佐久間祐司「社長と一緒にコーチングを受けたら大学院で研究することになった」 | 面白法人カヤック

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2014.03.24

#退職者インタビュー No.7
佐久間祐司「社長と一緒にコーチングを受けたら大学院で研究することになった」

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カヤックを旅立ったメンバーに在籍時のことや現在について聞くインタビュー。今回は、昨年3月に退職した佐久間祐司と現部長の柴田史郎による新旧人事部長対談です。

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カヤックで人事部をつくる

― まずは入社の経緯からお聞かせください。

佐久間
私はやなさん(柳澤)の大学の後輩になるんですが、入社以前は交流会などで顔を合わせる程度だったんです。それが、前の会社を辞める時に、ぜひと誘っていただいて。当時はまだ60人ほどの規模で採用や人事関連は兼任だったので、人事部をつくって専任を置きたいという話でした。
実際に入ってからは、育成や評価システムに力をかけていても制度的には大がかりではなかったし、労務は別の方がいたので、2年ほどは採用中心にやっていました。
柴田
僕がカヤックに入社したのは2011年ですが、その時点でもう120人ほどになっていましたよね。
佐久間
人を増やし始めた段階の真っ最中でしたからね。人が必要だということで柴田さんも入社して人事部に来てくれたので、その頃から私は採用以外に育成も担当し始めました。
柴田
僕が入社したのは佐久間さん経由とも言えるんですが、いろいろあって最初は週2でカヤック、週3で前の会社という変則勤務で(笑)。
佐久間
そんな柴田さんに2013年度の新卒説明会の企画をほぼ丸投げしてましたよね(笑)。

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▲元・人事部長 佐久間

― 人事部もかなり独特な雰囲気ですよね。

佐久間
人事経験がある人間自体が今はゼロですしね。そういう私も、元々は人事のコンサルタントでオペレーションはしていないので、当初は採用も不慣れだったし、労務関係などは最後まで知らないままでしたよ。
柴田
僕も広告制作がメインだったので、採用経験はほんの少しある程度です。
佐久間
毎年やることが違うので、企画を考え、必要なWebサイトをどうつくってもらおうかと悩んでいる時間の方が長いんですよね。
それだけにオペレーションができる人が来て欲しいともよく思いましたが、結局は十分条件ではなかったです。評価システムも含めて、毎回やなさんや現場から投げられるお題に常に答えを打ち返すのはもちろん、ストライクゾーン以外の球も打たないといけないのでそれに精一杯で…。
柴田
ムチャぶりばっかりですもんね(笑)。
佐久間
11月末に突然新卒がたりないと言われて困るだとかね(苦笑)。2012年度新卒向けの卒制採用はその最たる物で、本当は、この時期に人が足りないというので出した苦肉の策だったんです。結果的に高い評価をいただけたのでよかったですが…。
本来はもう2013年度の新卒採用企画を始める時期で、就職サイト用の原稿は終わって方針や説明会の企画を考えているんですよ。そんな切羽詰まった状況だったので、卒制採用は別の社員、先ほどお話したように、翌年の新卒採用企画を変則勤務の柴田さんに担当してもらい、私が両方を見る状況だったのを覚えています。

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▲現・人事部長 柴田

― 本当にムチャぶりですね(笑)。

佐久間
今でこそ人員計画があるから、3年後に会社はこうなるのでこんな人が必要だよねという見通しができますけどね。柴田さんにバトンタッチした時から計画が始まったので、人事も新たな形になってきていると思います。
柴田
来年の年間計画を今立てているという意味では変わりましたね。
佐久間
計画すべき所は計画するというね。その一方で、柔軟さを失わない点がカヤックのよさであり面白さでもあるので、そこは変えていない感じですよね。
柴田
はい。引き継ぎでも、カヤックの面白さは決めない所から生まれるよねという話だったので、現場は決めた方が楽でもあえて決めない部分については、いつも考えるようにしています。

人事の制作現場もクリエイティブの現場と同じ

― 先ほど、卒制採用の話が出ましたが、記憶に残る企画はありますか?

柴田
僕は入社してすぐに企画した「日英中韓ウズベク語の5ヵ国語同時通訳のオンライン説明会」ですね。誰が最終決定をするのかわからなくて迷ったし、前職では現場の負担を減らすように進行していたのが、カヤックは現場の負担が増えても面白さを優先しますからね。
技術部から機能を追加したいと言ってくるし、そこが全然理解できなくて。完成したものを見たら納得できましたけど、慣れるまで多少かかりました。
佐久間
最終決定の話で言うと、カヤックは指揮命令系統がさまざまで、みんながものを言うってことなんですよね。私と制作現場、やなさん、演出部(広報)と言うことがそれぞれ少しずつ違う。
時間切れで決まることもあるし、それについては特に気にしないんです。柴田さんもこのプロジェクトで、カヤックの人事としての接し方がわかったんじゃないですかね。
柴田
そうですね、制作の流れと決断方法を一気に学んだ気がします。
佐久間
一事が万事そうなんです。制作現場でもそうでしょうし、管理系はそこに柳澤や広報の指摘が絡むのでコミュニケーションコストがかなり高いんですが、その分いいものができる率も高い気がしています。
柴田
僕はそれを「三大標榜制」と説明するんです。全員バラバラのことを言うので、現場は自分で考えざるを得なくて自立する。自分なりの面白法人らしさで判断してかないとならないわけです。
佐久間
今思うと珍しい環境ですよね。不安を抱えながらも自分の判断で何とかしなければならない。なんだかんだで社員が成長していく理由はそこにあるのかもしれないですね。

