不登校の子どもたちとのブレストワークショップ開催! | 面白法人カヤック

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2023.07.13

不登校の子どもたちとのブレストワークショップ開催!

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面白法人カヤックの「面白法人」という言葉には、世界に一人でも面白がって生きる人を増やすという思いが込められています。では、面白がって生きるためには?物事を主体的に、ジブンゴト化して取り組む「つくる人」になることだと考えています。そして、誰でも「つくる人」になれて、面白がることができる手法、それがブレスト(ブレインストーミング)です。
私たちは、これまで小中学生や大学生、企業でカヤック流ブレストワークショップを開催し、経営理念にもある「つくる人を増やす」ことをしてきました。

今回は、NPO法人全国不登校新聞社の代表・石井さんからのお声かけで、初めて不登校の子どもたちにブレストワークショップをさせていただくことになりました。いろいろな背景で学校に行かないという選択肢をとった子どもたちが、ブレストという手法を学ぶことで、もっと色々なアイデアが出てきて「つくる人」になる。面白がって生きる。そんな未来のために、少しでも協力できればと思い、偶然にも不登校経験のある2022年新卒の二人が講師にチャレンジしました!
簡単にその様子をレポートします!

『不登校生動画選手権』とは?

今回のブレストワークショップは、NPO法人全国不登校新聞社とショートムービープラットフォーム「TikTok(ティックトック)」が共催する『不登校生動画選手権』のプログラムの一つとして開催されました。
『不登校生動画選手権』は、「学校へ行きたくない私から、学校に行きたくない君へ」をテーマに、不登校経験者が動画をTikTokで投稿してもらう、初めての取り組みです。

主催する全国不登校新聞社の石井さんは、「不登校に限らず、どんな経験でも希少で価値があるものに変わり得ると伝えたい。動画を見た当事者にも『自分は1人じゃない』と思ってもらえれば」と期待を込めています。

橋本直希(左)

2022年カヤック入社
面白コンテンツ事業部/プランナー
現在はブレストワークショップの講師をやる傍らゲームプラットホームの運営に関わる。高校の遅刻日数は300日を超え、後1時間休んだら退学の危機。高卒認定試験をパスし、京都大学に入学。

加賀屋 舜(右)

2022年カヤック入社
面白コンテンツ事業部/プランナー
アプリ開発やふるさと納税事業などに従事。小学生〜中学生の時はアニメとオンラインゲームにハマり、食事中はアニメ、それ以外はゲームをする生活。大学は休学してアニメを観る生活から、退学を決意。

高校に遅刻日数300日、大学中退のカヤック新卒コンビが講師に!

7月1日、カヤックの22年卒コンビの橋本と加賀屋は、ちょっと迷いながらも渋谷駅からほど近い渋谷ヒカリエにあるTikTok本社会議室へ。
高層階のザ・IT企業なオフィスに圧倒されながら、ワークショップのリハーサルへ。今回は、初めて「不登校」という経験をもった子どもたちへのブレストワークショップということで、いつも以上に念入りに準備をしていました。
そして、約3時間後、子どもたちと保護者の約20名が参加するブレストがスタート!

二人の自己紹介パートでは、実は二人とも不登校だったことをさらりと告白。アニメ好きな加賀屋は、最近好きなのは「スキップとローファー」だと話すと、「知っている!」と同じくファンの子がいて和やかなムードに。

ブレストでは、「面白いことを言おうとしない」

ブレストっていうと、何か面白いこと、すごいアイデアを出そうと意気込んでしまうと思いますが、ブレストで大切なことは、質よりも量なんです。

「面白いことを言おうとしなくていいです。つまらないアイデアでも良いので、たくさん出していくことが大事です。自分にとってつまらなくても、相手にとってヒントになったりします。だから、たくさんのアイデアを出すことに意識しましょう。」と加賀屋。

また発言することだけではなく、周りのリアクションも大切です。
どんなアイデアでも、「それいいね!」と拍手をする。これは心理的安全性を確保するためにも、大切な心構えとなっています。

「何を言っても大丈夫な状況をつくりましょう。みなさんも友達同士なら、くだらないことを言い合えますよね、アイデアを出している間は、どんな人とでもそういうモードになれることが理想です。」(加賀屋)

この後、子どもたちと一緒に実際に拍手をしたり、うなづいたりリアクションの練習をしました。

アイデアがどんどんでてくる!「ブレストカード」

次に、「ブレストカード」での練習。
「ブレストカード」は、カヤックの全ての会議室においてあり、アイデアを掻き立てるイラストが描かれたカードです。
練習の定番は、このブレストカードを2枚ひいて「昨日みた夢」を一人ずつ発表していき、チームごとで話した夢の数(カードの数)の合計を発表するというもの。
早速、加賀屋がお手本。

イラスト入りのカード100枚があるブレストカード。初めてブレストに挑戦する人もアイデアが出しやすく、ブレストが得意な人も、楽しみながらトレーニングできる設計となっている"

「昨日見た夢なんですけど、1920年にクマのぬいぐるみが襲ってくる夢を見ました!!」

パチパチ〜っと子どもたちから拍手が。みんなリアクションの達人ですね。

ここでも面白いことをいうのではなく、とにかく数を出すことが大切です。3チームで挑戦!

