岩田慎吾が新卒で入社して事業部長になるまでの道のり | 面白法人カヤック

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2015.04.29

#面白社員インタビュー No.9
岩田慎吾が新卒で入社して事業部長になるまでの道のり

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今回インタビューに登場するのは、眼鏡や服装など、身につけるあらゆるアイテムがピンクなことから、「ピンク」と呼ばれるカヤックの名物プロデューサーこと岩田慎吾です。

「PIZZA BLACK」Webサイトや『笑っていいとも!』最終回記念キャンペーンサイトなど、クライアントワークチームの中心として長らくみんなを引っ張ってきた一人。そんな彼に仕事への思いやモットーなどを聞いてみました。

「自分はもっとできるのに」と燻り続けた頃

― 2008年に新卒で入社されたんですよね。元々は美術系の大学院に進学される予定で、就活もしていなかったとか。

岩田
ええ。でも心境の変化があって、やっぱり就職しようと思った時に、クーピー(クライアントワークを請け負うカヤックの別会社、後に合併)のインターンをしていた友達に誘われてオフィスに遊びに行ったんです。
それがカヤックとの最初の出会いです。その時は創業者の柳澤や久場と少し話をした位でしたが、3日後にお誘いをもらったのでそのまま入社しました。

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― 入社後はすぐに前線でお仕事を?

岩田
いえいえ。最初の半年は使いものにならなかったと思います。ディレクター職で入社し、1〜2年目が集まるブログパーツ制作チームで経験を積んでいました。当時は、案件も新人に任せても危なければ先輩がリカバリーできる規模だったからか、任される領域もかなり広かったんですよ。実地で仕事を身につけるというか。
ちなみに今だから笑えますが、実は僕その頃かなり嫌われていたんです。自分では仕事ができるという高いセルフイメージなのに、周りは生意気な新卒だという感じで。なぜ認められないのかとモヤモヤして仕事も空回りし、2年ほど燻りっ放しでした。

※山田ズーニー著『なぜあなたの話は通じないのか』は岩田が当時読んで、個々が持つ「メディア力」の重要性を解いた本で、「みんなに総スカンを喰らった日に読んで感動した」一冊。毎年新卒社員には読ませるという。

頑張り続けた結果と好循環

― よく2年間も頑張りましたね…。

岩田
ここで辞めたら負けだからと思って頑張ったんです。3年目に入ると、徐々に評価も上がり始め、話を聞いてくれる人も増えて好循環が出てきたんです。5年目までは一つでも多くこなして一番売上を立てようと頑張っていました。

― 次の2年間は、セルフイメージにより近づいていく努力をされたと。

岩田
そうですね。4年目にチームリーダーになったんですが、それまで内にしか向いてなかったのが、全体の売り上げ達成やチームで案件を進めることへの意識を育んだ気がします。その上で今度はメンバーの成長に対して向き合っている段階ですね。
他人に厳しいのがウチのいいところでもあると思うんですが、自分のことは棚に上げてでも伸ばせるところがあれば指摘しないと、成長にコミットしてあげられないですしね。
人は無力を晒す立場になるまでは成長し続けられるらしいです。そうでなければ乗り越えられるそうですし、僕もまだアクセル全開で行くつもりです。あと退職された先輩プロデューサーの鈴木P(鈴木啓央さん)からはずっと「しょぼい30歳になるな」と言われ続けてきたので、僕も後輩には同じように言っています。30歳になった今、できてるのかは気になるところですが…。

― 思い出深い仕事は?

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岩田
4年目にやった「UNIQLO THANKS A MILLION」ですね。Webコミュニケーションの最高峰にあったユニクロさんの仕事に関わり、多くの人が見る物を高いクオリティで制作できたこと、受託案件でただサイトをつくるだけにはないダイナミックさを感じられた案件でした。
映像を担当したMONSTERFILMSのクリエイティブディレクターの意識の高さ、現場ディレクターの全体を取りまとめるホスピタリティの高さにも、仕事はもっと突き詰められると思い知らされましたね。

来た球をとにかく打ち返し続けた20代、では30代は?

― 期間のお話がよく出ていますが、各期に目標を設定されていたのですか?

