2017.01.23
#オモテク探偵団! No.1研究室でペロペロされたい!―電気通信大学 野嶋研究室に行ってみた
オモテク探偵団! ~オープンイノベーションの未来を発掘~とは、カヤッククリエイター陣が大学や企業の研究室にお邪魔してまだ知られぬ研究をテーマにブレストし、新しいオープンイノベーションのタネを探す連載企画です。第1弾の今回は東京・調布にある電気通信大学 野嶋研究室を訪問しました。
研究テーマ
AUGMENTED SPORTS
VRやセンサなど、さまざまな技術を取り入れた新しいスポーツ競技を開発。超人スポーツ※とも連動して、身体能力の差を技術で埋めながら楽しめるスポーツを開発している。
触覚を中心とするインタラクティブシステムの開発・応用
ものを触るという感覚を起点に、双方コミュニケーションによって今までに無かった楽しさや発見を提供するシステムを研究・開発する。
バーチャル・リアリティ(VR)の基礎的な技術開発
HMDやセンサを活用した、五感に訴えるデバイスの研究・開発を行う。
※超人スポーツ
テクノロジーと現代の文化をスポーツに取り込み、年齢や性別、障害に関係なく楽しめるスポーツを開発する日本のプロジェクト。2015年に設立。
http://superhuman-sports.org/
最近の研究成果の一つがこちら。
その名も「りっかーたん」。
2016年10月に開催された国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト(IVRC)で明和電機社長賞にも選ばれた学生有志による作品で、手を箱の中に入れると、中にいる「りっかーたん」がなめてくれる。
促されるまま、恐る恐る手を入れてみると……
- りっかーたん
- ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ
- 中農(カヤック)
- あー!こういう事ね!
腰が砕けそうになりながら叫ぶリアクションに、学生のみなさんもつられて笑ってしまう。
感触が伝えられないのが残念だが、大のオトナがめったに見せない表情から察してほしい。
これが研究?と思うかもしれないが、動物が飼い主をなめる事で気持ちが通じ合うといった、舌を介したコミュニケーション機能に注目したのが開発のきっかけ。IVRCへの出展を前提に開発したので、エンターテインメント性を持たせたそうで、実際は舌という独特の触感によるコミュニケーションの可能性を研究したものだ。
ユニークな研究が多い事で知られる電通大だが、インタラクティブ性を志向する野嶋研究室も電通大らしいアウトプットが多い。
先生にお話を伺いました
― 研究内容を伺うと、触るという事を重視しているようですね。
- 野嶋准教授
- 触るというのは自ら体を動かして触りにいくという動作が基本になっています。置いた手の上に何かが乗ってきて触るというのと、自分から意志を持って触るに行くというのが、感度として全然違うという研究結果もあり、触覚や身体性などをキーワードにテクノロジーで触る事の楽しさを拡張するというのが基本になっています。
― 触る楽しさという点が超人スポーツ※にもつながっているのでしょうか。
- 野嶋准教授
- そうですね。健康維持という面でもスポーツは非常に有効なのに、運動神経が良くないからとか、うまくできないからという理由でスポーツをやらないようにあってしまうのは、すごくもったいなくて、そういう人たちでもテクノロジーの力を使って楽しめるんですよ、という事を伝えていきたいなと思います。
野嶋研とカヤックのクリエイター陣でブレスト!
― これまでの研究成果の中で、アイデア次第ではもっと面白くなると思うものってありますか?
- 野嶋准教授
- それで言うと、このスマートヘアですね。
- 野嶋准教授
- 形状記憶合金を使ったアクチュエーターの集合体で、光に反応して任意の方向に動作制御させる事ができます。仕組みを変えれば、音や圧力での制御も可能です。
おもちゃへの活用や、舞台装置に活用するなど、いろんな使い方があると思うのですが、さらに良い活用方法があれば世間的にも注目が集まるかなと。
ということで、カヤックのメンバーと野嶋研究室のみなさんでブレストをしてみました。
ブレスト参加者
電気通信大学 野嶋准教授
電気通信大学 研究室の学生
カヤック 安藤耀司
カヤック 中農稔
カヤック 松田壮
束で使うか、それとも1本で使うか
- 安藤
- 見た目はもやしっぽいですよね。光が当たったら元気になったり、人の感情をセンシングして元気がなさそうな時はしおれるのはどう?
- 中農
- 麺類の食品サンプルもいいね。フォークとか箸が無くても麺が立ってるサンプル。
- 安藤
- 普通にカツラとして使うのは?
- 野嶋
- カツラは結構真面目に考えてました。
- 中農
- SMART HAIRですもんね。
- 安藤
- モヒカンから七三分けまで臨機応変に対応できるカツラ
- 中農
- 就活とバンドを両立するSMART HAIRだ。
- 松田
- 音楽会社の採用キャンペーンで、バンドマン就活生のためにカツラを開発しました!って発表するとか。
- 安藤
- 髪の毛のように束じゃなくて、1本だけで機能するのもアリですよね。
- 松田
- 耳かきはどう?スマホに取り付けて『もうちょい右!』って言ったら、音声認識して、ちゃんと右に行くような。
- 安藤
- 耳かきというより、耳穴専用マッサージだよね。
- 中農
- ヘッドフォンタイプにすればハンズフリーでいける。
という事で作った企画書の1つ目がこちら
- 野嶋
- これは面白いですね。鼓膜に届かない長さにしておけば安全性も担保できそうです。
- 中農
- 大量にあって、束になって使えるアイデアも考えよう。
- 安藤
- モップ的なものに使えませんかね。
- 松田
- 畳の目でも掃除できるロボット掃除機。その名もできる嫁。
- 一同
- (苦笑)
- 安藤
- 今、駅ナカでは柱自体がデジタルサイネージになってるじゃないですか。何本ものサイネージの柱に映ってる映像が同時に変わったりするのが結構面白くて。
- 中農
- あー、会場案内とか誘導に使えそう。
- 安藤
- あと、音楽と連動させてイルミネーションにする。
- 野嶋
- 確かにイルミネーションは使えそうですね。先端にLEDをつけて、音で入力するような仕組みにすれば実装できますね。
- 中農
- 確かに音と連動させるのは面白そう。
- 野嶋
- 面白いですね。音との連動は可能です。速い動作も大丈夫。
- 安藤
- ヘドバンさせたら面白い。スピーカーにつけてもいいんじゃないかな。
- 松田
- カラオケで歌うとスピーカーにつけたSMART HAIRがヘドバンしてくれる。
- 野嶋
- そうか、みんなうなずいてくれるものを欲しがってるんですね。
- 安藤
- つまんない講義にもうなずいてくれる(笑)
- 中農
- うなずくことで承認欲求が満たされる。
意外な発見があった企画書の二つ目がこちら
この他にもCMと連動する整髪剤のサイネージや、水槽の中で魚をマッサージするデバイスなど、さまざまなアイデアが出ました。
はたして次の探偵団では、どんなアイデアが生まれるのでしょうか?お楽しみに!
オープンイノベーション、請け負います。
カヤックでは、オモテク探偵団をはじめとして、企業、研究者、クリエイターを繋ぎ、新しい価値を生み出すオープンイノベーションに、積極的に取り組んでいます。「アッと驚く商品アイデアがほしい」「新しい技術で一緒に開発していきたい」などのご相談をお持ちの皆様、企画から実制作まで、幅広くご相談をお待ちしています!
取材協力
電気通信大学 野嶋研究室のみなさま
Writer : 越智岳人