本間哲平「カヤックの人たちは頭のブレーキが壊れていた」 | 面白法人カヤック

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2014.10.08

#退職者インタビュー No.12
本間哲平「カヤックの人たちは頭のブレーキが壊れていた」

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今回はAndroidアプリの制作会社プレイスマート代表・本間哲平が登場です。2010年にカヤックから独立、現在は会社運営に奮闘しているところだそう。そんな本間に、カヤック在籍中の話や現在について伺いました。

本間哲平

「ブレーキが壊れた人たち」との4年間

― 2010年に独立されましたが、その時のことを教えてください。

本間
直接のきっかけは、やなさんの一言です。僕は入社時から将来は独立したいと話していたんですが、2009年度末の面談で「そろそろ独立しても大丈夫なぐらい力もついてきたんじゃない?」と。ビジネスマインドに関する勉強も一区切りしたところで、自分でもいいタイミングだと思ったんです。8月に会社をつくり始め、年末まではカヤック所属でした。

― カヤックと会社を並行していたんですね。

本間
いえ、その間は基本的にカヤック優先ですね。会社をつくってもいいけど、在籍中はその会社で利益を得ないという条件だったので。

― 新卒でクーピーに入社された理由は、独立の夢が実現できそうな会社だったからなんですか。

本間
いや、これが全然関係ないんです。ある就職情報サイトに掲載されていた募集写真が他社と趣向が違って面白くて、それだけで「ここしかない」と。業績ページなどを見てもよくはわからなかったし、入ったら何ができるとかもあまり考えなかったですね。

― そうでしたか(笑)。実際に働いてみるとどんな感じでした?

本間
ヘンな人の集まりでしたね(笑)。自由な人ばかりで禁止事項がないというか…「ブレーキが壊れた人たち」とよく言っていました。ただ、みんな出すアイデアはすごかったですよ。

― アイデアと言えば、BM11に所属してらしたんですよね。

本間
はい。でも僕は他のみんなとは少しスタンスが違っていたんです。社内に電気関係を扱える人がいなかったこともあり、カップルが手を繋ぐとシャッターを切る「胸キュンシャッター」や、「YUREX」などデバイスを活用した制作物が中心でした。もちろん、何もない時はWebサービスの制作を担当していましたよ。

― 大変だった思い出はありますか。

本間
Art-Meterのリニューアルですね。現行デザインのサイトへのサーバプログラムの改修一人で対応したんです。鎌倉で3カ月ほど、椅子と一体化するんじゃないかってほど専念していました。まあ、そのお陰でその後の大抵のことはやりきれましたが…(苦笑)。

本間哲平

社長業と「誰でも説明ナシに使える物」を

― カヤックでの学びが、今の業務にいきていると感じることは?

本間
今は社長としての仕事が中心なので、組織づくりに関する経験ですかね。カヤックの社風や制度ができる過程の中で働いてきたので、やなさんが今の土壌をどうつくったか、なぜこの制度をつくったかなどの知識が参考になっています。

― 見るとやるでは大違いという感じですか?

本間
そうですね、やっぱり大変です。4人しかいないのに、新しい制度を導入する時にも周りの機嫌を窺ったりして。やなさんみたいにズバッと決められればいいんですけどね。でも今は、社長って自信満々に見えても意外と作っている面もあるのかなと思ったりしますね。社員として働いていた時はわからなかったことです。

― 御社は勤務形態も独特ですよね。どのように統制をとられていますか?

本間
確かに、人にはサボり癖がありますからね(笑)。でも、今はビデオチャットなどもあるので、仕事はいろいろな形態で実現できるんじゃないかと考えています。例えば、本社に全員集まらなくても小さなチームで相互監視できるような中継拠点を作ってもいいんじゃないかなと。

― クリエイターという立場ではいかがですか。

本間
立場が違うので当然ですが、クリエイターと経営者では視点に若干の差がありますね。例えば、社員にはものづくりの楽しさや成果をモチベーションとして仕事に励んでもらいますよね。僕も当時は同じだったし、つくることは大好きですが、今はむしろ過程は自動化して完成品が手に入る仕組みのほうをつくりたいんです。

― 完成品が手に入る、とはどういう…?

本間
例えば、企画書をつくる時ってテンプレートをベースにして時間短縮しますよね。でも、ある程度の修正箇所が出てくる。そんな場合でも自動で定型文を選んで差し込みできる仕組みを作る、という感じで、人の手をかける作業を極限まで減らせるといいなと。その考え方を突き詰めて、将来はアイデアの提案と自動化のシステムだけつくる会社にしたいんです。

― 各作業を自動化して工数を減らす仕組みをつくると。

本間
まあ、それに近いです。Androidアプリで言えば、専門知識がなくてもアプリが制作できる自動化の仕組みができればなと。アプリの技術って進歩が速い上に、センサーやデータ送信の仕組み、画面解像度などものすごく幅広い知識が必要なので、技術者全員が同レベルに達するようになるのはすごく大変なんですよ。

― なるほど。

本間
だからそんな知識がなくても扱える仕組みが開発できればなと。自社のテーマを「誰にでも簡単に使えるものを」としているのもそのためです。「私でもできるかも」と思える人が増えてほしい。これはカヤックの「つくる人を増やす」という理念にも繋がるわけですけどね。

いち企業の社長として見る、企業の個性と仕事

― 今改めて、カヤックを客観的にご覧になっていかがですか。

本間
うーん、案件の種類が増えていますし、ゲームなど方向性が僕の在籍当時からは変化してきた感じはしますね。個人的にはBM11の勢いを継承したような案件、たとえばクアドロコプターなどを使ったデバイス系案件はすごくカヤックらしくて楽しさがあるので、今後ももっとそちらをフォーカスして欲しいなとも思います。

― ご自身はカヤックを経て独立されましたが、今後同じ技術者の人にはどんな可能性が考えられると思います?

本間
これはカヤックのことに限りませんが、今後は少人数のチームで仕事を回す小企業、もしくは個人志向の社会になる気がします。近く、社会構造の変革が起こると考えているので「こうしたほうがいい」とは断言できませんが、小企業が連合して仕事する形が主流になると考えた方がいいとは思います。

― 例えば、若い技術者が会社でやっておくべきことはありますか?

本間
オススメは趣味と仕事を繋げることですね。プログラムだけ、アプリだけなど各分野に特化した人は多いので、そこにさらに異なる分野で興味がある物を一つ繋げられるとオンリーワンになれますから。たとえば僕だと、電気工学とプログラムができたので、インターネットとリアルを繋げる、いわゆるIoT的なアプローチができたわけなので。

― なるほど、それは努力というよりも楽しんでできそうですね。

本間
鉄道が好きなら鉄道とWeb技術でもいいし、山登りとインターネットでもなんでもいいんです。そのアイデアはその人しか思いつけないし、好きだからこそ思いつくものです。1+1を10にも100にもできる力になってくれるはずですよ。

現在は開発と経営の両方に目を配る本間。小さなチームが主流になる社会で技術者が生き残っていくためのアドバイスにも実感がこもっていました。今後も、元カヤックの精神も活かしたオリジナルで自由な開発を期待したいと思います。

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