佐田俊樹が36年間証券会社グループに勤めた後カヤックに入社した理由 | 面白法人カヤック

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2014.08.19

#面白社員インタビュー No.4
佐田俊樹が36年間証券会社グループに勤めた後カヤックに入社した理由

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現在監査役として経営を見守る佐田俊樹は、36年間、証券界一筋で働いてきた人間でした。カヤックはネット業界、しかもベンチャーというまったく畑違いの世界。それだけに、知人を介して紹介された時のカヤックの第一印象は、正直「うーん…」という複雑なものだったそうです。

決まる前に社員に紹介された監査役

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誕生日プレゼントのシャツで登場。「自分では絶対に選べない今風なデザイン」とのこと。

― 最初はカヤックの印象に戸惑いもおありだったそうですが…。

佐田
そうですね。初めて当時のノリノリWebサイトを見た時、これは自分の世界ではないな、もとの業種からも距離がありすぎるなと。でも代表のやなさん(柳澤)の本を読んだあと、やなさんとかいちさん(貝畑)とキャップ(久場)の代表3人に会ったら印象がすごく変わりました。その後、経営陣から「カヤックを知るには合宿ですよ」と言われて「ぜんいん社長合宿」に参加してみたら、まだ入社することも正式決定してなかったのに、突然みんなの前で「監査役の佐田さんです」と紹介されたのでとても驚きましたね(苦笑)。
でも、やなさんの著書の内容にはとても共感を覚えましたし、実際に会った代表3人の考えもそこに書かれたところと一致していたから入社を決めてもいいかなと思っていました。経営理念の意義、その絶対的に変わらない部分、つまり確たる経営理念を有するということと、相対的に変わりうる部分、つまり経営理念の内容をロジカルに分けて考えていることにも感心しましたからね。経営理念を謳う会社は多いけど、ここまで突き詰めた会社はそれまで見たことなかったですし。

― 正式に監査役に就任されたのは2011年3月ですよね。

佐田
はい。ベンチャーキャピタルの監査役経験もあるし、資本市場の知識も事業を拡大する上でお役に立てるかなと。僕自身、一生に一度はベンチャーに身を置いてみるのもチャレンジングだし、そういう会社が大きく羽ばたくフェーズを体験できたら楽しいだろうとも思ったこともありました。

― なるほど。

佐田
何より格好つけてないところがいいなと。初めて会った時やなさんが「監査役って何をする人なんですか」って質問をしてきたんだけど、格好つけてる人はそんな質問しないでしょ(笑)。それにこれ極めて核心をついた質問ですね。「会社を守るのが監査役の仕事です」と答えておきましたけど。
しかも、ずっと席が彼の真隣なんですよ。普通は監査役なんて鬱陶しいから遠くに離されるのにね(笑)。実際の話、独り言も電話も全部聞こえる距離だから、何が起こっているかも把握しやすし、コミュニケーションも取りやすいですね。。

カヤックの良さをどう残すかを考えるお仕事

― 3年半、実際に働いてみてどうですか?

佐田
前職とは業種も規模も考え方も違うし、カヤックの特異性も相まって最初は戸惑うことばかりでした。組織図もなかったしね。監査役としてはある程度慣れたので、今はカヤックの大事な部分まで変えてしまわないように気をつけながらやっています。

― 変化させる箇所、残す箇所の見極めって難しそうですね。

佐田
そうですね。変わらないといけない部分ほど、変えるとカヤックのよさが消えちゃう恐れがあるので…。でも企業文化を活かすっていうのは、そういう微妙な部分の勝負なんですよ。

― 例えば「サイコロ給」などはベンチャーならではのよさだと佐田さんは言われていますが、規模と将来の方向性って関係あるのでは?

佐田
そうそう。そこが今後の一番のポイントだと思います。面白さを保つために小さくあり続けるという方法もあるけど、現実的に見てそれは難しい。会社は発展するか衰退するかのどちらかが普通だし、株式会社になると資本を大きくして分配するという役割もあるから、水平を保つというのはその根源的機能と矛盾しちゃうんですよ。

― いい形にしていく上でお手本になりそうな会社はあるんでしょうか。

佐田
比較するのはおこがましいですが、Googleあたりじゃないですかね。イノベーティブで自由で、寮や研究所、保育所なんかの関連施設もあって…というコミュニティ型の組織をやなさんは構想しているような気がします。

― 監査役としてのご自身の関わり方はどう考えてらっしゃいます?

