貞子がスマホを呪う過程を大公開!『貞子3D2』公式アプリ制作秘話! | 面白法人カヤック

Client Work

2013.09.25

#クリエイターズインタビュー No.10
貞子がスマホを呪う過程を大公開!『貞子3D2』公式アプリ制作秘話!

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今回は、映画『貞子3D2』に併せてリリースされた「スマ4D」用アプリ「貞子3D2 スマ4D」の制作の裏側をお伝えします。

映画界の常識を覆すこの企画の舞台裏とともに、クリエイター自身がどんな発見をし、経験を得ることができたかについて、企画部 兼康希望と意匠部佐藤ねじに聞きました。

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音声認識技術を活用した「ホラー・アトラクションアプリ」

― このアプリをつくることになった経緯を教えてください。

兼康
角川書店さんからの「貞子3D」の続編で上映中にアプリから貞子が飛び出してくるような体験をできないか」というご相談でした。この時にカヤックが提案したのは、映画とアプリを音声認識で連動させ、ストーリーとシンクロした体験ができるというものです。
過去の映画館ではあり得ない「スマホの電源ON」を実現したアトラクションアプリです。また、スクリーン中の時間軸でエンタテインメントを楽しむ映画の概念も覆し、3Dより一次元上の4Dとして、新たな観賞スタイルを提案しています。
鑑賞者が普段利用している端末を活用すれば、映画の世界にさらに没入させられます。ですからアプリは、「映画の物語がスクリーンから抜け出して現実にやってくる」というイメージで制作しようと考えました。
そして、この企画の大きなポイントになったのは、日本エヴィクサーが持つ「音声認識技術」の活用でした。電波が必要ないため、強制圏外となる劇場などでも扱えるのが強みです。

― 以前もこういうアプリはあったのでしょうか?

兼康
過去にも、この技術を利用してテレビ番組との連動企画などを制作してきました。しかし、映画のような規模では初めてです。また、アプリのために新たな仕組みを開発してもらったのも初めてです。
端末同士をシンクロさせる音声認識技術を新たに開発していただいたことで、端末に関係なく、ほとんどタイムラグなしに映画の音に連動させられるようになりました。映画館などではお客さん全員の端末を確認することは不可能ですが、この技術があれば、端末が違ってもコンマ数秒レベルで同期が可能です。
ねじ
映画上では、スマホの呪いをCHECKする形になっています。ですから、ある場面が来るとスマホが震えたり、LEDフラッシュが点滅したりというギミックが勝手に現れるわけです。多くのお客さんの中で扱うことで、個人個人が周囲が叫んだり、どよめいたりする空気に強制的に囲まれることになりますよね。ですからある種、ジェットコースターに乗る感覚とも近いかもしれません。
兼康
アトラクションアプリですね!

「怖がらせる」ことの難しさ

― 制作するに当たり苦労した点を聞かせてください。

兼康
映画関係のアプリといえば、撮影された作品を元に制作するという印象があるかもしれません。ですが今回は、その部分からして大きく異なっていました。まず台本の時点で英監督が大枠の筋を決め、撮影現場を見学し、それを元にアプリの演出を考える、という作業が同時に進行していました。
ねじ
「怖がらせる」ことが難しいかを身を持って体験しました。企画書や部分の体験として見ると面白いのに、映画に入れると過剰になってしまうんです。アイデアのショーケースのようになってストーリーになじまないというか。点になってしまうなと思いながら、普段の1プロジェクトで出すくらいのアイデアを、毎週のように提出していた気がします。
兼康
100個出したアイデアが20~30個残るみたいな感じでしたよね。どんな形にすれば、空間の広さや数百人単位のお客さんの空気に負けず、スマホの小さな画面から「恐怖」を感じてもらえるか。目標はこの一つだけなのですが、思うような表現になりません。
ねじ
これはヤバイ…と、焦りを隠しながらも、試写を繰り返し見てアプリを制作し、ダメ出しをもらってはまたアプリを制作する、そんな日々が続きました。そしてふと振り返ると、そこにはアプリの屍がずらり…。カヤックのメンバーにとってはそれこそもうホラーです。ですが、そんな経験を経たからこそ、新たな視点を見いだすこともできました。

