2023.10.20
#面白法人カヤック社長日記 No.124上場すると経営者はお金持ちになるのか?【 面白法人が考える上場の話#09 】
2023年は、「上場」というテーマでこの社長日記を書いています。
上半期の6ヶ月は、上場する前に考えておきたいトピックについて、そして下半期の7月からは上場後に考えたいトピックについて書いてきました。
参考「2023年の社長日記の決意。 ひとつのテーマで12ヶ月続けます。」
7月以降は上場をこれから考える起業家だけではなく、上場企業に勤めている方や、その関係者の方にも読んでもらえたらと思い、株主、株価、上場企業の社長という職業について、触れてきました。
10月のテーマは、上場した経営者とお金の話です。
上場すると経営者はお金持ちになるのか?
よく「会社が上場すると創業者は大儲けできるんでしょう」と言われることがあります。また一度に大金を手にして人が変わってしまったという話も聞きます。実際のところはどうなのでしょうか。
たしかに自分がゼロからつくった会社が上場すると何億円もの時価総額になる。創業者であれば多くの場合、それなりの株式を保有している人が多いので、上場したタイミングで保有する自社株式を売却すれば、株式の時価と払込額面価額の差額で創業者利益と呼ばれるお金が入ってきます。
ただ実際には、自分が保有する株式を売却できるタイミングというのは、インサイダー取引にあたる会社の重要な情報を知っている立場ゆえに非常に限られています。いつでも売却できるわけではありません。
かつ大量に売る時には、市場に届け出を出す必要があります。また現金化する時には税金もかかります。また、創業者が株を売っているということは、市場的には必ずしも良い状況とは捉えられません。売ることで市場から不安視され、株価が下がり悪循環になる可能性もあります。そして売りたくても、市場での取引量が少ない会社の場合には、自分の株を売るだけの取引量がないので市場に出したとしても捌けない。調べていただくとわかりますが、日々の取引量が少ない会社はわりと多いのです。
つまり現金化するのはそんなに簡単ではありません。一方で、株価と保有株式数から計算すると帳簿上では資産が増えてますので、自分が大金持ちになったような気がします。
そのイメージと実態がずれてしまったために、時に悲劇が起きることもあります。たとえば、株式を担保にしてお金を借りて、株価が下がって返すことができなくなるなんていう悪循環に陥るのもその一つです。
そう考えると、単にお金持ちになることがゴールなら、上場ではなくバイアウトして株式を売るという方が資金は早く手に入るともいえるのかなと思います。
大金を手にしたことで人は変わってしまうのか?
「あの人はお金持ちになりすぎて変わってしまったよねぇ・・」という発言は、一度はどこかで聞いたことがあるのではないかと思います。これは実際は大して変わってなくても偏見でそう言われてしまうということもあるのですが、実際に変わる場合、たとえば、良い変化としては、お金持ちになった結果、私財を投入して何か社会に貢献するようなことや、あるいは教育機関などを立ち上げたりといった展開になること。悪い変化としては、いきなり趣味嗜好が変わったり、態度が横柄になるというような、そういうイメージを指しているのではないかと思います。
ただ、この状況をよくよく考えてみると、正確には「お金持ちになって変わってしまったのではなく、お金持ちになって自分の本当にやりたいことができるようになり、素の自分が出てきた」ということなのかもしれません。
想像してみてください。あなたの手元に一生困らないだけの大金が入ったとします。そしたらお金のために、何かを我慢する必要はなくなります。やりたいことをやってよいのです。そうだとしたらどうするでしょうか?
今の仕事を辞めますか?付き合う人を変えますか?きっと、もともと本当にやりたいと心の底で考えていた願望に繋がってくるのではないでしょうか。
であれば、お金持ちになって変わってしまうということの本当の意味は、その人の素である本来の自分が出てきたということなのではないかと思います。
そのように考えると、カヤックの創業者である貝畑と久場をみると、特に何も変わってないなぁと思います(自分自身のことは客観視できないので外しておきます)。
これは、大して金持ちになってないということでもあるんですが、一方で、二人の素の部分でも本当にやりたいことが、面白法人カヤックをつくっていくことなのだなという気もします。
今回は内容が少し生々しいということもあり、短くさくっと書いてみました。
以上です。
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このブログが書籍になりました! 特別対談「うんこの未来」のおまけつき。