2021.09.28
ゲムトレがカヤックグループへのジョイン。株式異動を通して同じ船に乗ってコミットしていくということ。
2021年9月28日にカヤックグループにジョインしたゲムトレ。どんな思いでカヤックグループにジョインしてくれたのか?カヤック初の試みとなる株式異動の経緯や目的は?カヤック代表の柳澤とゲムトレ代表の小幡さんにお話を聞いてみました。
小幡 和輝
1994年、和歌山県生まれ。約10年間の不登校を経験。
当時は1日のほとんどをゲームに費やし、トータルのプレイ時間は30000時間を超える。その後、高校3年で起業。SNSのプロモーション企画やイベント事業などを行う。
ダボス会議を運営する世界経済フォーラムより、世界の若手リーダー『GlobalShapers』に選出。2019年10月より、日本初、ゲームのオンライン家庭教師『ゲムトレ』を立ち上げる。
著書に 『学校は行かなくてもいい 親子で読みたい「正しい不登校のやり方」』『 ゲームは人生の役に立つ 生かすも殺すもあなた次第』『学校では教えてくれない 稼ぐ力の身につけ方』など
不登校期間10年。ゲームが支えになった原体験から、ゲームがもっと認められる文化の醸成に向き合う
- 小幡
- ゲムトレは、ゲームのオンライン家庭教師のサービスで、『フォートナイト(FORTNITE)』といったゲームをゲムトレに所属するトレーナーが子どもたちに教えています。2019年10月に立ち上げてもうすぐ2年が経ちます。ゲムトレを始めたのは、学校とゲームの体験が影響しています。学校の仕組みが僕には合わなくて幼稚園の頃から行きしぶりがあり、小学校2年生から中学校を卒業するまでの約10年間は完全に登校しなくなったので、筋金入りの不登校でした。一方で3歳ぐらいからゲームが大好きで。5歳年上の親戚とその友人が一緒にゲームで遊んでくれて、不登校の間もゲームが支えでした。
- 柳澤
- 今の小幡くんをみるとそんな感じがあまりしないですよね。10年間も学校いってないと心配になる人もいるだろうけども、しっかりと社会性を身につけている。実はその社会性をゲームで身につけたということなのでしょうか。
- 小幡
- ゲームのおかげで友達がたくさんできたし、大会に出たりして自信にも繋がっていったことが現体験でありいい思い出です。僕はゲームを通して今がありますが、eスポーツとかプロゲーマーっていう言葉が広がってきた今でも「プロゲーマーになるんだったらいいけど、そうじゃないならゲームをやる意味あるの?」とまだまだ言われる時代なんですよね。野球とかサッカー、囲碁や将棋などを頑張ってる子たちに比べるとゲームを頑張ってる子たちがあまりフィーチャーされていないんです。
- 柳澤
- たしかに。ゲームをしていても将来につながらないと思っている大人はまだたくさんいますね。野球をしてたって必ずしもプロ野球選手になるわけじゃない。だけども野球をしていたら意味がないと言われることはない。
- 小幡
- そういうスポーツと同じ地位ではないなとすごく感じています。そこを変えていきたいというのがゲムトレをやっていく中で一番強い思いですね。ゲムトレを通して、ゲームが上手い子や頑張ってる子が評価される文化を作っていくことで、「ゲームやってきてよかったな」「頑張っていいんだな」って思ってもらいたいです。
- 柳澤
- とても素敵な思いですね。むしろゲームをしている方が、自己肯定感が育まれるとなって親がこぞって習い事としてゲームをやらせようなんてところまでいったら素敵ですね。ちなみに、トレーナーっていう言葉が出てきたけど、ゲムトレを通して子どもたちにゲームを教える先生たちのことですよね。どういう人がトレーナーになっていますか?
- 小幡
- 高校生や大学生がほとんどですね。子どもたちにとってお兄さんやお姉さんぐらいの世代の人が多いです。高校生日本一を決めるeスポーツの甲子園「STAGE:0(ステージゼロ)」が今年も行われたんですが、『フォートナイト(FORTNITE)』部門で優勝経験のあるような何かしらの大会で結果を出している人だとか、ゲームが上手い人が活動してくれています。
- 柳澤
- まずはそれなりの実力がある人じゃないと、子どもといえども教えられないですものね。
- 小幡
- そうですね。たくさん応募をいただきますが、実際の採用は10%以下です。ただゲームが好きで上手なだけでなく、子どもたちと関わるのが好きだというトレーナーなど、人となりを見て採用しています。ゲーム以外の部分でも子供たちになんらかの人生のきっかけを与えられるようなトレーナーが多くいるといいなと思っています。
- 柳澤
- なるほど。子どもにとって、ゲームのうまいお兄さんやお姉さんにゲームを教えてもらえるだけじゃなくて生きる指針とかも含めて学べるというのは、ロールモデルを見つけることにつながりますよね。実際に約2年やってきて手ごたえはどうですか?