岩田
いえ、20代は来た球をとにかく全力で打っていました。目標はもちろん大事ですが、人生の軸がまだあまり固まっていない時期は、来た物を全力でやるほうが成長は速い気が僕はしたので。30代になって初めて、どんな球をつくるかという戦い方になるか、どんな仕事をとるかという目標設定ができるのかなと。

― 20代にいろいろなことをやったからこそ、わかることなんでしょうか?

岩田
どうですかね。でも、仕事の規模が変化するにつれ人間的に成長はできたんじゃないかと思います。人の考えることなんて昔はわからなかったけど、今はこう言えば喜んでくれるかな、とか考えるようになりましたもん。
「うん」と言ってもらうためには最適なプロセスやコミュニケーションを考えるし、快くなってもらうためには思いやりも必要ですよね。

― ちなみにその考えを認識する上で、企業理念などの影響はありました?

岩田
この仕事ができて幸せだとか、人やできごとに感謝する機会は増えました。あとは、すべてが解決するアイデアは頑張れば出せるという粘り強さとか。「アイデアいっぱいの人は深刻化しない」という言葉をカヤックは大切にしてますが、ヤバい時でも考えれば解決策にいつか辿り着けるはずという考え方ですね。

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アイデアを導く秘密と心に留める二つのモットー

― 皆さんアイデアの話はよくされますが、岩田さんの場合はどう導くのですか?

岩田
昔は特に方針もなく、たくさん仮説を立てて出していい案を繋げたりしていました。常に持っているスケッチブックに書き殴っているとパッと降りてくるんですよね。最近では、USJのマーケター森岡毅さんの著書(『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』)を参考に、課題を分割してすべてを解決するアイデアを出すというフレームワークも実践しています。

※岩田はスケッチブックとぺんてるのサインペン(ももいろ)、ゼブラのサラサ。それぞれ月に10本ほど購入し、家・オフィス・カバンすべてを同じ環境にしている。

― いろいろあるんですね。

岩田
でもこういうのはフレームワークだけを知っても意味がなくて、昔からアイデアを考える習慣があるからこそ、腹落ちするんだと思いますよ。昔は鈴木Pに「お前は本当に何も考えてないな」とよく言われたけど、今は僕も同じことを言っているから、若い頃って基本考えてないのかもしれません。というよりは、考える深度が違うんだろうなと。
ただ、考えることが習慣になれば、いつでもどこでも自分が関わる課題を意識するようになります。その意識こそが何かを引き寄せてくれると思うんです。

― お仕事のモットーは?

岩田
美意識を持つことと、何かが起こったらすべては自分の責任だと思うこと。一つめは、美しいかどうかを常に問い続けるしつこさ、甘えのない行動が大事だと思っています。プロジェクトの舵をとるディレクターの行動が美しくないと、そのアウトプットも美しくならないですからね。
二つめは、人のせいにするのは簡単ですが、それではプレッシャーに強くならないし、成長もしないですよね。言い訳は格好悪いと思うけど、それは美意識へのこだわりにも通じます。実は二つは近いところにあるのかもしれません。

― 今お仕事をしていて楽しいですか。

岩田
ええ、すごく。鈴木Pがカヤックを独立してからクライアントワーク事業部全体を見るようになりましたが、この1年でも成長できたと思います。ピンクの眼鏡を黒縁眼鏡に時々変えるようになったのも、ここ1年です。事業部が請け負う仕事の内容は少し変えていて、今は企業サイトのリニューアルや採用サイト、ブランディングを中心にしています。瞬間的に消費されないような仕事、Webでブランドをつくりたいんですよね。

― なるほど。

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岩田
PIZZA BLACK」はその一つですね。ちなみに僕が仕事に対する美意識を意識し始めたのは、この案件で制作会社17の松尾卓哉さんと知り合ったからです(CMをはじめ全体ブランディングを17さんが手がけ、カヤックはその世界観をwebで最大化するという関わり)。松尾さんは厳しい方だけど、人情に厚くて。侍のようなクリエイティブモンスターみたいな方でホント、かっこいいんですよ。

― 何でも好きなことをやっていいと言われたらやってみたいことは?

岩田
広報ですね。カヤックの制作物を受託出身としてもっとアピールできたらと思うし、単純に面白いメッセージが出せればもっと社会はよくなると思うので、会社全体でそういうことの発信ができたらと。

―ありがとうございました。

「根拠のない自信は大事ですよ」と笑う岩田。しかしその一方で、地道な頑張りと努力こそが今の彼をつくっている、ということが垣間見られる取材でした。

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