佐田
うーん、難しい…。カヤックって考えに考えて言語化してから動く会社だから、実はすごく慎重なんですよね。監査役ってブレーキをかける固い人の印象があるでしょうけど、僕なんかだと、逆にベンチャーなんだからもっと大胆にやってもいいのになと思う時があります。とにかくいい形で企業が発展するのが一番ですけどね。

― 言語化というと、ブレスト(ブレインストーミング)を大事にしていることにも関係がありそうですね。

佐田
そう、いろいろ考えて言語化するこの文化はすごくいいことだと思います。例えば、やなさんは何かあると必ず社員全員に説明するけど、一般企業では非常に珍しいことです。言語化されると相手も反論できますしね。僕も意見が違う時があるけど、言葉で提示されるからこそ、異論や道筋の違いを明確にできるんです。
最終的に意見が一致すればいいけど別にしなくてもいい。それよりは相手が何を考えているか客観的に見られることが大事なんですよね。

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メーカーでも、アーティストでもないクリエイターに

― もうちょっとこうしたらいいのに、と思われるところはありますか?

佐田
いっぱいあります(笑)。でも何が問題かが全部わかっているから大丈夫。今後はやはり、面白法人であり続けながら会社を発展させることに、社員も含めていかに折り合いをつけるかを考えることが必要だと思います。
うちはクリエイターが多い会社だと言うけど、物やサービスをつくっただけではメーカーでしかない。その物やサービスで人に面白さや喜び、価値を感じてもらって初めてクリエイターだと思うんです。つまり他者にとっての価値をクリエイトするのがクリエイターだと。で、価値を感じた人はその証として対価を払ってくれるはずで、それが会社の収益になるわけでしょう。
この話をすると、お金のことを考えたら面白くなくなるという反論が出やすいのですが、面白いものと収益は決して相反するものではないと理解してもらわないといけない。やなさんもよく言いますが、自分たちだけに面白いものをつくっているんじゃだめなんですよ。

― 組織にいる以上、クリエイターはアーティストじゃだめだと。

佐田
ええ。面白いかどうか、クリエイターかどうかは社会や他者が決めるものです。そこがひたすら自己の美学を追求するアーティストとは異なります。かといって、収益優先になりすぎて遊び心がなくなるのもダメ。クリエイター中心の職場のよさはいい意味での純粋さと遊び心があることだから、両方をうまく融合させていけるといいなと思います。
これはとても難しいことだけど、簡単にできるなら経営者は必要ないですよね。その実現のために僕ら監査役も協力しているわけですしね。

― 可能性を秘めていると思うアプリやサービスはありますか?

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佐田
やっぱりスマホ上でのゲーム・コミュニティを構築するLobiかな。スマホゲームの実況録画機能の技術を扱えるのはカヤックも含め世界で数社程度ですし、今後はそれをどうビジネス的にブレイクさせるかだと思います。その意味では、今後うちの発展はLobiの成功度合によるところが大きいでしょうね。戦略や進捗を見聞きしながら僕は大いに期待してるんですけどね。

「みんなの足を引っ張らないように…」

― 客観的に見て、今は目標までのどの位置にあると思われます?

佐田
蝶で例えたら、僕が入った2011年初め頃までは芋虫の時代。カヤックは見た目もやることもすべてが面白い印象でしたよね。今はさなぎで世界に羽ばたくための力を貯めている時期。カヤック、最近おとなしいねって言う人もいますが、芋虫から突然蝶にはなれないですから…。内側にいると、エネルギーが貯まっていくのを感じます。面白蝶としてはばたく時も近いんじゃないかな。

― 会社に関わっていく中で気をつけていることは?

佐田
好みも価値観もはっきりしているタイプなので、社内ではそれを出し過ぎないようにすること、つまり努めて客観視して相対化することです。今まで培ってきた価値基準を捨てるのは難しいですが、カヤックの論理はこれまでの価値基準とは別として尊重しつつ、皆の足を引っ張らないように…。やなさんには「もう引っ張ってるよ!」と言われるかもしれませんけどね(笑)。

― 難しい役割でお疲れもありそうですが、リラックス方法などはありますか。

佐田
月並みだけど読書やドライブとか…あとは一人でバーに行きますね。行きつけが何軒かあるので、時々早い時間に行ってウイスキーなどを軽く呑んだりするんです。こういう話をすると呑兵衛みたいだから、普段はあまり言わないんですけど。でも、前に比べるとかなりストレスは少なくなりましたよ。それに古くからの友人たちから「佐田はカヤックへ行ってから前より元気になった」って言われますね。この会社が合っているのかもしれないね(笑)。

縦横無尽に走るカヤックを優しくも厳しい目で見守る佐田。そんな紳士的なスタンスでこれからもバックアップしてくれることでしょう。
カヤックに興味を持った方はぜひ「仲間募集」のページをご覧ください。

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