2013.10.12
#クリエイターズインタビュー No.13アプリ版リリース!新生「koebu」の向かう先は?
企業の個性がよく出る事業といえば、やはり自社サービスでしょう。稀代の経営者には「やってみよう」精神を説く方は多いですが、カヤックでもその考え方が基本です。それだけに、「この技術を使ってみたい」から始まったアイデアが大きく花開いたという事業がたくさんあります(その逆もありますが…)。その代表的なものが、声の投稿コミュニティサービス「坂口淳一に聞きました。

iPhoneアプリ版「koebu」で、スマホからの投稿も簡単に。
― まずは、iPhoneアプリ版「koebu」をつくる背景を教えてください。
- 坂口
- これは、サービスの軸である「声の投稿」を簡単にすべく開発しました。元々koebuは、ブラウザ利用を想定した仕組みだったこともあり、スマホユーザーが投稿する場合は、3つのアプリを駆使しなくてはなりませんでした。投稿用のお題を暗記した上に、7つのステップがあるなんてハードルが高すぎるなぁと、いちユーザーとしても思って改善の必要性をつねづね感じていました。

- 坂口
- アプリになれば投稿の手順も減らせますから、お題のチェックから投稿までが一括でできるようになります。そうすればさらに使いやすくなるはずですし、ユーザーさんも多いご要望でしたので、今回のリリースに踏み切りました。
- 完成により、アプリを立ち上げ、お題を見て録音、メーラーで送信という4ステップにまで短縮できました。スマホ1台で完結する仕組みが完成。実は、ユーザーの約6割が投稿者。他の投稿系サービスと比較してもかなり特殊ですし、「投稿者によるコミュニティ」と言っても過言ではありません。それだけに今回の対応は必須項目でした。
- 投稿に対するハードルをとにかく下げたかったんです。koebuユーザーには、録音環境のない人や、家族に聞かれたくないとこっそり録音する人も多いんです。そんな彼らにとっては、小さな声も拾うマイクや小さな音でもよく聞こえるスピーカーを持つスマホは強力なツールです。なので、そこに簡単に録音できる機能を持つアプリができたら最高だろうな、絶対気軽に投稿してくれるはずだと思いました。
― リリースしてみて、反応はどうでしたか?
- 坂口
- 読みは正しかったようで、リリース後の評判は概ね上々です。ただ、現在は制限のある録音時間の改善や要望の多いAndroid版の開発など、メンテナンスは続くとのことで、今後のリリースにも期待が持てますね。

iPhoneアプリ こえであそぶ koebu -歌やセリフを投稿しよう-
技術から生まれた唯一無二のコミュニティサービス
― koebuについておたずねしますが、そもそもいつ頃できたのでしょうか?
- 坂口
- 声を投稿してみんなで聴く「koebu」が生まれたのは、2007年の12月。新規サービス開発ラボ・BM11が出した77アイデアの一つとしてでした。今のコミュニティの盛り上がりからは想像もつきませんが、実は「Flashで声を録音して投稿する機能を実装してみたい」という、技術者の興味が大元の始まりでした。
- 「面白そうだしつくっちゃう?」で、実際にリリースしてみたところ、アニメや声優ブームにジャストミート。告知もないに等しいサービスにユーザーが自然と集ってくれる…という、不思議な(でもとっても嬉しい)存在となったのでした。その後も盛り上がり、2013年9月末時点でユーザー数は72万人を突破し、この分野では唯一無二のコミュニティサービスとして愛していただいています。
- サービスの魅力や面白さについて語りますと、1つ目は、誰でもすぐ声を投稿できる、手軽さと気軽さですね。そして次に、声によるコミュニケーションが活発にできるところ。声を聴いた人がコメントをくれたりするところがそれにあたる感じです。3つ目は、多彩で魅力的な人々と出会えるところです。
- 声以外の面白さなども評価する文化があるので、演技や歌、大喜利、編集など、自分の魅力を得意な形でアピールできるんですよ。そして最後は、『匿名サービス』であるところ。普段は引っ込み思案でも、koebuなら違った自分になれる…という人は結構多いみたいですよ」
「声」の魅力を活かしたサービスつくり
― koebuの工夫点を教えてください。
- 坂口
- koebuは匿名でも使えるので、その危うさがあるという意見も当然あります。しかしそれ以上に、声を大事にする人たちが集まるコミュニティならではの人の良さが感じられる場になっていますね。それだけにユーザーの個性や才能を広がりやすくするための、機能の追加やイベント企画などが多いのもkoebuの特徴です。
- 面白いユーザーを紹介する「注目の声」、人気ユーザーを紹介する「ランキング」などはその一例です。また、アテレココンテストなどを開催し声のロールモデルを提示するなど、才能ある人たちが集い、目標を見つけられる場となるような工夫もしています。
- 僕はラジオも大好きなんですが、たとえば芸人さんの会話って、ラジオだと余計に面白く聴こえる気がするんです。これは声という制限がある一方で、自分の想像力で補完できる楽しさがあるからなんだろうなと…。koebuも同じで、声だけだからこそ、自分でお題に沿った声やキャラを考える面白さが体験できるわけです。声ってそれだけの魅力がある要素なんでしょうね。
- ちなみに、いろんな人にいろんな楽しみ方をしてもらうためにも、お題に答える以外の使い方も勧めていきたいですね。毎日の記録を声で残す「声日記」をつけたり、気に入ったメロディを声で残す声メモをつくったりと、工夫次第でさまざまな活用ができるそうですよ。
坂口Pがつくる新たな「koebu」とは?
― 今後のkoebuの展望を聞かせたください。
- 坂口
- カヤックの『つくる人を増やす』という理念から見ても、投稿者が中心のサービスである点が最も重要だと思っています。早い時期にブラウザで簡単に投稿できるツールを開発したことで、つくるハードルが下がり、他社サービスと差別化する要因ともなり、音声投稿サービスという個性や独自の位置を確立できたわけですから。
- プロデューサーになったからには、僕なりのkoebuにしていきたいです。「koebuからヒーローをつくる」というビジョンがあるんですが、それは、僕自身が多くのエンターテインメントに救われた経験からきているんですよ。そこで演じるエンターテイナーこそ人の心を救うヒーローだと思うので、そういう人をkoebuからたくさん出せたらいいな…と。
- そのためには、エンターテイナーを目指す人たちに基礎を学ぶ学校や、何かの指針を示すことが重要じゃないかと思っているんです。ですからまずは、その教育の部分を徐々に強化できればと考えています。
- 現在も、声優コースのあるアミューズメントメディア総合学院とのコラボ企画や、オンラインで学べる声優学校「[MANAVO
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