- 小幡
- サービス開始から累計10,000回以上の授業を行ってきたんですけど、順調に進んでると思います。ただ文化を醸成するという意味ではもう一段も二段も上げてやっていかなきゃいけないと思っていて。そういう意味で今回カヤックさんとご一緒できるのは楽しみです。
物事を肯定的に捉えて、いいところを伸ばす。カヤックグループの事業とゲムトレのシナジーを生かす道。
- 柳澤
- そもそも僕と小幡くんの出会いは6~7年前。その後、小幡くんのことをメディアでもちょくちょくみかけたり、小幡くんが出した著書を読んだりしてました。そして、小幡くんの立ち上げた「地方創生会議」というイベントにもゲストによんでもらったこともある。
- 小幡
- そうですね!そもそも僕は、一番最初に起業をしたのがまちづくりに関することなんです。その中で一番注目いただいたのが、「地方創生会議」で。全国の様々な地域で活躍する起業家や政治家といった色んなプレイヤーが一同に集まるようなサミットを2017年から2019年にかけて毎年実施していました。
- 柳澤
- とても面白い、いい空間だったなあ。
- 小幡
- ありがとうございます!僕の原動力って「こんなのがあったらいいな」を作ることなんです。だから和歌山で自分なりに試行錯誤しながら起業したりしていたんですけど、仲間が全然いなかったんですよね。東京でITベンチャーやりますっていうと渋谷とか六本木とかいっぱい仲間がいるじゃないですか。でも地方のまちづくりという文脈において、みんなが全国に散らばってるからなかなか交流する機会もないなと。だから集まる場があれば情報が集まったりコラボが生まれて面白いかなと思ってやってみたんです。いざイベントの旗を掲げたら全国から応募をいただいて、延べ1000人弱ぐらいにご参加いただきましたね。コロナの影響もあってその後は開催できていませんが、またやりたいですね。
柳澤
:そんな中で、2年前に小幡くんが立ち上げたゲムトレの新聞記事を読んで、随分また面白い事業を立ち上げたなと。そして、これは共感できるなと思いました。
そもそも、カヤックのこれからの重点投資領域は、まちづくりとeスポーツで、「地方創生会議」と「ゲムトレ」は、興味の方向まったく一緒じゃんと。
カヤックは「何をするかより誰とするか」を大切にして一人ひとりが面白く生きる社会を作りたいという思いで活動しているから、これは合うのではないかなと。実際に話をしてみて、素直さや柔軟性があるから一緒にやれそうだなという確信を持ちました。
あと、カヤックの事業とも相性がいいなと。そもそも、カヤックグループにeスポーツの総合商社のウェルプレイド・ライゼストもいるし、カヤック本体で行なっている「Tonamel」もゲーム大会の主催者を助ける、コミュニティを活性化するトーナメントプラットフォームとして提供してますが、「Tonamel」で開催される大会の中にトレーナーとなる人がいたり、さらにゲムトレで教えてもらった子どもたちが大会にでたりすることもできる。
そんな風にいろいろとシナジーがありそうなので。声をかけさせていただきました。ちなみに、小幡くんはどういう思いで今回の話を受けてくれたのでしょうか?
- 小幡
- 僕、元々カヤックが大好きなんです。「エイプリル採用」とか「いちゲー採用」、「エゴサーチ採用」といった採用関連のキャンペーンをTwitterでみていて面白い会社だなと興味を持っていました。カヤックの文化も好きだし、僕と合ってそうだなと感じてました。eスポーツの領域でもカヤックグループは日本で牽引している企業だと思っていたので、一緒に事業を伸ばすパートナーとしてはこれ以上のことはないなと。
- 柳澤
- しっかりと伸ばしていきたいという思いが一番あるということですよね。バイアウトして違うことやりますというような形もあるけど、そういう形ではない。
- 小幡
- はい!伸ばしていくために今回ご一緒させていただくことを決心しましたし、少なくとも株式の交換もあるので、より一層コミットしていきたいなと思っています。
カヤック史上初の株式異動。同じ船に乗って、会社・事業の成長によりコミットする。
- 柳澤
- 今回は小幡くんの株を一部買い取り、増資するという形に加えて、一部僕自身の株式とゲムトレの株式を交換したんですよね。これはカヤックグループと僕自身にとって初めてのことです。カヤックの創業者である僕らって上場時の売出し以降は、一度も株式を売っていないんです。まだまだ会社を成長させる気はまんまんなので。けれども、これから会社がどんどんパブリックになるにあたって創業者の株式の比率はいずれは薄めていくことになる。その中で、どうせ薄めていくのであれば一緒に事業や会社を成長させることにコミットしてくれる人に株式をもってもらう。これは良いことだと考えていて今回このような方法になりました。同じ船に乗るという点でもいいことかなと。すぐに売られると困るんですけどね(笑)
- 小幡
- もちろんです(笑)。ゲムトレの数字を伸ばすことに加えて、長期的にはカヤックの他事業などにも絡んで、カヤック全体に貢献できるようになりたいと考えています。今回の株式交換の割合は小さなものですが柳澤さんにとって初めてということで意味あることだと思うので、プレッシャーもありますがこれまで以上に頑張りたいと思っています。
- 柳澤
- 小幡くんがやってきたことが、カヤックグループに加わることで仲間が増えたり関われる事業が増えることに繋がると思うんです。興味のある他事業にも積極的に関わってほしいですね。楽しんでもらえれば嬉しいです。最後になにかあれば。
- 小幡
- ありがたいです。とはいえ、お話したとおり一段も二段も大きくしていきたい。ですので、この事業に興味があったり関わりたいと思っている人も募集しています。特に、オンライン事業のマーケティングや、先生のモチベーション向上などのノウハウがあったり評価制度を作った経験がある方など、一緒にゲムトレの組織成長にコミットしてもらえる方と一緒に働きたいですね。