実録!サイトリニューアル実録!サイトリニューアル

2007年07月07日。
はからずも見事に『7』並びとなった今年の「777 カヤック☆フェスティバル」。この日に面白法人カヤック、そしてグループ会社クーピーのWebサイトがリニューアルしました。創業からこの8月で10年目に突入するカヤックは2年半ぶり5回目、クーピーは2001年の創業以来初の試みです。

このサイトができあがるまでにどんなストーリーがあったのか?新生カヤック&クーピーサイトの全容は?両サイトの総指揮をとった、カヤック&クーピー代表・柳澤がご報告します。


まずは、でっかい文字のサイトにしよう

サイトリニューアルに関して大切なこと、それは『賛否両論はあるだろうけど「いいんだ」という“思い込み”で進むこと』ですね。今回僕が両サイトを通して、果たしていいのだろうか・・・と迷いながらも、思い込むように意識したことは「でっかい文字のサイトにしよう」でした。

ネットの創業期よりも、ここ数年、文字サイズが小さくても当たり前に許されるようになったような気がしています。みんなが、ブラウザで文字を読むのに慣れたということなのだとは思います。でも、この状況って、話題になった「Web進化論」にも登場しますが、二極化が進んでいて、こっちの人(ネットの住人)には当たり前でも、もう一方のネットに興味がない、あっちの側(あまりネットに慣れ親しんでいない人たち)にとっては、どうなんでしょうか。文字が小さいだけで、拒絶する人もいるのだろうなと。

カヤックは、バリバリのインターネット企業であることは間違いありません。社員の半分以上がWebプログラマーですしね。でも、カヤックのつくるサービスは、多岐にわたっており、コアなネットユーザー向けじゃないサービスの方が多いぐらいです。だからカヤックの自社サイトそのものも、もっとあっち側の人間にも興味をもってもらうサイトにしていきたい。そう思うことにしました。

その実現のためには技術的な工夫もしています。今回リニューアルにあたり、装飾の画像はできるだけ少なくHTMLのソースはできるだけ軽くしたいというコンセプトもあり、一部のタイトルなど、HTMLに記述されたテキストデータを読み、意図したフォントで画像に変換するというというシステムを組み込みました。以前より、ブログのタイトルをFlashで表示し意図したフォントで表示する、といったものはありましたが、日本語フォントの場合、アルファベットとは違い文字数が多いので、フォントサイズが自体が大きく、表示させるのに時間がかかり現実的ではない。だからといって、画像のパスに文字列を渡して画像に変換する、というのもスマートではない。と考え、今回のシステムを実装をしました。HTML内のテキストを編集すれば、画像内の文字も自動で変わるので、メンテナンスビリティも向上しています。

でかいフォント画像

たとえば、こんな感じです。

カヤックは3年弱、クーピーは6年ぶりのリニューアル。それぞれにリニューアルに踏み切るにあたっては、それなりの経緯がありました。まずクーピーですが、5年前に立ち上げたままリニューアルしていないという状態でした。2年前にリニューアルをするかどうか迷って、一度見直したときに「まだギリギリこのままでもいけそうだ」と判断をして、テキストを一部修正した程度しかしませんでした。でもそろそろいい加減、さすがに「やばい」状態でした。時代に対して技術、デザインともに古くなっていたし、クーピー自身が成長し、Web制作会社としてのステージも変化していましたし。いい加減恥ずかしいなと。

自分自身が成長をしていないと、リニューアルは難しいんです。成長というのはデザインや技術などの表現方法はもちろんのことですが、経営理念しかり、クリエイティブしかりです。すべてにおいて以前よりも“よいものがつくれそうだ”という確信を持ったときにはじめて取り組めるんです。

カヤックは3年経っていないし、まだリニューアルしないという手もあったのですが、経営理念の見直しをしたい、そして今まで以上によいものにすることができそうだと感じていたので、同時リニューアルを決めました。

同業他社のサイトを1500以上見る

カヤック&クーピーサイトのリニューアルへの第一歩は、リサーチ。同業他社のWebサイト1500以上を片っ端から見ていきました。ただ漠然と眺めるのではなく手順を追いながら、そこからヒントを探し出します。

Webは比較媒体です。単体で評価されることももちろんありますが、比較の上に評価が成り立つんですね。だからまずは制作に入る前に、リサーチをします。今回は約1500以上のサイトを眺めたと思います。そうすると、同業他社を通して、トレンドも掴めますし、自分たちの強みが見えてきます。そういった、戦略的な部分に限らず、いろんなものを見ていると刺激されて、自分のつくりたいものが出てきます。