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▲『怖さの法則』

ねじ
思い返すと、最初は体験の新しさを中心に、スマホと映画館と観客でどんな体験ができるかを重視したアイデアにしていたんです。でも、それだとちっとも怖くならないわけです。そこである時、ホラー映画やホラーマンガを見て怖く感じる要素の抽出をしてみたんです。その『怖さの法則』をスマホの機能に置き換えればいいんじゃないかなと。
兼康
でも、技術的なギミックだけだと限界がありますからね。ある時から人の感情に訴えかけ、ストーリーの中で怖がらせる形へと段々変化していったんです。ストーリーを意識する重要性を痛感したこともあり、現実と映画の境が曖昧になるような怖さを表現しよう、という感じでした。この頃から、映画の制作スタッフさんとのさらなる綿密な打ち合わせも増えていきました。
ねじ
アプリをつくるというよりも『これは僕たちも映画を作ってるんだ』と感じられたのが大きいです。そう意識できた辺りから、アプリ単体で怖がらせなくてもスマホがある場面のきっかけになっていて、全体として怖く感じられればいいんだ、と思えるようになったんです。
ギミックが繰り返されることでスマホが怖さのトリガーになる。そんな状況をつくることができればいい、と気づいたんです。そこからは、深層心理に訴えかけるホラーの繊細な描写がアプリにも反映される形になりました。

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▲ボツ案には、不気味なLINEスタンプやアイコンバッジが暴走するなどの案も。

普段とは違う制作環境の中で

― 普段とは違う制作環境だったんですね。

ねじ
「貞子3D2スマ4D」では、観客がスクリーンとスマホの2画面を見ることになります。それだけに、演出内容はもちろん上映時間に占める表示の比率も重要。この部分では、英勉監督のディレクションが彼らの大きな指針となりました。アプリの制作側にいるので、どうしてもアプリの演出をクローズアップしすぎてしまうんです。
でも監督が、「これは一瞬しか見せない」という形で調整された場面を見ると、スマホの役割がより一層、際立つ形で見えるようになるんですよね。そうした間やルールを間近に見ると、直接ディレクションをしていただけたのはありがたかったですね。
兼康
カヤックでの制作物の大半を占めるWebサイトなどでは、とにかく優先される要素はユーザーの挙動です。ですから、時間軸に沿ってコンテンツを見せる映画制作のタイム感は、普段と正反対です。上映時には完全なパッケージ状態である点も、リリース後のブラッシュアップが普通のWebサイトとは異なります。
各場面で区切られた期間ごとに、映画業界のレベルに耐える品質の演出をアプリに組み込んでいく。そんな初めてづくしの現場でした。でもそんな経験を経たので、今回の技術と経験を活かしたアイデアが、すでに浮かんできています。
たとえば、時間軸で端末同士を完全同期することが可能になったので、セカンドスクリーンの表現が大きく広がりました。今後は、音楽ライブや演劇にも活用してみたいなと思っています。
ねじ
僕も演劇はやってみたいですね。演劇やライブのように、人力のスイッチがある場に興味があるんです。一応のストーリーがありつつ、場の雰囲気に合わせられたら面白いし、照明さんや音響さんに、アプリさんがいるのも楽しそうですよね(笑)。

― 最後に一言どうぞ。

兼康
劇場が一体となって見ている感覚をつくり出せるよう制作したので、みなさんに楽しんでもらえると思います。
ねじ
今回の映画は『ホラーアトラクション』といった表現をしていますが、まさにそういう感じではないかと。ホラーでも爽快感があるので、怖い物が苦手でもキャーキャー言いながら見てもらえると思います。

『貞子3D2』は8月30日から角川シネマ新宿ほか全国の劇場で公開中です。ぜひこのアプリをダウンロードして、劇場に見に行ってみてくださいね(スマホの電源はオンで)!

※追記 現在はDVDが発売されていて、レンタルもできるので、そちらでスマ4Dを体験してみてくださいませ。

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