― 人事にも自分から物を言う力が必要そうですね。

佐久間
いや〜私も柴田さんも来たお題を打ち返す方が得意ですよ。でも柴田さんは自分からもボールを投げられる人ですよね。
柴田
いや、何かやれというボールが来ないと打たないですよ。絶えずボールが来るからやっているだけで(笑)。
佐久間
柳澤からの要求も含めて、自分から何か提案するよりは、打ち返す方が中心でしたからね。
柴田
今年の目標は「自分の意見を持つ」でしたよ。それまでは要望をハイハイと受けているだけだったのが、だいぶ意見を持てるようになりました。
佐久間
柳澤や各部署からのお題に見合った面白さを返さないといけない部署ですし、それを人事のスタンスで、上手にやろうとするとすごく難しいことなんですよね…。

人事に活かせるデータをもっと増やしたい

― 佐久間さんが退職を決めたきっかけは?

佐久間
私が育成を始めた頃にやなさんがコーチングを始めたんですが、社内のキーマンにもコーチングを受けさせようという話になったんです。それで私も一緒に受けさせてもらったんですが、半年ほどコーチと話すうちに、「俺は違うことがしたいんじゃないか…」と気づいてしまって。
元々、柳澤はコーチに「社員にコーチングを受けさせると自分が本当にやりたいことに気づいて辞めちゃう人がいますよ」と言われていたらしいんです。それでも、社員それぞれがやりたいことをカヤックで実現したい、と思うような組織のほうが強くなれるから…と推し進めたそうなんですね。そうしたら辞めることになってしまいました(笑)。

― 社員の育成制度を考えつつ、自分の将来も考え直した?

佐久間
そうなりますね。今は大学院の心理学部で研究しているんですが、それは実際の人事の現場では科学的にデータを用いて判断をくだす、というのが難しいと思ったからなんです。問題解決の際に、何が正しいのかという結論が出しにくく、勢いがある方が勝つことが多くて、それもおかしな話だなと。
例えば、柳澤と現場の意見が違うことは日常でしたが、どちらも自分の意見を強く信じているし、第三者の私が見ても両方正しいんです。3年後を考えると柳澤が正しくて、3日後を考えると現場が正しい。でも、どちらを優先するかと聞かれた時に答えが出なかったんです。
それを解決するデータを探せる場を考えた時に、大学院なら実現できそうだと。
柴田
いかに面白く働くかを考えるプロジェクトがあった時に、ウェブカムをつけて社員が毎日笑顔で働いているかどうかを測定したら、って提案してましたもんね。
佐久間
そうそう。今は顔認識もそう難しい技術ではないのでね。ただ、CTOの貝畑に話したらそれはブラウジングしてる時は笑顔でしょと返されちゃったんですけど。でも、社員満足度調査よりはダイレクトだし、最近笑顔が少ないけどあの部署何かおかしいよね、なんて会話ができたらと思うんですよ。
会社全体でなくても、個人に気づきを与える形でもいいですし。実は、私個人で毎日自分のタイプ数と心拍数を測定していて、そのうちに自分の集中力とタイプ数が連動していることに気づいたんです。1カ月継続することである傾向も見えてきたので、こうした内容をもっと科学的な関連性を持って理論化してみたくなって…。
性格的にも研究が合っていそうだし、年齢や職務の関係もあり、2012年の9月頃に退職を申し出ました。柳澤には大事な時期だからあと半年待って、と言われました。

― その後、2013年3月に退職されて今があると。研究を活かした人事システムができるのが楽しみですね。

佐久間
そうですね。研究テーマが生理学に近い内容なんですが、最近読んだ論文に人の唾液から取れるホルモン量を毎日測定することで、仕事のパフォーマンスを予測できるという研究があったんです。
ストレスなど、実は生理的に測定できる部分もあるので、そうしたデータを業務にフィードバックできたらいいですね。例えば、今は便宜的に残業時間を測って「長ければストレスが高い可能性が高い」ので、産業医と面談するというルールになってますが、唾液を測れば定量的にストレスが測定できるし、休暇や業務時間も調整理由として、きちんと制度化できそうだと思います。
柴田
それやりましょうよ。よだれ採用もできそうだし(笑)。面白制度の一環として、来年の人事予算をもらうためにも、佐久間さんがその仕組みをつくってくれればベストじゃないですか。
佐久間
仕事の結果が数値で測れる業種じゃないから、現場で実験しようとするといろいろ難しい部分が多いんですけどね。今すぐでなくても、私の研究結果がいい形で応用できたらなと思っています。

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