ただ、1500サイトと聞くと、すごい数で、どれだけ時間がかかるの?と言われるのですが、各サイトをくまなく見ている訳ではありません。トップページだけ見てそれ以上見ないサイトがほとんどです。最初のうちはサイトを比較的丹念に見ていきます。そして、ただ漫然と見るのではなく何かオリジナリティのある面白いコンテンツや表現(ビジュアル、UI等)があったらメモを書き留めていきます。そうして、次々と見ていくと上のほうでメモしたものと同じようなものが出てきて、最初にあげたものが、それほどオリジナリティがあるわけではなかったということがわかってくる。これさっきもあったよなと。そうなると効率がよくなってくるわけです。オリジナリティを“見切れる”ようになってきます。トップページを見ただけで、なんとなくオリジナリティがありそうかどうかがわかるようになってくる。これをコンテンツと表現の両方の視点から見ていきます。パッと見たときの表現が洗練されてなくてもやろうとしてることはオリジナリティがあるというケースもあります。そこにヒントがあったりします。

参考サイト
★さすがといわれるレベル
★CMSのようなブログっぽいつくり
★実績メインの紹介系(白ベース)
★他
写真メイン系
他、ピンポイントで面白いところを発見

次にこの結果を踏まえて、サイトのコンセプト試案に入りました。カヤックの主要事業は自社サービスの展開、一方クーピーはWebの受託制作と、そもそも性格の異なる両社。それぞれにマッチするサイトのあり方とはどんなものだろうか?そこを模索していきます。

まずクーピーの方針が先に固まりました。世の中のWeb制作会社の自社サイトは大雑把に3パーターンに分類できるようです。まずCMSに力を入れたテキストベースのサイト。制作のフローなどを細かく解説したりします。このパターンは、技術寄りの制作会社に多いですね。次に、実績の画面ダンプを中心にシンプルに見せている実績メインサイト。不要な説明はほとんどありません。こちらはだいたいデザイン寄りの制作会社。あとは自社サイトそのものが、ひとつの作品として完成されているサイト。それを見せることでクリエイティブの独自性を打ち出すもので、企画力、デザイン力、技術力ともに高い制作会社です。さてクーピーはどこにしようか?と考えました。

クーピーの特徴は
「Flashに力を入れていること」
「面白法人グループであること」
です。
であれば、やはり最後のパターンで、トップページからひとつの作品になっているようなものに挑戦しよう!ということになります。

一方でカヤックはと言えば、クーピーのように振り切ることが構造上なかなかできません。クーピーの場合、更新といえば、新たな実績が加わる程度なので、トップページに更新感は不要ですし、そもそも人が、何度も訪れるサイトでもありません。一方カヤックは、カヤックに興味がある人たちが繰り返し訪れてくれる可能性のあるサイトです。そしてクーピーと違って自社運営のサービスからのお知らせも多く、それは変化していくものであり更新が必要となります。よってトップページへのニュース掲載が必要ですし、多種多様なサービスへのナビゲートも不可欠でした。なので、ぶっとびすぎて意味がわからなかったり、必要な情報が入れられないということはできない状況にすでにありました。

ユーザー参加型会社サイトへ

ブログ文化が全盛となり、ブログで自己表現する人が増えていますよね。でもブログはどうしてもテキストでの表現がメイン。もっとビジュアルから表現したいという人もたくさんいます。今後はそういうツールも発達すると考えています。そこでカヤックでは、2年ほど前から「ラクガキボード」や「4comapress」というブログパーツを立ち上げたりしてきました。今回の777 カヤック☆フェスティバルでは新たに漫画SNS「漫ガキ」を立ち上げましたが、これもテキストよりもビジュアルから自己表現したい人たちのSNSです。

そんな風に、僕らの中でここ近年「ラクガキっていいなぁ」と思っています。

そこで今回のリニューアルのキーワードを「ラクガキ」に決めました。
カヤックのサイトは、『全ページにラクガキができる』
そしてクーピーのサイトは、『みんなで迷路がつくれる』

なぜ迷路かというと、ラクガキっていろいろあると思いますが、学生の頃、教科書とかに何をラクガキしていたかを思い出してみると、迷路を書いていた。それだけです。でも、なんか迷路って熱いなぁと感じています。デザインとしても幾何学的模様で面白いですし。調べてみたら迷路って、右脳の活性化にもなるとのことで、これはなんとなく薀蓄がありそうだなと。これから迷路の時代がくるなと。

