「まちづくりの達人」を一年間ゲストに招いて考えたこと、気づいたこと。 | 面白法人カヤック

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2020.11.30

#面白法人カヤック社長日記 No.78
「まちづくりの達人」を一年間ゲストに招いて考えたこと、気づいたこと。

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今から2年前の2018年11月末に、「鎌倉資本主義(別名:地域資本主義)」をテーマにした本を出しました。
そして、今から1年前の2019年12月に、まちづくりに関わる人同士で学び合うオンラインサロン「地域資本主義サロン」を開設しました。
さらに今年2020年は、カヤックが地域のまちづくり事業に本気で取り組むぞという思いで、今までバラバラに活動していた地域に関わる子会社等をひとつにまとめ、「ちいき資本主義事業部」を設立しました。

特に今年は新型コロナウィルスが猛威を振るったこともあり、人々の流れが東京一極集中から地方へ向かっていますので、その流れに沿ってカヤックもより一層、様々な地域でのまちづくりのお手伝いをしていきたいと思っています。

そこで、ちょうど1周年を迎えた「地域資本主義サロン」の振り返りを今回はしてみたいと思います。

まず、このサロンは、サロン名こそ資本主義なんて言葉が入っていて難しそうに聞こえるのですが、実際は、資本主義についての話はほとんどないといってよく、まちづくりについて極めて実践的な事例を楽しく学べる場となっています。毎月1人から2人、まちづくりの達人をゲストに呼んで話を聞き、みんなでアイデアを出すという参加型の仕組みにすることで、より自分の血となり肉となることを目指しています。

ちなみに、まちづくりの達人はあらゆるところにいますが、僕らは一旦、下記の分類をして、ひとつの職種に偏らないようにお声がけしています。

1.首長
全国1741自治体ある中で、話題になる施策や実績を残している首長(市町村長や知事のこと)さんです。

2.スーパー公務員
行政の中で、まちづくりで面白い活動をしている人です。

3.まちづくりコンサルタント
民間という立場で、様々な行政と仕事をするまちづくりのコンサルタントです。複数のまちに関わっています。

4.まちづくりが本業の会社
コンサルタントはどちらかというと政策提案寄りですが、まちづくり会社は、もう少し現場寄りです。個別の町に根を張っている会社もあれば、ひとつのソリューションを横展開している会社もあります。

5.まちづくりが本業ではないが関わっている会社や人
僕らカヤックのような会社もここに含まれますし、たとえばまちづくりに影響のある建築家や、クリエイターなどもここに含みます。

このように様々な立場の人がゲストできて、それぞれの視点からの話を聞けるのが面白く、司会の僕自身が毎回本当に勉強になっています。

またゲストの方には、事例を話していただく上で、なるべく固有の話にならないように、どのまちでも活かせるような、つまり再現性のあるような事例やノウハウをお話いただくように意識してもらっています。

どういうことかというと、すごい実績を聞いても「その人だからできるんでしょう、自分にはとてもできない」と思うような話では参考にならないので、誰でもできるようなノウハウになるポイントを意識して話してもらうということです。これが極めて実践的なところを狙っているという意味です。

そういったことを意識しながら、1年やって見てわかったことは、様々な地域での失敗や成功事例を学んで、やったほうがいいこと、逆にこれはやってはいけないことという型は、ある程度どのまちにも共通してあるということです。

やったほうがいいことをひとつ事例として紹介します。それは熱海の事例です。熱海のまちづくり会社株式会社machimori代表の市来広一郎さんにお話いただきました。

熱海はもともと温泉で人気の観光地でしたが、何年か前までは、観光客もどんどん減り、まちは寂れて、右肩下がりの状況でした。そんな中では、観光客がきても地元の人が熱海を勧めることができません。たとえば、タクシーの運転手に「どこかいいところありますか?」と聞いても、「熱海に見るところなんかないよ」と返ってくる。そんな状況でした。

そんな中でとった施策は、地元の人たちと行く熱海の魅力再発見ツアーです。これをしつこく続けることで、地元の人が熱海の魅力を再発見し、どんどん自信を持って推薦する流れができ、見事V字回復、いまでは右肩上がりの状況となっています。

もちろん、この施策だけでV字回復したわけではないのでしょうけども、地元の人が地域の魅力を再発見するツアーというのは、再現性も高く、どのまちでもやったほうがいい施策なのではないかと思います。

そもそも外の人に対して自分のまちを「ここはいいよ!」と熱く伝える人が一人でも増えなければ、まちは盛り上がりません。言ってしまえば自信を持とうということなのですが、ツアーというところがポイントなのだと思います。

まちの魅力というのは、資料にもなっているでしょうし、誰かから聞いていたりはして、地元の人もみんな知ってはいるのです。「そんな場所があるとは全然知らなかった」というところは意外とない。ただ実際足を運んだことがないという人も非常に多い。ここがポイントです。

僕が住んでいる鎌倉にも大仏がありますが、小さい頃に行ったけど大人になって行ったことはないという地元の人も意外と多くいます。実際、大人になって大仏を改めて見にいくとまた違った感動があり、自信を持って勧めることができます。
つまり、地元の人がまちのツアーに参加し、実際に体感して、すでにその魅力を知っている地元の仲間に魅力を語ってもらうことで、より好きになるのだろうと思います。

このように、どのまちでもやった方がいい型のようなものがあることを学びました。おそらく、我々がやっているブレインストーミングを使ってまちのみんなが仲良くなるカマコンなんかもそういった型のひとつで、いろいろな地域から視察に来られたり、横展開しているのは、そんな理由があるのだろうと思います。

僕自身、個別具体的な話よりも、物事の構造やストラクチャー、共通する本質に興味があります。完全に自画自賛ですが、僕がモデレーターとして、ゲストの方々から伺う具体的なエピソードから普遍的なノウハウを引き出して言語化することが比較的得意なのではないかと思っています。(という感想があったという話は一度も聞いたことがないですが・・・)

ということでこれからもこのサロンを続けてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

40代後半になって実感することは、せっかくいい話を聞いても僕自身がすぐに忘れてしまうということです。寄る年波というやつでしょう。こんなにいい話は僕だけが聞くよりもみなさんが聞いた方が良いと思いますので。
これを機会にぜひご参加ください。過去のゲストのアーカイブも見られますので。

当日記の無断転載は禁じられておりません。大歓迎です。(転載元URLの明記をお願いいたします)

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