリート集団になれ」と言われていましたね。

辞める時は正直に、誠実に。

― 1年間ではありながらも、ずいぶんたくさんの経験をされたのですね。

ベック
そうですね。でも心残りはあります。プロデューサー的な経験など、足りない所もあったから、もう少しやりたかったなと…。
柳澤
そうだね。もう少しやれることがあると思ったし、僕も3回は止めたもの。でもやっぱり人の相性もあるし、会社だけでは解決できないこともあるから。
ベック
会社は辞めてしまったけど、やなさんは僕と鎌倉を引き合わせて、新しい縁をつくってくれた人なので、別の部分でお返ししたいと思っています。
柳澤
いろいろあってもこうして話ができる退職者には、共通点がありますよね。それは、いいことも悪いことも正直に、誠実に話をしてくれているということ。時が過ぎれば許せる時がきたり、新たな目で見直せたりできますから、やっぱり辞める時に嘘はつかない方がいいんじゃないかなと思うんですよね。というわけで、ベックは辞めてすぐ起業したわけだけど、現状はどう?
ベック
…人の気持ちを動かすのは難しいですよね(苦笑)。プログラマーとしての優秀さも大事ですが、経営に必要なのはやはり、人を動かせるかどうかだなと。僕自身、業務管理のミスというか考えていたように行かない部分があるので。
柳澤
でも、そういう失敗を経るのはいい経験だと思うよ。会社では何を扱ってるんだっけ?
ベック
高級リゾート関連サービスの企画開発と、元カヤックのエンジニアとやっているハードウェア制作です。特にリゾート関連サービスは、別荘のレンタルサービスの仕組みづくりで、新たな市場になる分野だと思うんです。欧米では一般的なので、日本向けにできれば新しい余暇文化をつくることができるし、ライフスタイルの変化にも対応していけるものになるんじゃないかなと。

― では最後に、カヤックに入ってよかったことを教えてください。

ベック
経費でいろんな実験をさせてもらえたこと。成功事例は少ないけど、実験から結果を学ぶことが大事だとよく言ってもらえたし、それは本当にいい環境だったと思います。
柳澤
よく考えたら、GitHubを使って外国人を10人探してこいだなんて、ただの無茶ブリだからね。でも、こんなふうに企業運営の仕組みについて実験ができる人事部は珍しいと思うから、実はすごく楽しい部署だと思います。
ベック
そうですね。それからもう一つ、カヤックを卒業した後でも、元社員の外国人同士でつながりがつくれたことです。他の企業に比べても、連帯感は強い方だと思いますね。今の企業で働く基礎になったというか、日本に来るきっかけや自分らしさをつくってくれたのはカヤックだった。そんな意識がみんなにあるからだろうなと思っています。

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