ですので、クーピーのサイトでは、トップページから迷路を楽しめるようになっています。さらに、サイトに来たユーザーが自分で迷路をつくり、それを蓄積して他の人が楽しむことができる機能があります。そして迷路を2Dではなく3D化できます。つまりこの迷路をつかって、クーピーとしての技術力等をアピールするということです。

でも、できあがってみて、なぜ迷路なの?と言われるとなんとも説明がつかないのですが・・・(笑)。

そしてカヤックは、閲覧しに来たユーザーが全ページで自由にラクガキをすることが可能です。会社サイトそのものに参加できるわけです。そして中にはカヤック自身がサイトのポイントを解説したラクガキも隠れています。どちらも試してみてください。

サイトマップを、「おまけ」から「有益な移動ツール」に

もうひとつカヤックサイトでの大きな挑戦はメニューをなくしたこと。ヘッダーをなくしたとも言えますね。パッと見て、右上の隅に「MENU」という文字がありますよね。ここをクリックするとナビゲーションが開きます。このナビゲーション自体のビジュアルはいわゆる「サイトマップ」の構造になっています。

サイトマップは本来、論理構造がわかり、なおかつ要素がすべて見える優れたナビゲーションなはずなのですが、現状はなかなかそういう認識がなくどうもおまけ的なものでしかない。でも、今回のリニューアルでは、思い切ってサイトマップ以外のメニューをなくし、必ずそこを経由して移動していくというルールにしました。これが使いやすいかというとまだまだ改善の余地があると思いますし、挑戦です。でも、そうすることでヘッダーやメニューなどの余計な要素をすべて省くことができ、結果、コンセプトであった「大きな文字のつくりのサイト」にも挑戦できることになりました。だって、ページに要素が多いだけで、きっとあっち側の人は見るのにうんざりでしょう。

これでカヤック、クーピー両社の全体のデザインのコンセプトと売りとなるポイントが決定しました。続いて各々のサイトのコンテンツを組み立てていきます。

6年前クーピーのサイトをつくった当時は創業したばかりで、オリジナルのコンテンツもない、実績もないという状態でした。そこで制作フローというのを事細かにコンテンツにしましたが、これは、今ではもう必要がないコンテンツと判断しました。今回はそれに代わり実績を中心に見せることにしました。

実績の見せ方も、そもそも実績を見たい人は、大きくわけて、デザイン力、技術力、企画力のそれぞれを見たいわけです。ですので、その動機にあわせて見られるようにしました。

今回「社名甲子園」というコンテンツがあります。これは「CUPPY」の社名が決まるまでの過程を伝えるコンテンツなのですが、普通であればこんなコンテンツ、第2階層、第3階層にあるものですよね。それを一番上、会社概要や実績と同格に引き上げることで、会社のユニークさを出すことにしました。また、クーピーの「信念」にもありますように、とにかく案を多く出す、というのがスタイルですので、そういった意味でもそれを体現しているコンテンツと言えると思います。

ただ、見てもらうとわかるように本当にどうしようもないコンテンツなんですよね。それを会社概要とか実績と同じ階層構造にもってきてしまう。その意図は、これは、リサーチをしている時に、とあるサイトが、Company Works の並びにHairとあって、なんだろうって思ってクリックしたら、どうもその会社の代表の髪型の推移を掲載しているコンテンツだったようなのですね。これにはやられたなと。こういうことかと。そこがヒントになっています。

「何をするか」より「誰とするか」

今回のリニューアルでもうひとつ、異色とも言える試みがあります。それは全社員の紹介をしたこと。これはカヤック&クーピー共通のコンテンツです。これにより全社員参加のサイトとなりました。

カヤックとクーピーの売りって何なんだろう?と改めて考えた時に、それは、KAYACスタイルにもあるように「誰とするか」をカヤックでは重視しているおかげか、社員が本当にみんないいヤツばかりであることでした。であれば60人全員をホームページに載せるというのはどうだろうか。十数名の規模の企業ならありますが、人数が増えて60人規模の中企業ではあまりないから面白いかもって。それも「COMPANY」(会社概要)「VISION」(経営理念)と同レベルのTOP階層に「MEMBER」を置くことにしました。全社員がゆかりのある土地にロケに行ってしっかりと撮影をしました。すべてのプロフィール情報をデータベース化して年齢や性別などの統計データを自動集計し、これをカヤックの社員情報として表示するページもつくりました。各々をサービスと紐付けSNS的な要素も取り入れています。一覧ページでは社員の年齢や入社日順でソートできたりという機能もありますよ。そして一人ひとりの担当の仕事を外に対してオープンにすることにしました。そうすることで、自分の作るものに責任をもとうということ。これもリニューアルのひとつのテーマになりました。

