「……無実の罪で投獄された上に、なぜか顔に『黒い目線』を固定された。しかも永遠に回転し続けてやがる。
顔面を壁に擦り付けても無傷なのに、この『目線』が壁に当たると即アウトらしい。どういう当たり判定だよ。
……まあいい。看守・川北の作ったこの理不尽なゲーム、華麗に脱獄してやるぜ!」
「痛っ!! ほら見ろ、顔は完全に壁にめり込んでるのに、目線の端がちょっと当たっただけで大ダメージだよ!
当たり判定そこだけって、俺の本体『目線』の方かよ!
……くそっ、焦るな。俺一人なら回転のタイミングで必ず抜けられる……!」
「あーあ、ぶつかっちゃったねぇ。出井ちゃん、もっと大きく回ってくれないと」
「お前のせいだよ! なんで俺の目線に連結してくんだよ! 長さが倍になって通路に引っかかってるだろ!」
「いや、川北くんが『ここからはコンビの絆です。二人で一つの大きなプロペラになって、大空へ羽ばたいてください』って言うからさ。 ほら、気分はすっかり『タケコプター』だねぇ」
「そこは『竹とんぼ』でいいだろ! 脱獄中に空飛んだら即撃ち落とされるわ! いいから俺の回転に合わせろ!」
「よし! 第一の関門、突破だ!
なんとなく目線を避ける感覚が分かってきたぞ。このままシャバまで一直線……
って、おい。あそこの曲がり角にいるの、相方の楢原じゃないか?
なんであいつまで捕まって……嫌な予感しかしないぞ!」
「やった……! ついに脱獄成功だ! お前のせいで何回壁に激突するかと思ったよ!」
「いやー、無事シャバに出られてよかったねぇ。タケコプターの絆、見せられたね」
「だから竹とんぼな。もう二度とこんなふざけたゲームごめんだぜ」
「あ、そうだ出井ちゃん。看守の川北くんから伝言。 『コンビの絆、感動しました。次回作は、ガクも繋げて三つ又のプロペラにします。ハンドスピナーみたいでかっこいいでしょ』だって」
「なんでそこにガク巻き込むんだよ! おっさん3人のハンドスピナーなんか誰も回さねえわ! 絶対やらないからな!!」