最初は考える時間が多く言葉がでてこなかった子どもたちも、どんどん数を出せるようになりました。そして、1回戦が終わり、「どうしたらもっとアイデアを出せるか?」を振り返り。

ほぼ初対面でも、しっかり発言し、拍手をする子どもたちと不登校新聞スタッフ

「最初から2枚カードをもっておいて、時間のロスをなくす」
「あらかじめカードを見ておいてもいいんじゃない?ダメって言われていなかったよ」
「2枚のカードを読み上げるだけでもいいかも」
と、2回戦目に向けて、ここでも色々なアイデアがでてきました。

2回戦目では、事前に2枚ずつカードを配る作戦をしたAチーム

ウォーミングアップの後は、「お茶の新しい味」や「欲しい理想の道具」をテーマに、より具体的なアイデア出しに挑戦していきました。

そして、最後のテーマは「学校に行かない人を増やすにはどうしたらいいか」です。
ちょっと重たい課題に、会場の空気が変わりました。

講師として話す橋本は、「今、学校が嫌だなと思いながら今、学校に行っていて辛いと感じている人に、『行かなくてもいいよ』とどう伝えるか考えて欲しい」と子どもたちに語りかけていました。
橋本自身、高いIQ過ぎることで、高校に馴染めず不登校の経験があり、高卒認定試験をパスして希望の大学に入学。大学以降は「とても楽しく、やりたいことをやってきた」そうです。

現在、不登校で思い悩んでいる子どもたちには、ちょっと辛い課題だったかもしれませんが、それでも少しづつアイデアを出し合い、付箋に書き込んでいっていました。

「行かないことでの不安を取り除く。」
「こんなに自由で楽しいよ、不登校だからの生活を伝える。」
「平日は最高!を伝える。ディズニーランドとかも空いているし。」
「学校は自分の身を削ってまで行く場所じゃない。固定概念を捨てて欲しい」
「学校よりも、家で勉強した方が効率いい。」
などなど。

実体験からのアイデアが書き込まれた付箋

ただ、課題を聞くと、下を俯いてしまったAさん。石井さんが「辛かったら、外に出て休む?」とAさんに話しかけますが、首を振りながらふり絞るように、自分の不登校の体験を話していました。

ブレストワークショップが終わり、Bさんに感想を聞いてみると、「ブレストは初めてだったけど、面白い手法だなって思った。面白くなくてもいいって、盛り上げるのが面白かった」とブレストをすっかり体得していました。
「不登校生動画選手権」に参加する理由については、「元々動画を発信する職業に就きたいと思っていて。」と、すでに動画をつくってきていました!
「不登校って言っても学校が悪いんじゃなくて、自分に合わなかっただけ。だから、不登校になってもいいっていうことを伝えたいです。」「不登校だと、趣味とかやってみたいことに時間を有効に使えるし。そんなことを伝えたい。」と不登校に前向きで、やりたいことをみつけて、つくりたいものをつくっているBさんは、とても明るかったのが印象的でした。

笑顔でブレストしていた時にはその個々の状況がわからなかったですが、当然ながら「不登校」と一言でくくっても、その理由や状況は全く違うもの。Bさんのように、「学校が合わないだけ」と割り切って好きなことに時間を使えると考えられる場合もありますが、Aさんのように、「不登校」という言葉自体に、辛い思い出を重ねてしまう場合も。

「不登校生動画選手権」に動画を出す上では、避けては通れない課題だったと思いますが、なぜこの課題にしたのかを改めて橋本に聞いてみました。

「つらいテーマだったかもしれませんが、動画選手権でアイデアを出すための通過点だと思ったんです。今の時代、自分の持っているものを卑下し他人のものを羨む人が増えているように思います。でも、自分が持っているものをポジティブに捉えなおし、それを大切にしたほうが人生楽しいですし、結果的に新しいものが生みだすきっかけになると僕は考えています。
そうすれば、不登校を卑下するんじゃなくて、学校を『利用する』という別の考え方もできるようになるのかなと思います。」
(橋本)

Aチームの集合写真

ちなみに、Aさんですが、ワークショップが終わった後、橋本と加賀屋に直接話しかけてくれました。

このテーマが辛かったこと、「もっと配慮してほしかった」と自分の気持ちを打ち明けてくれたAさん。話したことで、気持ちが落ち着いたようで、晴れ晴れとした顔になり、それを見た一同はホッとしました。

最後は、一緒に渋谷を一望できるTikTokの素敵なオフィスを巡りました!

(取材・文 広報部 梶 陽子)
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