またWebサービス企業としては、技術的なこだわりどころとして押さえなければいけないものとして、SEOがあります。両サイトともにSEO的に、今回も担当者に指示したものは、それぞれ3つずつです。

まずクーピーは「社名で検索したときに1位を目指すこと」。クーピーという商標を持っている商品があり、そちらは歴史も長いしなかなか難しいのですが、でも目指すようにと。ふたつめは受託なので仕事が取れなければいけないから、仕事と絡んで「“Flash”+“○○○”で検索したときに上位にくること」。○○○に入るワードはもちろん、検索が多い上位のもので。そして最後に、一般的な言葉でハードルは高いですが、「“Web制作会社”や“ホームページ制作会社”でちゃんとひっかかるように」と。

カヤックもやはり「社名にまつわるもので1位」。カタカナ、英語表記、なんでもカヤックは1位。つぎは「“面白い会社”“オモシロ”“おもしろ”カタカナ、かな、漢字、面白いにまつわるキーワードで1位」。そして、鎌倉に本社を置いているので「“鎌倉”や“湘南”などの地名と“IT”“Web”“ベンチャー”などの組み合わせで1位」。そして、もうひとつありました。「“経営理念”で検索したときに上位にくるように」。

カヤック経営理念「つくる人を増やす。」

経営理念はカヤック創業以来、ずっとこだわってきたところ。今回のリニューアルでは経営理念も時間をかけて見直しました。

この作業は今回のリニューアルにおける「大きなミッション」でした。今あるものを、もっとすっきり頭に入ってくるものにしたかった。創業当時から経営理念にはこだわってきて、各社の経営理念の分析を掲載したりしてきましたし、今回もサイトのコンテンツとして「他社の経営理念分析」というページがあるぐらいです。ちなみに、一時期は「経営理念」で検索するとGoogleで1ページ目に表示され、誰もが知っているナショナルブランドの企業の横に並んでいたこともあり、それは大いに励みになりました。リアル経済では小さな企業だけれど、経営理念では引けを取らない企業になりたいと思っています。

経営理念を見直すというのはつらい作業です。でもリニューアルする以上避けては通れませんでした。

そして、今回は経営理念ならびにサイトの文章を全部、コピーライターの斉藤賢司さんとの協同作業で見直しました。今まで全部自分で書いていたので、今ひとつ自分の想像の域を超えなかった経営理念、およびサイト全体のコピーワークをお手伝いいただき、『伝えるものを伝わるものに』変えたいと思いました。経営理念についてのページをどうぞ読んでみてください。
KAYAC経営理念
CUPPY信念

「つくる」にまつわる、もうひとつのチャレンジ

カヤックのミッションは上記のとおりですが、その一貫として以前のカヤックサイトでは漫画家さんやイラストレーターさんに「カヤックのトップページをつくる」ことに参加してもらっていました。具体的にはTOPページのイラストを描いていただき、ユーザーが切り替える仕掛けになっていたわけです。今回もその構造は生かしつつ、新たに2次元の作品だけではなく、立体の作品を作るクリエイターに参加してもらいました。具体的には、TOPのカヤックロゴを立体で制作してもらって、サイトのロゴ部分で3次元グラフィックの切り替えが可能になっています。ここも随時、作品を増やして行きたいと思っています。

カヤック立体ロゴ

やってみないと何もわからない。

やってみてはじめてわかることもあり。あちゃぁ。やっちゃったなぁ。と思う失敗も今回のリニューアルを経て、すでにでてきています。 そして、きっと今は良いと思っている部分でも、半年後に見たらどう思うかわからない。 いや、おそらく、「しょぼいなぁ」と思うのだと思います。実際に2年半前のリニューアル時は、半年後に見てそうでした(笑)。でもそれでいいのだと思います。そう思うことが成長している証拠だと思い込んでいます。


Copyright © 2007 KAYAC Inc. All rights reserved.